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zoom RSS 映画評「奇蹟がくれた数式」

<<   作成日時 : 2017/10/02 09:12   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年イギリス=アメリカ合作映画 監督マット・ブラウン
ネタバレあり

作品の性格とお話の構図が昨日の「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」に非常によく似た実話ものである。

ケンブリッジ大学トリニティ校数学教授のハーディ(ジェレミー・アイアンズ)が、数学に天才的才能を示すインドの港湾事務員ラマヌジャン(テヴ・パテル)からの手紙の内容にびっくりする。学校にまずは学生として招くが、ラマヌジャンは彼の才能に嫉妬する一部の教授陣から民族を理由に差別され、或いは信頼するハーディとの数学観の差から大いに当惑させられる。
 しかも、母親が妻(デヴィカ・ビセ)の手紙を度々出さなかったことから気持ちのすれ違いを生じ、恐らくは宗教的理由による食材制限と第一次大戦による食糧事情が手伝って彼は結核を病む。戦争が終わり、ラマヌジャンへの尊敬の念を増すハーディの尽力で研究員として認められた結果病気は治癒する。しかし、帰国した彼は結核を再発して1年後に亡くなってしまう。

天才を発見した男と天才との関係性、天才の早すぎる死という構図が「ベストセラー」に全く似ていて呆れるほど。
 昨日の文学と違って数学は全くの門外漢なので具体的な部分への興味が全く湧かないのが個人的に弱いが、それでも、定理・公式そのものが大事なラマヌジャンと、証明という裏打ちがないことにはその価値が半減すると考える西洋の数学観の差が神に対する考えの差に通じる部分はなかなか面白い。そして、或いはその差(主に宗教上の理由で西洋料理が食べられないこと)の為に短い生涯になったのかもしれない。運命の皮肉とも言える。

出征する英国人の若者二人がラマヌジャンを殴り倒し「大きな顔をするな。ここは英国人の土地だ」と言い捨てるところがある。しかし、当時インド人のものであるインドを大きな顔をして支配していたイギリス人にそんなことを言う資格はない。愛国心の高まる戦時中だから猶更とは言え、けしからん馬鹿どもである。

映画としては物足りない。手紙によるすれ違いや民族差別、宗教上の理由による健康被害など波乱万丈の要素が大いにありながら、何気なく示してしまうものだから、鑑賞者が欲求不満に陥るのである。技術的には省略を駆使し抑制された良い演出と言うべきだが、この内容ならやりすぎない程度にミーハー的に作っても良かったのではないか。

インド人は数学が得意。かつて石原慎太郎氏はフランス独自の計算方法を根拠に「フランス人は数学が弱いのではないか」と言ったが、近世以降有名な数学者を一番多く輩出しているのはフランスだろう。

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奇蹟がくれた数式 ★★★
「スラムドッグ$ミリオネア」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のデヴ・パテルがインドの天才数学者ラマヌジャンを演じた伝記ドラマ。独学で数学を学んだラマヌジャンが、異国の地イギリスへと渡り、文化の違いに苦しみながらも、著名な数学者G・H・ハーディ教授と数学を通じて友情を育み、強い絆で結ばれていく感動の実話を描く。共演にジェレミー・アイアンズ、トビー・ジョーンズ。監督は本作が長編2作目のマシュー・ブラウン。 ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2017/10/02 20:53

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