プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years」

<<   作成日時 : 2017/07/26 09:55   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 2 / コメント 6

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2016年イギリス映画(或いはアメリカ映画?) 監督ロン・ハワード
ネタバレあり

アイドルにして音楽革命家であったビートルズの1962年暮れのメジャー・デビュー前から66年のツアー中止に至る4年間+αに渡るビートルズの足跡を、ツアー即ちライブに焦点を当てて作ったところが秀逸で、僕らのようなファンに目新しいものはさほどないが、三つよく納得できたことがある。

一つはビートルズがライブを止めた理由。一番の理由は誰も観に行くだけで聴きに来ていないということであろうが、彼らの人気のすさまじさから生まれた保守の攻撃から身を守るということもあったようである(もっと芸術的価値の高い曲やLPを作りたいという理由は、その後に来るものだろう)。
 「ビートルズはキリストより有名だ」というジョン・レノンの有名な発言により起きたアメリカやフィリピンでの騒動に相当懲りた模様。日本ではキリスト問題は勿論起きなかったが、日本武道館使用に怒った保守議員らが「日本から出ていけ」運動をした。武道館でのライブが当たり前となった今では隔世の感あり。いずれにしても、有名人はつらいよ、というお話。

次に、ライブで野球場が初めて使われた背景。演奏会場からはじき出された人々の騒動を収め易くするために大人数が収容できる球場の使用が案出されたのだ。なるほど、なるほど。初めて使用されたシェイ・スタジアムに彼らを見に行ったのがウーピー・ゴールドバーグ。黒人音楽を多く取り上げたこともあってビートルズ・ファンの黒人は多かった。

そこで次の納得事項が出て来る。ビートルズの台頭と時を同じくするように激しくなった公民権運動に関わるかのように、彼らは南部の会場で白人と黒人が分かたれていることに抗議し、結局こうした仕切りを取り払わせ、これ以降ライブ会場ではこれに倣うことになる。以前聞いたことがあるような気もするが、とにかく非常に感心・・・というより感銘させられた。

本作に出て来る音楽家やレナード・バーンスタインが異口同音に言うように音楽的にモーツァルトに並ぶ存在にして、社会にこれだけ影響を与えたのは芸術家は他に余りいないだろう。そんな印象を覚えた。監督がロン・ハワードというのが意外だが、実に要領良くまとめている。

唐突ながら、本作でのコメントにもあるように、ジョン・レノンの私小説の始まり「ヘルプ!」はやはり傑作。メロディー、歌詞共に秀逸中の秀逸で、ビートルズらしい変則的なコーラスも最高だ。

もう一つ。ジョンがアメリカの会場において曲目紹介のところでアルバム(LP)名をはっきり記憶していないことを露呈する場がある。当時は各国が独自のアルバム編集をしていたので、これはやむを得ないことだったと弁護しなければならない。
 例えば、日本で「ラバー・ソウル」の後に発売された8枚目・9枚目のアルバム「ステレオ! これがビートルズVol.1・Vol.2」は、英国第1作「プリーズ・プリーズ・ミー」と第2作「ウィズ・ザ・ビートルズ」の曲順変更盤で、僕が本格的にファンになった1970年頃にはまだ買うことができた。本当の「プリーズ・プリーズ・ミー」と「ウィズ・ザ・ビートルズ」がそれから数年後(1976年)日本でも買えるようになり、日本盤は事実上廃盤になった。
 しかし、当時の日本版だけに付いていた東芝EMIの歌詞カードは全くの間違いだらけで、対訳も玉石混交。そこで後年僕が聴き取った、より正しい歌詞と、僕のセンスで訳した対訳を本館で随時発表したが、JASRAC(直接はプロバイダー)からクレームが入り泣く泣く消去した。僕はビートルズや他のアーティストの為に正しい情報を提供しただけなのに。JASRACは著作権法ではなく自分の利益を守っているだけと僕はずっと思っている。何故なら歌詞に関して、著作権法上文学では認められているものが認められていないのである。

ビートルズは1968年に「レボリューション」(ジョン・レノン作)で、共産主義的な革命騒ぎを揶揄したところ、左翼から反発を食らってまたまたレコードが燃やされた。右翼も左翼もやることは全く同じ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years」
ビートルズの前期、ライブをやっていたころの日々を映画に。 ...続きを見る
或る日の出来事
2017/07/27 06:30
『ザ・ビートルズ〜エイト・デイズ・ア・ウィーク』(2016)なぜ今このタイミングなのか?
 正式タイトルは長ったらしく、『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years』です。『エイト・デイズ・ア・ウィーク』はレコード時代、イギリス4枚目のアルバム『ビートルズ・フォー・セール』のB面一曲目に収録されていた名曲で、大好きなナンバーの一つです。 ...続きを見る
良い映画を褒める会。
2017/07/27 19:49

