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zoom RSS 映画評「スモーク・アンド・ミラーズ 1000の顔を持つスパイ」

<<   作成日時 : 2017/10/16 10:33   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2016年スペイン映画 監督アルベルト・ロドリゲス
ネタバレあり

きちんとは公開されていないが、allcinemaでは一応公開扱いになるスペイン製の実録サスペンスである。1960年代から70年代にかけてのフランチェスコ・ロージの作品群を思わせるものがある。

ややこしい話なのでざっとまとめると、1980年代、治安警察トップのルイス・ロルダン(ホセ・コロナード)が賄賂や横領で追及されそうになったので、テロ組織ETA(バスク祖国と自由)に対して謀略を為した後国家から干された男フランシスコ・パエサ(エドゥアルド・フェルナンデス)が逃亡に力を貸すことにする。
 パエサは彼のため込んだ大金を何重にも移動することで自分の懐が温かくなるように仕組む。色々細工をした挙句に結局ロルダンは30年の服役を言い渡され(最終的に15年で出所)、やがてパエサは亡くなる。
 しかるに、実際にはパエサは亡くなっていず、他国で別人として悠々自適に生きていたのだ。

というお話で、実話を基にしたフィクションという体裁になっているが、上で書いたロルダンとパエサの関係は完全な実話である。
 どこがフィクションなのかと推測すると、パエサに使われるパイロットで語り部のヘスス・カモエス(カルロス・サントス)の存在そのものではないか。パエサ本人が作家のマヌエル・セルドンに語ったノンフィクションの原作では、当然語り部がパエサだからである。パエサが一旦死んだことになる映画上のどんでん返し的展開を鮮やかに見せる為に、パエサでもセルドンでもない語り部をこしらえたと想像できるのである。ロルダンを東南アジアに連れて行ったカモエスというパイロットはいたかもしれないが、映画ほど幅広く活躍したわけではないのでないか。

さすがに40〜50年前のロージほど質実なタッチではないにしても、極めて実録的で現在の作品としては非常に地味、フィクションのジョン・ル・カレを思わせる展開ぶりである。こういう作品を見ると、どっちが実話でどっちがフィクションか解らなくなる。ただ、ナレーションでの説明が多いので、ロージやコスタ・ガブラスなどの政治的サスペンス映画のような重厚さが醸成し切れていない。

フランコ政権がなくなってから、スペインは映画先進国になった。ヒトラーの例を出すまでもなく、独裁者は映画をダメにするよ。

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