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zoom RSS 映画評「旅路の果て」

<<   作成日時 : 2017/10/24 09:17   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1939年フランス映画 監督ジュリアン・デュヴィヴィエ
ネタバレあり

望郷」「舞踏会の手帖」ほどの花はないかもしれないが、滋味という点で勝るとも劣らない出来栄えのジュリアン・デュヴィヴィエの名品である。1980年にフィルムセンターで初めて観た。

南フランスに俳優専門の養老院がある。
 名優ながら大劇場の出演がないまま早めに引退したヴィクトル・フランサンは、代役専門で遂に出演することなく終わったミシェル・シモンを「ここにいる理由がない」とまで酷評し、互いに犬猿の仲。
 そこへ、フランサンが早々に引退する原因を作ったプレイボーイの二枚目俳優ルイ・ジューヴェが遂にやって来る。彼は、先に入所していた子供まで産ませたかつての恋人ガブリエル・ドルジアが認識できない一方、早速近所のカフェの娘マドレーヌ・オズレを手練手管で落としてしまう。別の元恋人が亡くなって戻ってきた高価な指輪を元手に豪遊するが、それも尽きて舞い戻る。彼の許に毎日のようにやって来るラブレターは実は昔貰った手紙を自分で出しているに過ぎないことが発覚、フランサンの妻を自殺に仕向けた同じ手法でマドレーヌを死なせようとしたこともばれて、混乱のうちに発狂する。
 廃院寸前になっていた養老院が寄付により復興したことを記念して芝居が催され、フランサンを殴り倒して初の出演に臨んだシモンは緊張して台詞が出て来ず、ショック死してしまう。
 名優フランサンは「俳優としては大したことがないが、得がたい友人だった」と大根シモンに弔辞を送る。

音楽家専門の老人ホームを舞台にした「カルテット! 人生のオペラハウス」を観た時に必然的に本作を思い出した。本当らしくない設定という意見もあるが、こうして作品が幾つか作られるところを見ると、欧州にはこうした芸術家専門の養老院が実際にあるということなのだろう。
 ダスティン・ホフマンが初監督をした上述「カルテット!」もなかなか味わいのある作品だったが、こうしてご本家に再び接すると、比較にならない。デュヴィヴィエとシャルル・スパークの作劇レベルはさすがに物凄いと今更ながら圧倒される思いだ。

老優三人が三つ巴のように複雑に絡み合う人生模様の構図が鮮明で見事と言うしかない。
 特に巧いのは、ジューヴェの過去をめぐる部分で、彼の再利用していた手紙がガブリエルのものと彼女の反応から解る場面と、フランサンが本当に事故死だったのかと疑う夫人の死がマドレーヌが彼女と同じ遺書を残していたことから“導かれた自殺”と判明する場面とが、二重奏のように響き合って圧巻である。
 辛辣ぶりを見せておいて直後にすっかり転倒させるフランサンの弔辞の扱い方もうまい。

全体的に厭世的で苦みすら感じさせるが、幕切れにより救われる思いが併存する。やはり傑作と言うべし。

この三人の名優の実年齢より現在の僕は年上になった。プロ野球の監督も僕より年上は殆どいなくなった。嫌になっちまうな。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
未見なので(タイトルは知っていましたが)3行のみ読みました。
大変観たくなりました。
多分GEOには有りそう。
台風被害は、大丈夫でしたか?
十瑠
2017/10/25 12:22
十瑠さん、こんにちは。

デュヴィヴィエは、日本人の琴線を打つのですよ。最近の若い人に関しては、その限りではないと思いますが。
仮にダメでも、観て損はないと思いますよ^^

>台風
我が家は大丈夫でしたが、市内の数Km離れたところで大きな土砂崩れがありました。「報道ステーション」でも報道されてビックリしましたよ。我が家も小山の下にありまして、他人事ではありません。父親が亡くなる前に県が土砂崩れ防止の工事をしましたが。
オカピー
2017/10/25 21:12

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