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zoom RSS 映画評「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」

<<   作成日時 : 2017/10/01 09:20   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年イギリス=アメリカ映画 監督マイケル・グランデージ
ネタバレあり

実は今年読む予定の重要書籍にトーマス・ウルフ「天使よ故郷を見よ」が入っていた。過去形になったのは、今年既に組み込んだ作品に超絶的に長い難物が多く、残り3か月で数作品しか読めず、この作品が入る余地がなくなったからである。しかし、びっくりしたことに、本作はそのウルフと彼の作品を扱った編集者マックス・パーキンズの伝記映画であった。恐らく来年この作品を思い出しながら「天使よ故郷を見よ」を読むことになるだろう。

1929年、長すぎるなどの理由で出版社をたらい回しにされた新進作家ウルフ(ジュード・ロー)が、名編集者と名高いパーキンズ(コリン・ファース)の許に原稿を持って来る。パーキンズは気に入るが、大いに整理することを求め、二人の長い共同作業の後に漸く完成する。
 「天使よ故郷を見よ」と改題されたこの小説は大評判を呼び、ウルフは一躍文壇の寵児となるものの、これ以降数年続く二人の共同歩調ぶりがウルフとパトロンのバーンスタイン夫人(ニコール・キッドマン)との関係を断ち切るなどの影響も生む。また、作品を発表するごとに落ちる評価と、彼の成功はパーキンズあってのものという定評がウルフを苦しめる。
 かくして彼はパーキンズの所属する出版社スクリブナー社との契約を破棄し、新天地で本格的に仕事を始める前に旅行に出るが、脳結核で突然倒れて弱冠37歳で帰らぬ人となる。

結果的には、生涯の短かったウルフの伝記映画のように見えるが、実際のところは、二人の関係に集中した実話ものというのが正解であろう。彼らの関係性に一種の疑似親子を見るなど普遍的なところもないではないが、パーキンズがかつて面倒を見たフィッツジェラルドやヘミングウェイも絡んでくるので、アメリカ文学に興味のある人のほうが楽しめる。
 20世紀以降の文学は編集者なしに考えられない(のではないか)という部分も興味深い。これは先日観た邦画「二重生活」でも垣間見えた現実で、単独作業と思われがちな執筆業も、そうとは言い切れないと納得させられるものがある。そういう意味では職業紹介映画とも言え、本好きには相当に興味深い。

ただ、そうした具体的な部分に興味が至らない人が、彼らの人生遍歴を楽しむには、些か駆け足的で薄味ではないかと感じられる懸念が回避できない恨みがある。

終戦直後のアメリカを主な舞台にした「ソフィーの選択」にも「天使よ故郷を見よ」が出てくる。

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