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zoom RSS 映画評「竜馬暗殺」

<<   作成日時 : 2017/10/22 10:20   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1974年日本映画 監督・黒木和雄
ネタバレあり

黒木和雄監督のフィルモグラフィー前期における「祭りの準備」と並ぶ代表作である。若い人と違って僕は、黒木監督と言えば、戦争レクイエム3部作ではなく、この二作を思い浮かべる。

慶応3(1967)年11月13日、刺客に追われた坂本龍馬(原田芳雄)は近江屋のお堂に身を隠し、隣家の娘・幡(中川梨絵)を発見し、懇ろになる。
 翌日、実は竜馬暗殺を狙っている幡の弟・右太(松田優作)が現れる。竜馬はええじゃないかの騒ぎに紛れ、陸援隊を創設した旧友・中岡慎太郎(石橋蓮司)に会いに行く。追いかけてくる右太も巻き込んで3人とも女装し、戻って来る。
 15日、近江屋で、紆余曲折の末に幡を連れて長崎に行くことにした竜馬と薩長に付くという慎太郎が別れの盃を交わしているところへ刺客が現れる。

竜馬と慎太郎の最期は史実に則っているが、この映画は時代劇として観るべきものではないだろう。ATG系らしく、16ミリのモノクロフィルムでの画面がアート志向で、サイレント時代の前衛映画を見ているような錯覚を覚える。Allcinemaに「古い映画のようで汚い」というコメントがあった。他人のセンスについてとやかく言いたくはないものの、僕は逆に「古い映画のようで美しい」と大いに堪能した。

16ミリらしく粒子が見えるモノクロ映像は、それ故に荒々しく、歴史上の有名人というより野望に満ちた若者と言うべき男女のうごめくような活動に生々しさを与えている。
 1974年という製作年度を考えると、内容はその少し前に混乱ぶりを露呈した過激派の抗争・内ゲバそのものである。結果的に日本を大きく近代的国家に進める明治維新の前に奮闘した人々も、革命が幻想に終わった昭和の学生たちと大きく変わるところがないのではないかという気がしてくる。

上述した面々のほか桃井かおりという、後の大御所が出演しているが、この頃はいずれもまだ台頭してきたばかりの若手だったのだ。そういう感慨も湧く。

台風は近づいているけれど、選挙で大風は吹かず・・・となるか。平成維新は遠い?

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
  >内容はその少し前に混乱ぶりを露呈した過激派の抗争・内ゲバ

スタンダードサイズの画面が、ドキュメンタリータッチな内容をいっそう効果的にしています。
時々はさまる字幕(というのかな?)も、ニュース映像のようで、当時の左翼リベラル青少年にはたまらなかったでしょう・・。

 小学生のころから新聞等に報道される学生による新宿騒乱や西口フォーク集会などを見ていて、中学に進むと日大芸術学部にいた従兄の影響もあり、雑誌「世界」や「ユリイカ」を読み齧るサヨク気分少年(笑)だったぼくにとって、同じく原田芳雄 桃井かおり共演の、若松浩二の「我に撃つ用意あり」と並んで、日本映画史上に残る傑作と思っている作品です・・。

>革命が幻想に終わった昭和の学生たちと大きく変わるところがないのではないか

革命をより現実化するために彼らは暴力への道を取ったわけですが、結果は虚しいものとなってしまった・・。ネット時代の今の若者はどうでしょうか?


 今回、迷いに迷った挙句、枝野さんの立憲民主党に投じた僕ですが、プロフェッサーはどうされましたか?
立憲民主の政策は、ぼくとは相いれないものですし、幹事長の辻本清美は、小小池百合子(笑)
に過ぎず、権力批判も彼女の野心が透けて見える・・。

昔サヨクで、現在は(戦後、左に大きくブレていた日本人の感覚だと)右寄り、アメリカの政治家でいえばサンダースみたいな中道左派を支持するぼくなどには、政権選択と言われても入れるところに困る・・(笑)

