プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「フィフス・ウェイブ」

<<   作成日時 : 2017/05/05 09:04   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 0

☆☆(4点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督J・ブレイクスン
ネタバレあり

YA小説の必要十分条件は、YA向けであることは言うまでもないが、主役がYAであること、そして恋愛要素それも三角関係にすることと見つけたり、か。

ある日突然地球に宇宙人が現れ、ライフラインに始まり真綿で締め付けられるような方法で人類は壊滅状態になる。両親を失った元高校生クロエ・グレース・モレッツは、これまた突然現れた軍隊の指示で避難バスに乗った弟ザッカリー・アーサーと離れ離れになってしまう。

少女が人間と人間の脳を乗っ取った“アザーズ”との区別ができない中で弟を探し出す苦難の旅を続ける様子を見せるのが眼目で、「ボディ・スナッチャー」ものをベースに、YA小説お馴染みの若者のサバイバル模様を合体させた内容。
 少女が荒廃若しくは混乱した世界で頑張る点で「ハンガー・ゲーム」「ダイバージェント」に似、ロード・ムービー的な要素としては「メイズ・ランナー」というシリーズ化されたYA小説映画版と大して変わらず(お話の構図としては「わたしは生きていける」にもっと近い)、さらに弟が愛玩するぬいぐるみを取りに姉を行かせた為に二人が離れ離れになるなど定石的すぎて興醒めるわけだが、乗っ取り型SFの設定を基軸として拝借したところを一応買っておきたい人の好い僕である。但し、本作のようなものをSFの範疇に入れてもらっては困る。「ハンガー・ゲーム」などより単調なので「退屈」という意見も多いが、変に複雑でまだるっこいのもどうかと思う。

物語の続き。
 ヒロインが弟を探すサバイバル冒険を続ける一方、弟のいる基地では子供たちの事実上の徴兵が行われ、やがて彼らの一部は、注入された“アザーズ”を判別する探査装置が実は探査装置をつけていない人間を発見する道具であると知り、軍隊に反旗を翻す。

「ボディ・スナッチャー」はアメリカ人の共産主義者への恐怖の寓意と理解できたが、本作ではそこまで政治的な狙いはないにしても、子供たちが主人公であるから、反抗的青春映画よろしく、嘘をつき続けた軍隊に大人への風刺を沈潜させていてもおかしくはない。この点は本作だけでは確認できない。シリーズ化でもされれば明確になってくるだろう。

高校時代ヒロインが憧れた同級生ニック・ロビンスンと彼女を援助する若者アレックス・ローとの三角関係もどきは例によって例のごとし。読者層へのお約束なのだろうが、これに拘っているうちはYA小説に本当の傑作は出て来まい。

本作独自の問題としては、クライマックスも余り盛り上がらないまま終わるので、作者側には続編も頭にあるだろうが、IMDbの平均得点や投票数を見ると厳しい感じだ。

アメリカではYA小説、日本ではコミックの映画化が花盛り。映画文化が大分子供化している。しかし、日本のコミックのほうが多様性があり、大人の鑑賞に堪えるものが多いとは思う。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(5件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
フィフス・ウェイヴ ★★.5
リック・ヤンシーのヒット小説を実写化したSFミステリー。知的生命体の襲撃で荒廃した地球で、一人の少女が離れ離れになった弟を捜し出そうとする。監督は、『アリス・クリードの失踪』などのJ・ブレイクソン。『キック・アス』シリーズなどのクロエ・グレース・モレッツ... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2017/05/05 17:39
フィフス・ウェイブ
「アイアムアヒーロー」との意外な類似性 公式サイト。原題:The 5th Wave。リック・ヤンシー原作、J・ブレイクソン監督。クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン、ロン・リヴ ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2017/05/05 20:39
フィフス・ウェイブ
【概略】 圧倒的知能を持つ生命体・アザーズの4度にわたる攻撃によって人類の99%が死滅。キャシーは5度目の攻撃を止めるべく、アザーズの秘密を探り始める。 SFアクション ...続きを見る
いやいやえん
2017/05/05 22:22
16-086「フィフス・ウェイブ」(アメリカ)
愛は種の生存本能のための幻想だと思っていた  謎の地球外知的生命体が地球上空に飛来、世界中の電源をシャットアウトし人類を混乱に陥れる。“アザーズ”と名付けられた彼らは、続く第2波として大地震と津波を引き起こし、第3波ではウイルス感染を蔓延させ、第4波では生存者への寄生を開始する。  平穏な日々を送っていた女子高生のキャシーは、アザーズの4度にわたる攻撃で両親を亡くし、ついには弟とも生き別れてしまう。  もはやわずかな生存者も、誰が敵か味方かも分からない中、キャシーは弟を救い出し、人類... ...続きを見る
CINECHANが観た映画について
2017/05/06 09:05
「フィフス・ウェイブ」
本格的な侵略SFものかと思ったら。 ...続きを見る
或る日の出来事
2017/05/07 22:59

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「フィフス・ウェイブ」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる