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zoom RSS 映画評「東京湾炎上」

<<   作成日時 : 2017/11/14 09:13   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
1975年日本映画 監督・石田勝心
ネタバレあり

世界的にパニック映画とハイジャック映画が流行っていた頃作られたハイジャック映画。
 ハイジャックというとそそっかしい人は飛行機が出てくると思うだろうが、本作で乗っ取られるは大型タンカーである。俗っぽくシージャックと言っても良いが、ハイジャックが飛行機専門でないことを知らしめる為にわざとこんなまだるっこいことをしてみた。

船長は丹波哲郎で、テロリストに向かってよく働くのが油掘り(?)の藤岡弘。テロリスト・グループは北アフリカの黒人系だが、中に日本人の過激派・水谷豊がいる。水谷がいるのに、この外国人たち、殊勝にも或いはご都合主義的にも日本語が話せる。テロの為にわざわざ勉強したという。ハイジャックした後タンカーに爆弾を仕掛け、備蓄する鹿児島のコンビナートを爆破しないと、タンカーを爆破すると言う。自分たちの命はどうでも良いのだ。学者の分析では、これで首都圏が全滅するらしい(ほんまかいな)。

これに対応した政府は、特撮フィルムを流用する手を打つ。言わば「カプリコン・1」(1977年)のアイデアであるが、製作順から言えばこちらのほうが早い。かの作品でのアイデアは恐らくアポロ11号をめぐる都市伝説から生まれたと思うので、本作の影響ではないだろうが、本作はこの手のアイデアの嚆矢と言って良いのかもしれない。そうだとしたら、原作者・田中光二の殊勲ですな。

しかるに、犯人たちは僅かな異変を見逃さない。降ってもいない雨の音が入っていたのだ。これで全て水泡に帰すかと思いきや、乗員への待遇を巡って仲間割れして呆気なくテロリスト(作中表現はゲリラ)は全滅する。

特撮映画中の特撮といったアイデアなどお楽しみもあるのに、もう一つという印象に留まるのは、ゲリラの扱いがだらしなく“大山鳴動して鼠一匹”的な印象を醸し出してしまうからである。三つ目(最後)の爆弾を探し当てる場面にしても、不透明な原油を理由に言葉のやり取りだけで終わっている。
 そして一件落着の後、主人公・藤岡は、将来の関係をどうしようか迷っている恋人・金沢碧に思いを馳せる。序盤の回想シーンに呼応させた作劇だが、そもそも本作の構成において二人の恋愛に関する思惑など意味がない為、大人の観客向けのサーヴィス・シーンとして多少価値があるくらいで、ポリティカル・アクション映画を観に来た真面目な観客には有難迷惑になる。

個人的映画観から文句をつけたくなるところが多いものの、特撮ファンには見る価値がある映画と思う。

偶然にもラ・フォンテーヌ「寓話・第一集」(イソップ童話を発掘し書き換えたもの)を読んでいたら、「大山鳴動して鼠一匹」の語源ではないかと思われる話に遭遇した。ホラティウスが語源と言う説があるが、ホラティウスがイソップから拝借したのかもしれないし、「寓話」にはホラティウスの引用も多いから、何とも。

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