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zoom RSS 映画評「或る終焉」

<<   作成日時 : 2017/06/06 08:44   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年メキシコ=フランス合作映画 監督ミシェル・フランコ
ネタバレあり

いじめを発端にして少女の父親が取る衝撃的な行動を描いた「父の秘密」と本作と併せて考えると、小市民が絡む社会的問題をベースに人間を純文学的に見つめるのが、メキシコの新鋭ミシェル・フランコの現在の映画製作のモチーフらしい。

看護・介護師ティム・ロスが3人の末期的症状の患者を担当する。最初の女性患者の姪から「最後の様子を聞かせてほしい」と頼まれるが、応じない。二番目の建築家の男性については家族からセクハラで文句を言われて首になってしまう。そこで彼は別の事務所に再就職し、長男が小児がんで亡くなって別れた妻と娘サラ・サザーランドと再会する。ここで三人目の末期がんの女性を世話する。治療の効果がないのに絶望した女性から頼まれ、彼は安楽死させる。

というお話で、終盤衝撃的な展開をした「父の秘密」同様、本作の最後もまた衝撃的である。安楽死が衝撃的なのではない。介護・看護の合間に体力増進の為かジョギングをするのを日常にしている主人公が、その最中に車にはねられてしまうのである(あのはねられ方では間違いなく死んでいる)。
 事故か自殺か判断の分かれるところながら、彼は左右を確認した上で、赤信号で横断している。十中八九自殺である。自殺をする人間がごく普通の様子でジョギングをするだろうか、という疑問も湧かないではないが。

彼の行動で興味深いのは、患者の家族のふりをすること。一般的には、患者の家族のふりをすることで患者への思いを深化させる為という理解になるが、この主人公の場合は、息子を失った過去のせいか、介護・看護について複雑な様子を見せているので、そう単純ではないかもしれない。現時点ではまだ宿題だ。

サスペンスを沈潜させた長回しという点でミヒャエル・ハネケに似ている。かなりの確率で、意地の悪いかの作家を意識している、と見る。開巻直後ある女性を車で追いかけるところなど主人公が何をやらかすのだろうと観客はドキドキして見続けることになるが、後段でその女性が娘であることが判る。思わせぶりが過ぎるという感があるものの、面白い展開の仕方と言うべきで、そうしたところが受けたのだろうか、カンヌ映画祭で脚本賞を受賞した。しかし、「父の秘密」のほうが僕にはピンと来る。

色々な意味で、安楽死は必要であると思う。日本人の死生観ではなかなか難しい気もするが。

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或る終焉 ★★★・5
第68回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したドラマ。終末期患者のケアにあたる看護師の男が、ある患者から安楽死の手助けをしてほしいと言われたことから苦悩する姿を追う。メガホンを取るのは、『父の秘密』で注目を浴びたメキシコのミシェル・フランコ。『ロブ・ロイ/ロ... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2017/06/06 19:09

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