それでも、反安部ということなら野党に入れるしかない・・。自民が解散前よりも議席を多少減らすので、一発くらいはパンチを当てることはできたかもしれませんが・・。
浅野佑都
2017/10/23 08:20
浅野佑都さん、こんにちは。

>字幕
僕はこれによりサイレント映画を想起しましたが、「ニュース映像」的という感覚も解ります。

>サヨク気分少年
あらま(笑)
僕は、今でも自称ノンポリですから、まして中学時代には「連合赤軍、怖いなあ」程度でしたよ。
まあ、「(習ったばかりの)共産主義は、人を平等に扱うことは却って不平等になるので成立しない」などと解ったようなことを言っていましたが。

>「我に撃つ用意あり」
朝このコメントを読んで、急遽記事にしました。
見当違いでなければ良いのですが。

>ネット時代の若者
内弁慶で、言葉の暴力に埋没している感じ。面と向かっては同じ言葉を吐けない。そんな人が多いのではないでしょうか。

>立憲民主党
僕は、党が成立した時から、ここに入れることにしました。
それがなければ、希望の党でしたが、余りに全体主義的でできれば避けたいと思っていたので、ちょうど良かった(笑)

>中道左派
右派も左派も端は全体主義なので、僕もどうしても中道になりますが、個人主義者として国家の前に人権ありと考えるので、どうしても左派寄りですね。
枝野氏の言う【リベラル保守】という概念は、「日本人はリベラルの意味が解っていない」とずっと言ってきた僕の考えに近いかもしれません。僕は脱従米ですが。

>自民
結局、インチキな手法で解散前と同じになりましたね。自公としては減りましたが、衆議院自体が縮小したので、事実上同じくらいでしょうか。「中選挙区を復活せよ」の思い強し。
最悪2021年秋まで安倍氏の寝言を聞くことになる。嫌になっちゃいますね。
オカピー
2017/10/23 21:35
こんにちわ。
「竜馬暗殺」の過去記事を、トラックバックしようとしたら、とんでもない場所に行ってしまいました。どうも、私の側からのTBは不可能になったようです。そこでTBを受け取ることは未だ可能かどうかを確認したいので、お忙しいところ恐縮ですが、下記にTBをお願いできますでしょうか? →2010‐8‐29「竜馬暗殺」しづのをだまき
Bianca
URL
2017/11/09 10:35
Biancaさん、こんにちは。

当方から無事TBできました。

gooブログがトラックバック機能を閉鎖したとは聞いておりませんので、そちらからもできると思います。
 当方のトラックバックURLをコピーし、きちんと当方のものであると確認した上で、もう一度トライしてみてくださいませませ。
オカピー
2017/11/09 15:45
懇切なご説明に、さすがは教授だと感銘しました。
さて黒木和夫と言えば、私には宮崎の同県人だという感慨が強いです。
「美しい夏、霧島」の前半をブログのアドレスにした位。
ですので、この点だけは今どきの若い人たちとも共鳴。
さて別の場所でも言いましたが、コピーはできてもペーストができないので、
TBがこちらからはまだ不能。最近映画の記事を書いていないので、さして痛痒を感じないものの・・・この度はどうも有難うございました。
Bianca
URL
2017/11/10 15:06
Biancaさん、こんにちは。

いえいえ、わざわざ有難うございます。

>宮崎の同県人
おおっ、そうでしたか。
僕は群馬県です。同県の有名な監督では叙情的な「泥の河」から暫くして少し難しくなってしまった小栗康平が一番ですかねえ。

>ペーストできない
それではTBは難しいですね。
折角の記事ですのに、こちらから向かわれる方がほぼ出て来そうもありませんので、残念です。
オカピー
2017/11/10 18:59
TBが成功しました。あの後再度試みたら、居座っていた前のTB・URLを削除できました。
これもオカピー様の励ましのおかげ、有難うございます。
Bianca
URL
2017/11/10 21:41
Biancaさん、こんにちは。

コピー&ペイストできるようになって良かったですね。
ただ、こちらにTBは届いていないようなのです。
しかし、今後安心ですね。
オカピー
2017/11/11 19:45

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