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zoom RSS 映画評「ダゲレオタイプの女」

<<   作成日時 : 2017/09/16 08:53   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2016年フランス=ベルギー=日本合作映画 監督・黒沢清
重要なネタバレあり

黒沢清監督作品で真に感心したのは「CURE」くらい。ホラー映画の体裁をとっているが、哲学的で難しいから、全面的に納得することが少ないのだ。一方で、色々と考えさせる要素があるため、映画的・文学的には面白く見てしまう。今年は既に日本で作った「クリーピー 偽りの隣人」を観ているが、こちらはフランスで撮った合作作品。日本人が出ていないため、事実上の洋画と言って良いのかもしれない。

まず“邦題”に出てくるダゲレオタイプというのは、最古のカメラで被写体は20分以上静止していないといけない。

フランスのどこか、開発地区にある古い屋敷で写真家オリヴィエ・グルメがこのカメラと娘コンスタンス・ルソーを使って撮影をしている。彼女はそのために毎回長い時には2時間も小道具により固定される。
 青年タハール・ラヒムが助手に採用されてこの屋敷にやって来る。彼は専任モデルになっているコンスタンスが気に入り恋に落ちる。ある夜、彼女は階段から落ちて昏倒し、ラヒムは彼女を病院に車で運ぼうとする。車から落ちたらしく突然消えた彼女は無傷となって再び現れる。
 彼は、彼女をアパートに隠し、彼女が死んだと思って落ち込むグルメを騙す形で以前から懸案になっていた屋敷売買を認めさせようと躍起になる。

フランスで撮っているが、黒沢清の原点に戻ったようなオカルト映画になっている。というのも、階段から落ちたコンスタンスはどうもその時に死んだようで、アパートの彼女は幽霊だったのだ。しかし、幽霊は主観が見る幻視にすぎないことが多いわけで、それを考えると以前からグルメだけが見る母親の幽霊にしても主観にすぎないのかもしれず、終始サイコ映画でもある可能性が高い。

映画は序盤から「現実と幻」の狭間に随時言及し、それが最後の種明かしに繋がっているわけで、見終わった後どこからが主人公ラヒムの幻想だったのか考える面白さがある。

哲学映画としての側面では、植物に愛情を注ぎ大事に育てている娘の植物性に注目したい。彼女はダゲレオタイプ撮影のために器具で固定される植物のような状態だが、植物園の面接官に「植物は環境を支配している」と言う。つまり、実は彼女は父親に支配されているようで、父親が彼女に支配されていたのではないか。だからこそ彼女を失った父親はもはや生きることができなくなったと考えられるのだ。そんな主客関係も興味深い。

彼女はなぜ死んだのか。僕には幽霊の母親が殺したようにも感じられるのだが、謎である。この作品においてはその真相は重要ではない。特殊な世界に紛れ込み狂気に陥る青年の悲劇という理解で十分だろう。

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ダゲレオタイプの女 ★★★・5
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