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zoom RSS 映画評「ミス・シェパードをお手本に」

<<   作成日時 : 2017/09/03 09:27   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年イギリス映画 監督ニコラス・ハイトナー
ネタバレあり

アラン・ベネットという英国の劇作家の経験を綴った自伝的作品だが、私小説的というより彼の目に留めた老婦人の奇妙な生活を描いた実話作品といったほうが正確。

1974年、ロンドンのカムデンという文化人街にマリア・シェパードと自称するホームレスの老婦人(マギー・スミス)がやって来て車ごと住み着く。家々の前を転々とするが、劇作家ベネット(アレックス・ジェニングズ)が官憲に目をつけられて違法駐車になる車を地所にいれてやり、彼女にトイレを貸すなど親切にしてやるうち、彼女は15年も居着き、やがて車の中で死んでいく。
 その間に、音楽嫌いのふりをする彼女が若い頃優れたピアニストであり、その後修道院で音楽を封鎖された為そこに居場所を見出せず、自動車で彷徨するうちにバイクに衝突され、彼女に責任がなかったものの、救助をしなかった為に官憲から逃げ回っていたことが判って来る。

彼女の過去をミステリー的に探るのが作品の眼目ではないが、その過去から判断して、彼女の決心次第でホームレスなどにならずに済んだであろうにと思う。しかるに、彼女は他人の目から見れば不幸な自身の道を選んだ。しかも、時代性であろうか、それとも場所柄であろうか、ささいな親切をしてくれる町民の人々に「ありがとう」も言わない偏屈な婆さんである。だから鑑賞者は積極的に彼女を応援する気にはならないはずだが、僕は泣けてきた。彼女に見る生き方の尊厳が心を揺さぶるのである。周囲の人が親切でありながら、過大な干渉をしないのも頗る好ましい。

本作が「殆ど実話」なのは、主人公の劇作家が彼女をめぐって私人の彼と劇作家の彼とが対話するといった劇的な細工を凝らしているからである。そうした場面に見られる英国映画らしくユーモラスで力の抜けた作りなのは良いが、作家の内面を二人の別人格として描く場面が多すぎてくどい印象をもたらすのはマイナス。

個人的には、「ミス・ブロディの青春」で名前を憶えて以来およそ50年になるマギー・スミスの、自家薬籠中の物にしている感のある頑固な老婦人役の演技に見応えを覚えた。

2か月ほど前に本館でクイズにしたマギー・スミス。「ミス・ブロディの青春」をTVでやらないかな。

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ミス・シェパードをお手本に ★★
英国の劇作家アラン・ベネットの驚きの実体験を、アラン・ベネット自らの脚本で映画化したヒューマン・コメディ。オンボロワゴン車で寝泊まりする偏屈老婦人と、彼女のために自宅の敷地を提供した劇作家の15年にわたる奇妙で心温まる交流をユーモラスに綴る。主演はともに... ...続きを見る
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