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zoom RSS 映画評「オーバー・フェンス」

<<   作成日時 : 2017/06/26 10:00   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・山下敦弘
ネタバレあり

僕の理解力などたかが知れているが、勘は捨てたものじゃないと思っている。

本作は山下敦弘が監督という情報のみで見た。しかし、トーンがいつもと違う。函館が舞台ということもあって、「海炭市叙景」を思い浮かべざるを得なかったのだ。さもあろう、その原作者・佐藤泰志の同名小説を映画化したものであった。山下監督は彼特有のオフ・ビートな呼吸より「海炭市叙景」のトーンを踏襲した感じである。尤も最近の彼は暗い映画が多い。いずれにしても、僕の勘はまあ当たった。

妻・優香と別れて数年のオダギリジョーは、東京の仕事を辞めて故郷の函館に戻り職業訓練学校で大工の修行中で、その若い同級生・松田翔太に紹介されてスナックのホステス蒼井優と懇意になる。昼間は遊園地に勤めている彼女は、とにかく変わった女性で、自分を鳥のように見做し、かつ他人からは虫けら扱いされていると思い込み、唐突に怒り出す。大人の対応をすることの多い彼も持て余す。
 しかし、妻と再会した彼と、その様子をこっそり眺めていた彼女は、夫々自分を少し見つめ直し、彼女が見学に来た職業訓練学校クラス対抗のソフトボールの試合で彼はホームランを打つ。

人生におけるホームランという程大げさな象徴ではないにしても、「そこのみにて光輝く」と三部作を成すという3作の中では一番明確なハッピーエンド的な爽快な終わり方であるのは良い。その分迫力で劣る。

片や勝手に傷ついてしまう女性、片や知らずに女性を傷つけていたかもしれない男性、まるで相性が悪いようで、こういう関係性は嵌まると割れ鍋に綴じ蓋の関係で案外うまく行くものではないか。本編終了後、恐らく二人は夫婦のような関係になり、延々と同じような傷つけ傷つけられ合いを繰り返し、生きていくのだろう。そんな余韻を漂わす。
 実際の人生では映画や小説のように明確な起承転結があるわけではない。その意味で本作が幕切れに漂わすこれからの人生の暗示の仕方は正解であるだろう。

オダギリジョーはこういう性格のはっきりしない人間を演じるのが上手いし、蒼井優も性格が半ば破綻した女性を熱演。さすがなもんです。

高校時代、体育の授業でのソフトボールの試合で3打席連続ホームランを打った。但し、オーバーフェンスではない。ランニング・ホームランだ。4打線連続を狙った最後はスローボールに三振だった。

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