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zoom RSS 映画評「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」

<<   作成日時 : 2017/06/29 10:48   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年フランス映画 監督マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール
ネタバレあり

昨日の「最高の花婿」に続いて、人種・民族のるつぼたるフランスならではの様子が如実に映し出される。実話らしいが、そんなことに関係なしに、上手く作られていると感心した。

パリのレオン・ブルム高校。都会ではよくあるように、公立高校故に低所得者層が集まるため、様々な人種と民族のるつぼだ。その中でも出来の悪い1年のあるクラスを担当することになった歴史教師アンヌ・ゲゲン(アリアンヌ・アスカリッド)は、そんな彼らにホロコーストに関する研究コンクールに出てみないかと持ち掛ける。最初は全く興味を示さなかった彼らだが、関連する記念館などを訪れるうちに態度が変わる者が現れ出し、それが波及していく。しかも最初はバラバラだった研究が徐々に分担する形で一つにまとまっていく。

本作には二つの要素がある。
 一つはホロコーストを忘れまいという、プロパガンダ的なものである。概してプロパガンダ映画は嫌いだが、普遍的な問題に対する普遍的な言及なら歓迎する。この点で本作を嫌う理由はない。
 もう一つは人種も民族も宗教もごちゃまぜ的な生徒諸君が成長して一つにまとまっていく姿である。

通常ならどちらかが主題になり、どちらかが手段になるのところを、本作はいずれもがその両方を担っている。これが良いのである。つまり、一つの民族を滅ぼそうとした前代未聞のホロコーストを勉強することで彼らは人種・民族を超えて協力する境地に達する。即ち、彼らの行動自体がナチズムに対するアンチテーゼとなっているのである。お見事と感心した次第。

作品のタイプとしては河P直美のグループに属する。後半に入って間もなく、役を当てられた俳優の中に素人(ホロコースト生存者)が演技をしない本人として登場するのである。この場面では、恐らく生徒に扮した若者たちも演出なしの発言や態度をしていると思われる。
 僕の言う【演技の混在】であるが、人間というのは恐ろしいもので、どんなに上手い俳優がいかに本物らしく演じても演技と解る。逆に、本作の生存者レオン・ジゲルを見た瞬間に演技をしていないことが解る。ドラマ映画では嘘っぽいほうが僕は好きなのであるが、勿論こういうセミ・ドキュメンタリーもあって良い。

本作の冒頭に出てくるように、フランスでは学校でのへジャブ着用は禁じられている。それだけを見れば差別であるが、逆にユダヤ教的であることもキリスト教的であることも目立たないだけで許されない。つまり、フランスの学校では無垢の人間であれ、ということに徹しているのである。これは合理的であり、合理的なルールは守られねばならないと思う。
 余りにマイノリティーが宗教を理由に勝手なことをすると、保守的なマジョリティーがどんどんいきり立ち分断が進む。人間が進歩して宗教がなくなる(宗教があるうちは人間はまだ未熟であると思う)まで、お互いに妥協するしかないだろう。

僕は基本的にノンポリなのだが、どうも最近は政治的コメントが多くなって、ポリシーと行動が一致しない。国内では安倍政権とその周辺の横暴、世界ではナショナリズムの台頭が僕の足を引っ張る。

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