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zoom RSS 映画評「マリアンヌ」

<<   作成日時 : 2017/10/14 09:43   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2016年アメリカ=イギリス合作映画 監督ロバート・ゼメキス
ネタバレあり

1942年、カサブランカにカナダ出身の諜報員ブラッド・ピットが降り立ち、レジスタンスの女闘士マリオン・コティヤールと合流、フランス人夫婦になりすまして、ドイツの大使暗殺を見事にやってのける。
 この活動中に愛し合うようになった二人は結婚してロンドンに暮らし、娘を設ける。1年後(恐らく1944年)、本部に呼ばれたピットは愛妻がドイツとの二重スパイである可能性が濃厚、罠をかけるから協力し、その事実が確認されたら自ら射殺するように命じられる。実行できない場合は彼自身が反逆罪で死刑になる。
 俄かに信じられない彼は、命令の一部を守らずに自ら調査をし、その為に自軍に犠牲者も出てしまう。追求した彼女に「娘が人質に取られて仕方がなかった」と言われると、彼は関連したドイツ人スパイを全員殺して弁解の余地を設けた上で、彼女と娘とで高飛び(高飛び=飛行機で逃げることではないが、ここでは文字通り飛行機で)することにする。

指摘する人が意外に少ないが、明らかに脚本家スティーヴン・ナイトが「カサブランカ」(1942年)を換骨奪胎し再構築を狙った物語である(多分「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)も意識している)。
 カサブランカという場所は指摘するまでもなく、ドイツに対するレジスタンス、官憲から逃げる(外国人)夫婦、逃げる手段の飛行機、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」、ピアノ・・・。ブラッド・ピットは逃げるポール・ヘンリードであると同時に逃がしてやるほうのハンフリー・ボガートでもある。妻のマリオン・コティヤールは人物配置を変えたためイングリッド・バーグマンとは違う最後を迎える。飛行場で温情を見せるピットの上司ジャレッド・ハリスはフランスの官憲クロード・レインズの役目を果たす。

「カサブランカ」以上に劇的なのは、ピットが迎えるジレンマである。論理のジレンマであって感情的なジレンマではない。彼は妻を信じ、仮に疑惑が事実であっても最初から助けるために行動するのである。
 これが大衆に、特に大衆映画好きのオールド・ファンに、頗る良い塩梅に訴求するものがある。「カサブランカ」は映画技術的には映画史においてそれほど大きな位置を占める作品と思わない一方、大衆の心を打つトップ・クラスの作品であることを心から認める立場の僕である。
 良い場合のイギリス映画というのは現在でもたまに出会うが、「カサブランカ」のような良い場合のアメリカ映画にはここ20年くらい滅多に遭遇しなかった。しかし、本作などは紛れもなく“良い場合のアメリカ映画”(厳密には英国との合作)である。

器用なロバート・ゼメキスが与えられた素材を上手く捌いている。昭和半ば以上の世代に特にお薦めしたい。

カサブランカ良いとこ一度はおいで。

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マリアンヌ ★★★・8
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