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zoom RSS 映画評「禁断のエチュード マルグリットとジュリアン」

<<   作成日時 : 2017/10/25 10:31   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2015年フランス映画 監督ヴァレリー・ドンゼッリ
ネタバレあり

フランソワ・トリュフォーの「突然炎のごとく」「アデルの恋の物語」などの脚本を書いたジャン・グリュオーがやはりトリュフォーの為に書いた脚本は結局映画化されることはなかった。それに45年ぶりに女性監督ヴァレリー・ドンゼッリが自ら手を入れて映画化した恋愛映画である。

ある時代。ジュリアン(成年後ジェレミー・エルカイム)とマルグリット(成年後アナイス・ドムースティエ)という仲の良い兄妹があり、十数年彼が修行の為に各地を歴訪した後再会、思慕の情が高じて恋愛感情になる。両親(フレデリック・ピエロ、オーレリア・プティ)や宗教関係者は妹を結婚させることで仲を裂こうとするが、それが却って逆効果となり、ジュリアンは妹を夫から奪って逃亡するが、夫の通報で動き出した官憲に捕らえられて死刑になる。

大本がグリュオーだけに「アデル」や「野性の少年」の匂いがするのが良い一方、監督自らのリライト(共同)が良くなかったようで、不満が残る。
 彼女は時代をぼかす作戦を取った。登場人物の服装、やや古めのカメラ、自動車、ヘリコプターが出てくるから現在ではなくても現代と思っていると、二人は首を斬られて死刑になり、字幕で1602年に処刑されたと出る。グリュオーがこのオリジナル脚本を書いた1970年にジャック・ドミーが「ロバと王女」で時代劇にヘリコプターを出したという例があるものの、到底グリュオーの趣味ではないので、ドンゼッリ女史が匠気を出して改変したと思う次第だが、何か現代にも通じる普遍的な問題を提起するという意図でもあったか。しかるに、出来上がった作品を見ると、死刑がなくなった現代のフランスと共通するところがあるとは感じられず、全体として空回りである。
 この話がローティーンにも達していないような少女たちに語られるという回想形式の意図も全く不明で、全体として首を傾げるところが多い。トリュフォーで観たかったところだが、彼には近親相姦への興味はなかったと思う。

反面、トリュフォーの演出を勉強して時にアイリスを使い、クラシック音楽を使う(もっと完全なバロック音楽のほうがそれらしかった)部分はトリュフォー好きの僕には嬉しい。地図が出てくるのもトリュフォーの踏襲。
 また、兄妹二人が背中合わせに捕縛されて馬に揺られながら処刑場に向かう終盤は「近松物語」にそっくり。借用それとも偶然だろうか。どちらにしても興味深い。

WOWOWが付けた邦題もトリュフォーの秀作「恋のエチュード」を意識している(のは言わずもがな)。

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