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zoom RSS 映画評「二重生活」

<<   作成日時 : 2017/09/05 08:13   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・岸善幸
ネタバレあり

なかなか面白い小説を書く小池真理子の同名小説をTV出身の岸善幸という人が映画化。劇場用映画デビュー作らしい。

大学院で哲学を学び修理論文に取り掛かっているヒロイン門脇麦が、担当教授のリリー・フランキーの提案に応じ、一人の人間を尾行して観察し人間の実存について考察することにする。近所に住む出版社の部長・長谷川博己を書店で見かけ、追ううちに一人の女性・篠原ゆき子と不倫関係を結んでいることを知り、やがて細君・河井青葉が自殺未遂を果たす。
 下手な尾行でとうの昔に気づかれていたヒロインは、長谷川に追及されて遂に論文の件を打ち明けると共に緊急避難的に自らベッドの相手を務める。尾行相手と接触したことを知った教授は、相手を変えて“理由なき尾行”を続けるように言い、彼女は教授を尾行することにする。

ミステリーと言われるが、実際にはミステリー趣味を内包するドラマである。そのミステリーは実は老母を夫婦揃って病院に訪れる教授の生活にある。残念ながら、彼の妻と称する女性・西田尚美が本当の妻でないことは最初に病院で母親に紹介される場面で見え見えである為、教授が自らネタ晴らしをするまでもなく少し勘の良い観客には解ってしまい意外性にならない。
 しかも、「秘密」は人の苦しみを埋める・・・というヒロインの実存哲学的解釈は、観客がヒロインと同時に真実=教授の秘密を知るからこそ効果が出ると言うべきなので、事前にもっと解らないような工夫が欲しかったところ。

ヒロインが哲学科の学生に見えないのも難で、長谷川氏に詰問された時の表白にしても、哲学的用語を繰り出さないから馬鹿にされるのだ。哲学科の学生は利口ぶるわけではなくてもふと難しい専門用語を使って相手を当惑させるものではあるまいか。

全てがハッピーなどという人間はこの世にいないというのが本作の人間観で、本作に出て来る人物の多くがどこかに孤独をかこつ。それを一番体現していたのが母親を失った教授で、妻役の女性が消えた後「死に至る病」により自らの命を止める決断をするわけである。哲学的に考えたい人には、登場人物に実存哲学的な考えを見い出すことができる「エヴェレスト 神々の山嶺」のほうが向いているかもしれない。

フランス映画にありそうな話でした。

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二重生活 ★★
『愛の渦』『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』などの門脇麦を主演に迎え、小池真理子の小説を映画化したサスペンス。抑え切れない好奇心から、近所の既婚男性を尾行することにハマっていく主人公を描写する。ヒロインを取り巻く男性たちを『鈴木先生』シリーズなど... ...続きを見る
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