プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「映画 鈴木先生」

<<   作成日時 : 2017/09/12 08:59   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年日本映画 監督・河合勇人
ネタバレあり

武富健治という漫画家の作品がTVドラマ・シリーズ化され、その続編という扱いになる模様。

半世紀以上前の少年時代のものを別にすると、いくらベストセラーであろうとコミックは全く知らない。映画を通して題名を知るくらいだが、映画となったものはそれほど大したことがない場合が殆ど。出来栄えはそこそこでも、軽くて後に残らないものが多い。それと並んで、頭に「映画」などとあるものに面白かったものなどないと断言しても良いくらい。しかし、本作は存外良い。部分的にコミカルすぎる部分があるものの、総じて素晴らしい教育論、あるいは教育論を超えて素晴らしい人生論を語ってくれる作品になっている。

独自の教育論を学校で実行している鈴木先生(長谷川博己)は、お気に入りの女生徒・小川蘇美(土屋太鳳)に対して性的な妄想をする反教育者的な面も持つ。
 生徒会執行部の選挙が近づくある日、教育論で鈴木とバッティングして休養していた足子先生(富田靖子)が復帰、早速鈴木の考えと合わない全員強制参加の選挙を実施するのだと息巻く。すると、彼が担任する一人の秀才が生徒会長に立候補する。全くその気がなさそうだったのにだ。鈴木の想像通り彼は全員参加を強要する一見正しい、しかし、全体主義的な思想に対して立候補演説で「自分たちに自由を」と主張を繰り広げるのである。
 そんな時、それまで全く関係のなさそうに学校近くの公園でだべっていた卒業生の一人・勝野(風間俊介)が学校に侵入、「学校に仕立てられた良い子こそ不幸な目に合う」と品行方正な蘇美をレイプすると言って屋上に連れていく。これに対し、鈴木あるいは彼の生徒たちはどういう態度を取るのだろうか? 

というお話で、主人公の正邪併せ持つ二重人格的な部分、人間は演じることで成長していくという(先生の)主張、常識的だが融通の利かない白黒をはっきり付ける思想が社会を窮屈にするという考え・・・こうした要素が終始絡み合うように進む脚本がかなり上出来である。
 勝野という人物にはその全てが集約されている。即ち、先生が自分のダーク・サイドと重ねることができる勝野は綺麗事で作り上げられた窮屈さに暴走する一方、その過程で、成長する要素である「演じるということ」を教えられるのだ。
 鮮やかな作劇と言うべきで、決して一部で言われる「先生の立場で作られた作品」などではない。グレーゾーンを許さない全体主義的な足子先生と静かに対立する鈴木先生は、公約数的な先生のアンチテーゼだからである。

しかし、総論としては、主張する映画としてなかなか立派な出来栄えと思う反面、先生のコミカルすぎる幻想やクライマックスの非現実的すぎるアクションなどがバランスを狂わしているため気に入らず、減点せざるを得ない。残念でした。

騒ぐほどの問題ではない不倫事件が週刊誌を賑わし、政治にまで影響を与えている。右派的な人が騒いでいるのだろう。一方で、TV 放送の「さん」付け現象や言葉狩りには左派的な匂いが強い。どちらも全体主義的で世の中を窮屈にする。僕は全く歓迎しない。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(4件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
『映画 鈴木先生』
□作品オフィシャルサイト 「映画 鈴木先生」□監督 河合勇人□脚本 古沢良太□キャスト 長谷川博己、臼田あさ美、土屋太鳳、風間俊介、田畑智子、斉木しげる、        でんでん、富田靖子、夕輝壽太、山中 聡、赤堀雅秋、戸田昌宏■鑑賞日 1月20日(日)■劇... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2017/09/12 12:44
鈴木先生 映画
常識を打ち破れ、 世界は変わる 製作年度 2012年 上映時間 124分 原作 武富健治 『鈴木先生』(双葉社刊『漫画アクション』連載) 脚本 古沢良太 監督 河合勇人 出演 長谷川博己/臼田あさ美/土屋太鳳/風間俊介/田畑智子/富田靖子/山中聡/窪田正孝/北村匠海/西井幸人/で... ...続きを見る
to Heart
2017/09/12 17:53
「映画 鈴木先生」リアル金八先生
みんな知っている、4文字熟語を駆使して、体当たりで生徒に熱くぶつかっていく金八先生が本当はいない事を。 みんな知っている、ジャージを履いて生徒のために身体を張って闘うごくせんが、本当はいない事を・・・・ だけど「鈴木先生」ならきっといる。 静かに、だけとちゃんと子供たちのために、日々悩み・考え・指導してくれるちょっと頼りなさげな先生が。 ...続きを見る
ノルウェー暮らし・イン・原宿
2017/09/13 00:43
鈴木式教育メソッド〜『映画 鈴木先生』
 東京郊外の市立中学校。2年A組を受け持つ鈴木(長谷川博己)は、「教室と は、教師・生徒という役割を演じる場」 という独自の理念の基、真面目に教育 に取り組む理論派の国語教師。美しき教え子・小川蘇美(土屋太鳳)への妄想 が止められないことを除けば、彼の教師生活はそれなりに順調だったのだが・・・。 ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2017/09/13 12:30

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「映画 鈴木先生」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる