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zoom RSS 映画評「ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気」

<<   作成日時 : 2017/10/07 09:23   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督ピーター・ソレット
ネタバレあり

相変わらずアメリカのドラマ映画は実話ものが多いですなあ。「事実は小説より奇なり」と言ったバイロンも苦笑いしているだろう。

ジュリアン・ムーアが主演していることを考えると「アリスのままで」の姉妹編のような感じの作品だ。

今世紀初め、麻薬捜査に大活躍するニュージャーシー州の中年女性刑事ローレル・へスター(ジュリアン・ムーア)は、実は同性愛者で、その類の人たちが集まるらしいバレーボールの試合で声をかけてきたボーイッシュな少女ステイシー・アンドレイ(エレン・ページ)と恋愛関係に陥る。
 ここまでは実は序論に過ぎず、ジュリアンが末期癌を患っていることが判明していよいよ本番という感じになる。

末期癌だから死を覚悟したローレルは、若いステイシーに遺族年金を残そうとするが、役所にパートナー関係は認められたものの、郡政委員会により支給が認められない。異性パートナーには無条件で認められるのに同性バートナーに認められないのはおかしいと、彼女に同情する相棒の刑事デーン・ウェルズ(マイケル・シャノン)や人権派弁護士(スティーヴ・カレル)が委員会にあの手この手で訴えかけ、遂にその願いが叶うことになる。

彼女たちの奮闘があり、数年後に公務員の同性パートナーへの遺族年金支給が認められ、2015年には全米で同性婚が認められるようになる。正確なことは解らないが、二人の静かな“平等”への希求がその後のアメリカにおける同性愛者の権利取得に貢献したのは確かだろう。日本の保守の理由はよく解らないものの、欧米の保守が同性愛に反対するのは聖書の考えに反するからにちがいない。同性同士では子供が生まれないからね。

いずれにしても性的マイノリティの権利は年々増えているのは間違いなく、半世紀前は半ば犯罪であったことを考えると僅かな期間で劇的に変わったことになる。個人的に同性愛者特に男性同士の睦みごとを見るのは苦手だが、かと言ってその人たちを差別する気はない。趣味の問題であって個人としての好き嫌いは全然別次元の問題だ。

映画的には極めて素朴な作り方をしていて、強く映画技術的に価値を求めると大したことなく、「アリスのままで」には大分及ばないという評価となるが、その素朴で力が必要以上に入りすぎていない作り方が、平等を静かに求めるだけのヒロインの立場と重なり、好感を覚えるので、☆★を多めに進呈致しましょう。

本国アメリカより日本でこの作品が評価されるのは、寧ろ性的マイノリティへの差別が欧米と比べて歴然とあることが原因なのかもしれない。

アメリカは日本の一般人が考えているよりずっと古臭い国だけどね。

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ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気 ★★★
第80回アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞(短編)に輝いた作品をベースにしたヒューマンドラマ。病で余命半年となって同性のパートナーに遺族年金を残そうとする女性が、それを認めていない法制度に立ち向かう。メガホンを取るのは、『キミに逢えたら!』などのピーター... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2017/10/07 16:10

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 ぼく自身は、レズビアンもホモセクシャルも、はっきりいって生理的に受け付けません(有体に言えば、気持ち悪いという感情すら隠せません・・。)

だからといって、性的マイノリティ者に対して、まったく差別的感情はなく、いわゆるホモセクシャルの人とサウナに入って談笑することもあります。最初のうちは、自分の裸を目の前の男がどのように観ているのか(笑) と、気になったものですが、それもなくなりました。

欧米、特にアメリカは、原初的な信仰心と生理的嫌悪があいまって人々の間に根強い差別感情がある・・。
映画「ブロークバック・マウンテン」でも、主人公の一人が純朴なカウボーイたちのリンチにより殺されていますね・・。でも、最近は、理性(法律)が感情をカバーするようになっている。。

翻って日本人の場合、感情的には、(歴史的にも)同性愛者にそれほどの嫌悪感を持たないはずなのに、法律が状況にあっていないのではないでしょうか・・。
浅野佑都
2017/10/08 05:20
浅野佑都さん、こんにちは。

>生理的に
全く同様です。
やはり子孫を残すというのが生物のDNAに組み込まれているせいでしょう、かなり多くの人がそういう立場でしょうね。
同性愛者の多くは、自覚がない場合も含めて、性同一性障害なのではないでしょうか?

>法律
僕が気になっているのは、自民党辺りの人々が「伝統」という言葉を使う時、その伝統の始まりは「明治」なんですね。
だから、同性愛者もしくは両性愛者が認められてきた日本の実際の伝統を無視して「日本にはLGBTの伝統がない」などというでたらめを仰る。
明治に始まる伝統というのは、多くは西洋流なのであって、本当の保守であれば、伝統は大和朝廷の始まり、古墳時代にまで遡ならければならない。その癖自民党支持者は多く日本書紀による神話上の日本の始まりを信じている。これは矛盾だと思います。

日本では今、日本人の本性と明治以降に構築された西洋的論理(≒法律)とがねじれ関係にあるのでしょうね。政権を担っている政党が長く本当の保守ではないから、こんなことになっている気がします。
それでも、それほど長くかからないうちに、法律が整備されるでしょう。民主主義国家を標榜するなら、世界の潮流に逆らうわけにはいきませんからね。
オカピー
2017/10/08 22:13

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