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zoom RSS 映画評「独立愚連隊」

<<   作成日時 : 2017/07/24 08:57   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1959年日本映画 監督・岡本喜八
ネタバレあり

黒澤明から理屈っぽい部分を除いたのが岡本喜八と言えば、当たらずと雖も遠からず、なのではあるまいか。

昭和19年、北支戦線の将軍廟という町に、従軍記者を名乗る佐藤允が現れ、中国系の従軍慰安婦と心中した見習士官の死を調べ始める。事故で頭のおかしくなった本部隊長・三船敏郎の代理を務めるのは中丸忠雄で、八路軍のスパイを面白がって射殺するような男である。婚約者と称する女・雪村いづみも慰安婦としてこの町にいて再会、佐藤を付け回す。
 近くにならず者を集めた独立愚連隊という小隊があるのを知った彼は、そこを目指す途上で、日本語を話す馬賊・鶴田浩二と知り合い、弟と称する勇ましい女性・上原美佐に案内されて到着、近くに心中した男女の墓があるのに気づく。
 愚連隊の隊長・中谷一郎と意気投合した彼は、やがて、心中したとされる弟の事件を探るために脱走した軍曹の正体を現し、中丸らが不正を暴かれるのを嫌って心中に見せかけて殺したことを掴むと、馬賊らの協力を得て一味と対決する。

戦争映画であるが、調子は西部劇である。つまり、南北戦争アクションの乗りであるが、そこにミステリーの要素を加えてコミカルに展開したのが相当面白くなった所以。
 30年くらい前に一度観ているが、コミカルな戦場アクションという理由で同じ頃観た「兵隊やくざ」(1965年)との間でこんがらがることが多かった。この一年間で「兵隊やくざ」と本作を見直し、混乱は完全に払拭された。

ミステリーと戦争という組み合わせにより「ボー・ジェスト」(1926年/1939年)の気分もあって、アメリカの西部劇や戦争アクションのファンのほうが楽しめるだろう。当時の邦画としては相当はじけた内容であったと想像されるが、若い人であろう、「突き抜けた内容ではない」と言う人がいる。やむを得ないと思う一方、映画ファンであるならば想像力を働かせ、古い映画に当たって貰いたい。

前半の状況説明的な部分で退屈する人がいるようだが、これにもまたがっかり。昔の映画は後段の為に布石をしっかり置くのでどうしてもこういう作り方になる。僕らオールド・ファンには寧ろ気持ちよく観られる所以で、昨今の作品はショットを刻んでテンポが良いように見せかけているだけで、良いリズムや呼吸を伴わないから気持ち良く見せて貰えない。映画の持つ本質的な力は実際には殆ど変わらないわけで、後世の作品が全て使い尽くして新味のなくなった古い映画も、勘の良い人ならその力が感じ取れるはずである。

配役陣も魅力的で、佐藤允のメランコリーを内包した明るさが実に良く、中谷一郎とのコンビも抜群。

韓国の前政権は慰安婦問題に関して日本に誠意を見せた。僕の想定内ではあった。しかるに、別件ではあるが国民の不興を買って崩壊した。国民がそっぽを向き始めた安倍政権は、韓国なら「お前はもう死んでいる」状態だろう。日本ではまだそこまでは行っていない。

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コメント(6件)

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>黒澤明から理屈っぽい部分を除いたのが岡本喜八

これは、その通りだと思いますね・・。同じようなユーモアのあるシーンでも、岡本喜八のほうはカラッとしています。
作品の持つ独特のリズムや、カット割りとかアングルも斬新なせいか、クリエーターにファンが多いのは岡本でしょうね。
庵野秀明の「シンゴジラ」でも、ゴジラ撃退のカギを握る牧博士の役で、岡本喜八の写真が使われていたり、キャストが画面に登場する際に氏名と役職名をテロップで必ず出すところなど、記憶に新しいところですね・・。

「暗黒街の顔役」(ハワード・ホークス版ではなく東宝ギャング映画シリーズ)も、「独立愚連隊」にも出ていて後に喜八一家 となる佐藤允、中丸忠雄、天本英世、など曲者揃いのワキがコメディに近い役柄をやるアンサンブルふう構成が楽しめて好きな作品です。。
「暗黒街・・」の関沢新一の脚本は、もうどうしようもない古い感覚の暴力団人情ものですが、これが岡本監督の手にかかると、人物像もイキイキとしてきて遊び心満載の娯楽作品に仕上がっているのですねぇ・・。
 当時、すでに国際的スターだった三船敏郎が、この作品の狂った連隊長役同様、物語に大きくかかわらない地味な自動車工場の社長役を嬉々として演じてるように見えるのが微笑ましいです(笑)
浅野佑都
2017/08/04 05:34
>映画の持つ本質的な力は実際には殆ど変わらない

若い人の意見によくある、(おそらくはCGがない時代だから・・等々の)昔の映画にしては面白いとかよくできている、などという感想を読むと、ぼくなどは笑ってしまいます・・。
これは、映画に限らず、スポーツ、とくに野球などで昔の選手の記録を当時のレベルが低いといって評価しないのも感心しない傾向です・・。

 世界陸上も近いのでこんな小話は・・。
ベルリン五輪で陸上100メートル金メダルのジェシー・オーエンスの記録は、ボルトと並べば平凡きわまるものですが、当時のコークスを敷き詰めた低反発なトラック、スターティングブロックのかわりに園芸用スコップで自らスタートラインに穴を掘るなどの外的要因と、オーエンスの歩幅、関節が動く速度をシミュレーションした結果、ボルトとわずか一歩しか違わないそうです。

