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zoom RSS 映画評「ライク・ア・キラー 妻を殺したかった男」

<<   作成日時 : 2017/10/18 10:25   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督アンディー・ゴダード
重要なネタバレあり

アメリカでの評判の悪さは知っていたが、パトリシア・ハイスミスの小説「妻を殺したかった男」の映画化と知って観ることにした。半世紀以上前に映画化された最初の映画化であるフランス版は日本には輸入されていない。

小説も書いている建築家パトリック・ウィルスンは、自宅でのパーティーに訪れた友人が連れてきた歌手の女性ヘイリー・ベネットと軽く口をきいただけなのに、病的な嫉妬心を示す妻ジェシカ・ビールにありもしない情事を責められるのに嫌気をさし、離婚を申し出る。一度薬で自殺を図った彼女は、結局、バス停の近く橋の下で死体で発見される。
 ウィルスンは、それより先に同じ場所で死体で発見された中年女性の夫で真犯人と警察が見なして執拗に追及している書店主エディー・マーサンに興味を持ち、書店で本を注文する振りをして接近してみる。ところが、その後で細君が死に、その直前に彼女の乗るバスを追いかけたことから、マーサンを追う刑事ヴィンセント・カーシャイザーに疑われることになる。

というお話にはハイスミスの出世作「見知らぬ乗客」と通底する人物の交錯があり、「ヒッチコック劇場」の短編におけるジレンマというか閉塞的な感覚がある。つまり、人間の心理に興味示す時のアルフレッド・ヒッチコックに近い味わいだが、夢落ちのような幕切れを見ると、ヒッチコッキアンを標榜するブライアン・デ・パルマのムードも漂う。

本作の評判の悪さは終盤の展開の多義的な見せ方のせいだろう。その最大要因は上記の夢落ちというか、主人公が書く小説の中でのお話のようにも思われる幕切れと言って間違いないが、少し考えたところ一定の結論に達した。その前に刑事たちが妻殺し犯人の正体を現したマーサンに疑いの残るウィルスンを追わせる作戦自体に甚だ疑問があるのは措いておいて、僕の理解は以下の如し。

マーサンにナイフで襲撃されたウィルスンは、刑事に射殺された彼の横で、重傷を負って横たわりながらニタニタする。以前から彼の行動に注目したウィルスンは彼の事件を基にした小説のアイデアがこれにより頭の中で完成してニタニタするのである。そして、タイプの文字でThe endと出る。映画の終わりを示すと同時に、彼の頭の中での小説の完結を示すダブル・ミーニングという洒落っ気である。かくして、(結果的にすぎないとは言え)死ぬような危険を冒してネタを求める男の奇妙な冒険談と理解すると、観ているほうもニヤニヤしたくなる、という次第。
 そう考えると、さほど悪くない作品なのではないだろうか。

ウィルスンはその後死んでしまうかもしれないけれどね。

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