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zoom RSS 映画評「ミュージアム」

<<   作成日時 : 2017/09/22 09:01   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・大友啓史
ネタバレあり

巴亮介という漫画家の作品を大友啓史が映画化した連続殺人もの。

「猟奇的な殺人を繰り返す」というAllcinemaの説明は実は日本語として変なのである。「猟奇」に「残虐」の意味がないことを無視しても、猟奇という現象は継続性・連続性がないことには始まらない。
 因みに、「猟奇」の本来の意味は、「奇怪・異常なものに強く興味をひかれ、それを探し求めること」である。医師の父親が顔にひどい火傷を負った娘の為に美人の顔の皮をはがすことを繰り返す「顔のない眼」(1959年)のような作品を猟奇殺人ものと呼んだことから始まった誤解ではないかと思う。顔の皮即ち奇怪なものを求めるから猟奇で、それと殺人が結びついたから猟奇殺人という熟語になったはずなのだが。
 今日の新聞に文化庁による慣用句の理解度に関する調査結果が載っていた。言葉の意味や使い方が変わるのは仕方のないことで、中でも合理的な変化は歓迎しても良い。しかし、認めがたい誤解や誤用というのもないではない。役不足(役が自分の力に対し不足している)を正反対の力不足の意味で使うのは、力不足という正しい言葉が存在する以上、全く感心できない部類である。俳優などが「自分は役不足で・・・」と言っているのは、本来の意味で解釈すれば「自分は大物である」と威張っていることになる。

それはともかく、本作は「セブン」に似ている。パクリと騒いでいる人がいるが、それを言えば大ヒットした「ソウ」シリーズなどもパクリになりますな。本作はその「ソウ」にも影響を受けているところがあり、こういうのは素直に影響を楽しめば良い。そんな文句を言う為に投稿するほうが余程時間の無駄である。

連続殺人は何故か雨が絡むことが多い。本作の奇怪な連続殺人も雨の日にしか殺人が起こらないが、それは犯人の体質に問題があったから・・・と後半に判明する。
 この事件を調べていた刑事・小栗旬は、被害者が3年前の裁判の関係者であることを掴むが、この裁判には妻の尾野真千子も裁判員として絡んでいたのでパニックに陥る。当然捜査から外されるが、そうはさせじと勝手に犯人探しを始める。そして、部下と会話中に挑発しに現れた犯人を追い、結果的にその部下を失い、責任を取らされて拘束されるが、移送中に逃げ出す。
 日光が出た時の反応から紫外線に対するアレルギーを犯人が持つと推理、遂に女医・市川実日子により犯人を特定するに至る。かくして犯人の屋敷に忍び込んで犯人と対峙、結果的に密室に閉じ込められてしまう。
 さて、彼はいかに部屋から抜け出し、屋敷のどこかにいるはずの妻子を救うことができるのか或いはできないのか。

という物語は前半ミステリー性が高く、犯人の目的の解明から犯人特定への過程がなかなか興味深く楽しめる。日本映画らしい悪いところは確かにある。しかし、それは(ある人の指摘する)大げさな演技・演出ではなく、本論と直接関係のない小栗刑事の少年時代のことやらを交えて「深い」と見せようと偽装することである。確かに家族サーヴィスという問題がお話の軸であるとは言え、純度という点で水増し的であって薄味になる。この手のミステリー・サスペンスに一部観客の求める「深さ」は必ずしも要らない。要るのは手に汗を握るスリルと面白味である。

また、犯人があの短期間にあそこまでの多くの殺人を行えたり、或いは拘束から逃げた刑事がいかにも自由に行動しているように見えたり、犯人がカー・チェースで転倒した刑事の車を乗っていた車とは違う大型トラックで襲い掛かったり、ご都合主義が目立つのが作劇的に弱い。

弱点という程ではないにしても、刑事が息子を撮ったビデオに絡む幕切れも思わせぶりすぎだろう。しかし、全体としては、余り面白いミステリーがない昨今、邦画としては健闘の部類。

配役を知らずに見た人には、犯人役の俳優の意外性が一番のミステリーでしたかな。

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巴亮介の同名コミックスを「るろうに剣心」「秘密 THE TOP SECRET」の大友啓史監督が実写映画化した猟奇サスペンス・スリラー。雨の日に猟奇的な殺人を繰り返す正体不明の“カエル男”と、それを追う刑事の緊迫の攻防をスリリングに描く。主演は小栗旬、共演に尾野真千子、野村周平、大森南朋、松重豊。また、妻夫木聡が自らをアーティストと呼ぶ殺人鬼・カエル男を怪演。 あらすじ:ある雨の日、手足を鎖につながれた状態で腹を空かせた獰猛な犬たちを放たれ、生きたまま餌にされた惨殺死体が発見される。“凶器”となっ... ...続きを見る
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