現代人が驕るほど、その実、人間は進化していず、いつの世にも、天才というのは存在するのだという警鐘でしょうね・・。






浅野佑都
2017/08/04 18:52
浅野佑都さん、こんにちは。

>カラッと
岡本監督の特徴ですね。

>庵野秀明の「シンゴジラ」
岡本監督、写真で出演で出ていましたね。解る人ぞ解る、オマージュでした。

>「暗黒街の顔役」
双葉師匠はホークス版も買っていましたが、岡本版も絶賛しているのを知って、是非観たいと思っていたところです。

>三船敏郎
の使い方に、監督のセンスが出ていますね。

>昔の映画にしては面白い
実際には、昔の映画のほうが面白いのですよ。映画の何を見るかによって変わるということですがね。

>野球などで昔の選手の記録を当時のレベルが低いといって
実は数日前に、江川の直球を「やはり凄いなあ」と思って見ていましたが、数字上スピードガンが130km代のものがあり(多分終速です)、「今なら小学生でも打てる」とか言った意見があり、噴飯しましたよ。
 普通の投手の130kmでも小学生では簡単に打てませんし、多分日本投手史上最高のスピンをもつ江川の終速135kmは感覚的に初速155kmくらいに相当するでしょうから、現在のプロのトップクラスでもそう簡単に打てませんよ。江川の高校時代の甲子園での投球を測ったら、常時150kmを超えていたそうです。大谷の直球でさせ少しおじぎしているのに、江川は130km代でも殆どおじぎしない。まして150km代の速球には言葉がありません。
 高校の倫理の先生が高高の野球部の監督だった時に対戦したそうで、「球が本当に浮くんだよ」と驚いていましたね。「あんなの高校生で打てるわけがない、ましてわが高校の生徒ではね」と続きました。
オカピー
2017/08/04 22:34
>江川の直球

プロフェッサーがご覧になったのは巨人入団後の江川の映像ですね。大学で肩を痛めたそうですが、それでも凄かった(慣れないパリーグの打者は切りきり舞いでしたね)
ぼくは、中学二年の秋に、当時作新の二年生エースだった江川を敷島球場で見ているのですが、踵を星飛雄馬みたいに高く上げ(今の投手はバランス重視で踵は上げませんが)快速球を投げ込む姿を覚えています。
相手の前工打線は、4回まで12打者中三振10(内、見逃し8)前工といえど、甲子園経験のある古豪ですが、翌年、春の選抜で大阪北陽相手に19奪三振を演じる江川とでは役者が違いました(笑)
浅野佑都
2017/08/05 16:20
>「今なら小学生でも打てる」
野球中継で見かけるスピードガンは、グラウンドよりも高い位置に設置されており、ボールに対して対角線の角度がきついほう(低め)ほどスピードが出やすいと聞いたことがあります。
クルーズや大谷の160キロ超えも確か低めでした・・。
江川の球は、真ん中から高めに浮き上がりますからね。それをまた、山倉が無造作に受けるんですよね(笑)古田だったらもっと威力ある様に魅せたでしょうが・・。

江川は子供のころ近所の川幅100メートルの川の対岸に石を届かせる練習していたのですが、小学五年生で岸に届いたといいます。ボールより軽い石とはいえ、100メートルは大人でもなかなかと思いますが、江川自身は力よりも風に乗せる投げ方で届かせたとコメントしています。
彼一流の言い方ですが、要するに指先でスピンをかけ空気抵抗を減らした投げ方が、現代の力投型速球投手とは一味違う、流れるような力みのない美しいフォームとともにあの直球を生む要因だったのでしょう・・。
江川の全盛時は高校2,3年の頃ともいわれますが、彼が自民党の船田中などの大人の思惑に翻弄されずに、高校ですんなりと巨人か、あるいは慶應がセレクション加点で合格させていれば(もちろんその後巨人笑)巨人の歴史も慶大野球部の歴史も大きく変わっていたはず・・。

こと江川になると、まるで成就されなかった初恋の行く末に思いを馳せるような柄にもなくセンチになる浅野です(笑)
浅野佑都
2017/08/05 16:22
浅野佑都さん、こんにちは。

>慣れないパ・リーグの打者
と言えば、オールスターでの8者連続三振ですね。最後の大石をストレートで追い込みながらカーブを投げてちょこんと当てられ、江夏に並べなかったという僕ら世代には有名な逸話。当時のパ・リーグの打者が現代の選手に比べてそう落ちるとは思えない。その彼らが直球が来るのが分っていて打てなかった。凄いですよね。
最後にカーブを投げたのが「江川らしい」と解説者に評されましたっけ。

>前橋工
そうでありましょう。
わが母校の(練習試合でしょうね)結果はどうだったのか。先生は言わなかったけれど、もしかしたらノーヒット・ノーランくらいはやられていたかも。栃木県大会では「バントもできない」と言われたそうですよね。

>江川の全盛時は高校2,3年の頃
プロ野球を引退する時に、浅野さんのおっしゃるように「大学時代に肩を壊した」と言っていましたから、そうかもしれません。
フィルムでの測定ですのでどの程度の精度か解りませんが、コンピューターで分析すると、江川の甲子園での最高速度は154kmとのこと。松坂も見ている審判の方は「江川が一番速い」と言っていますね。数字的には同じくらいになりますが。

>高校ですんなりと巨人
個人的にはそれが一番ですね。大学では慶応であっても肩を壊す可能性があるわけで、金田や稲尾の頃とは違う以上プロのほうがまだ大事に使ったでしょう。巨人でなくてもすんなりプロに入っていれば、300勝くらいは行ったのではないかなあ、と思います。
プロでも記憶に残る大投手ですが、記録的には中途半端に終わってしまったのが残念。

>成就されなかった初恋の行く末に思いを馳せるような
上述したように右に同じ。
僕らの世代にとって一番の投手は江川ですね。
オカピー
2017/08/05 21:49

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