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
自分のひいている楽器の音が聞こえなかったという話を聞きましたよ。
それだけ凄まじい人気だったというか・・・狂信的だったんでしょうね。

右翼も左翼も消えてくれ!であります。
イマジンの世界が訪れるのはいつの事やら・・・
すべての宗教も国境も消えてしまえ!であります。
ねこのひげ
2017/07/26 16:17
ねこのひげさん、こんにちは。

>自分のひいている楽器の音が聞こえなかった
これは、本作の中でも、リンゴ・スターが語っています。ジョンとポールの後ろ姿から判断して合わせていたそうです。
その中でレコードと遜色のなかった演奏は奇跡と言われていますね。

>イマジン
この曲のせいでジョンは発想が似ている共産主義を信奉していると思われていますが、全く違いますね。実際には厭世主義者でしたでしょう。
「人間に所有欲がなければ、宗教も国境も自然と無くなる、人間が所有欲を持たないのは難しいのだけどね」というのがあの歌の本当の意味と思います。
だから、国境がなければ国民を守れないではないかという右翼の意見は全く的外れで、彼にとっては全く意味がありませんね。
オカピー
2017/07/26 23:17
こんばんは!

シェア(今はシェイですか)・スタジアムライブの上映がおまけについていたこともあり、公開開始の日に無理やり観に行きましたよw

上映日数は短く、すぐに終わってしまいましたが、久しぶりに大音響でビートルズを聴ける環境でしたので、すでに見た映像でも十分に楽しみましたw

つぎはレコーディング・イヤーズでも製作するんでしょうかね。それか、ポールやリンゴ、その他関係者がしゃべりながら解説するレット・イット・ビーとかも面白いかもしれませんw

ではまた!
用心棒
2017/07/27 19:57
用心棒さん、お久しぶりです。

>シェア(今はシェイですか)・スタジアムライブ
英語の固有名詞は綴りだけでは発音が判然としないものがあり、ずっとシェア・スタジアムと言ってきましたよね。
近年より発音に近い表記になったようです。

>大音響で
良いですなあ。これは映画館でないと無理。
僕のオーディオのほうが音は良いでしょうがね(笑)

>ポール
歌っていると割合解らないですが、声が老けていました。

>レコーディング・イヤーズ
これはマニア向けになり、映画館ではどうかという感じかもしれません。
「レット・イット・ビー」もそろそろ解禁にしてほしいですね。
オカピー
2017/07/27 21:12
こんばんは!

>解禁
あれ、見たら大したことないんですけどねwww

ダラダラと揉めながらつまらなそうに演奏しているだけですし、寒々しさが伝わってきますよね。

それでもかつて、中学生時代にシネクラブ主催の上映会に行って、はじめて動く後期の彼らを見たときはかなり興奮しましたよw

かなり暑い日が続きますのでご自愛ください。

ではまた!
用心棒
2017/07/29 00:13
用心棒さん、こんにちは。

>見たら大したことない
大学時代に秋葉原・石丸電機のレコード店に行った時、隣にいた大学生らしき二人組が「この間『レット・イット・ビー』TVでやっていたな」「いや、あんなの、もう見ないよ」と言っていたのを思い出します。
多分あれが日本では最後の鑑賞機会だったわけで、彼らも今頃惜しいことをしたと思っているかもしれませんね。

僕は1973年の「ビートルズがやって来るヤァヤァヤァ」と「ヘルプ!」のリバイバルの時に一緒に上映されていたのを見ました。まだ上映権が切れていなかったんですね。その後TVで一度見ていますが、まさかこんなに長く観られないとは思いもしませんでしたよ。

このドキュメンタリーの一番最後に数分間見られますが、下からでも彼らの演奏を聴き、眺められた人がうらやましい。もう伝説ですね。

アイスを大量に買ったとたんにこちらは涼しくなりましたが、8月になればまた暑くなるでしょう。さほど暑くなくても湿度が高いと熱中症になりやすいので、お互い気を付けましょう!
オカピー
2017/07/29 18:32

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる