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zoom RSS 映画評「白鯨」(2010年版)

<<   作成日時 : 2017/11/01 10:18   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2010年ドイツ=オーストリア合作映画 監督マイク・バーカー
ネタバレあり

アメリカ人のお話で、主要スタッフ・キャストが英米人なのに、独墺合作映画(TV映画)というのだから、変な時代になったものだ。お金だけを出したということですな。

さて、中学生1年で児童版「白鯨」を読み、それから少ししてジョン・ヒューストンの映画版をTVで観た。見事に面白かった。それから40年余りこの素材に触れることはなかったが、先年オリジナル版「白鯨」を読んで驚いた。物語そっちのけで、鯨に関する蘊蓄が三分の二くらい占めているからである。児童版「白鯨」はこの蘊蓄部分を完全に除去したものだった。従って鯨に興味がない人にとってオリジナル版は大して面白くないわけで、比較的原作に忠実なこのTVムービー版を観た方が良いのではないかと思う。

捕鯨漁師を目指して米国北東部の捕鯨町ナンタケットにやって来た若者イシュメール(チャーリー・コックス)が、同宿となった人食い部族出身クィークェグと共に、一等航海士スターバックス(イーサン・ホーク)にスカウトされて、ピークォド号の乗員となるが、この船の船長エイハブ(ウィリアム・ハート)が白い巨大なマッコウクジラ“モビー・ディック”に片足を奪われ、このクジラを殺すことに執念を持っていた為、他の乗組員と共に壮絶な体験をすることになる。

という物語で、原作者のハーマン・メルヴィルがこのお話の基になった体験をした乗組員から話を伺うという体裁で進行する実話ものの大作「白鯨との闘い」を観た後だから若干不利だが、TVムービーとは言いながらかなりの巨費を投じてキャストがなかなか充実、スペクタクル性もあって一通り見せる。フィルムで撮る時代が終わって、劇場用映画もTV用映画も大して変わらなくなった。

作劇的に気に入らないのは、エイハブの家庭人としての姿を序盤に描いてしまったことである。小説は中盤になって初めて人間離れした執念の男として出てくるから問題がないが、本作の場合は家庭人としてのエイハブと海洋に出てから自分の執念を乗員に押し付ける怪人エイハブとが別人のように見える。エイハブを演じているウィリアム・ハートが知的な感じを発散することと相まって理に落ちる印象が最初のうちに出来上がり、後半無理をしている感じになってしまう。実際には後半のハートは野趣を発揮して好演しているのだが、構成がそれを半ば殺いでしまうのである。

最初のうちに述べたように、一般の人は「白鯨」を読み終えることができないだろうから、この映画版でお話を勉強するのが良いと思う。できれば、ヒューストン版の鑑賞をお薦めする。

先日読んだ宇能鴻一郎が芥川賞を受賞した「鯨神」は、日本版「白鯨」と言うべき小説でした。

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