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zoom RSS 映画評「砂漠の流れ者」

<<   作成日時 : 2017/04/27 09:05   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1970年アメリカ映画 監督サム・ペキンパー
ネタバレあり

サム・ペキンパーはさほど好きな監督ではないけれど、70年代前半までは面白い映画を作っていた。「キラー・エリート」(1975年)以降すっかりダメになった。個人的には余り暴力的でない「ジュニア・ボナー」(1972年)と本作が好きだ。どちらも最近出てこなかったが、やっとこちらが登場。「でかしたNHK!」といったところ。

開拓時代が終焉を迎えようとしている西部。
 砂漠のど真ん中で採鉱中に仲間二人に水と馬を奪われて置いてきぼりをくらったジェースン・ロバーズが、復讐の一念で彷徨中に水を探し当て、この水脈で一儲けしようと土地の登記をすます。狙いはずばり当たって、駅馬車の立て場(今のサービスエリアみたいなもの)として栄え、街を追い出されたお気に入りの娼婦ステラ・スティーヴンズと暫し夫婦ごっこをするが、彼女は憧れの大都会へ出て行く。
 数年後大金持ちの未亡人として彼女が普及し始めた自動車で帰還、その喜びで立て場を裏切った仲間に譲って、一緒にニューオーリンズに出かける準備を始めるが、ブレーキが外れて動き始めた車に轢かれて呆気なく死んでしまう。

ワイルド・バンチ」(1969年)でも示した開拓時代の終焉と映画ジャンルとしての西部劇への挽歌をより強調した作りで、20世紀に普及し始めた自動車が前世紀の人間たる主人公をひき殺してしまうのは、そのまま、新しい時代が古い時代を、新しい映画が古いジャンルたる西部劇を滅ぼす寓意と理解して間違いなく、本作は西部劇へのレクイエムとしてこれ以上ない素晴らしい余韻を残す。同時代ではないにしても数百本の西部劇を観ている僕などはジーンとしてしまうわけで、昨日今日映画を見始めた人にこの感慨は理解してもらえまい。

中年の主人公ともう若くなくなってきた娼婦の恋模様は二人の見た目や商売と違って実に純情たるロマンティックなもので、それをユーモラスに撮っているのがペキンパーらしくなく楽しい。そんなユーモアを醸成する手段が頻繁に使われるコマ落としで、彼の常套手段たるスローモーション(ハイスピード撮影)のアンチテーゼになっているのも愉快。

ご贔屓ロバーズもお話が進行するに連れ滋味が出てきて好調。彼の役名はケーブル・ホーグで、配給会社「ケーブルホーグ」はその名前に由来する。

かくして伝説的な作品となった。

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コメント(18件)

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ジェースン・ロバーズもいいし、ステラ・スティーヴンズがとてもよかったですよね。私はこの映画で彼女の顔と名前を覚えましたよ。わりと脇でずっこけてる役をやることが多いような印象があるんですが、この映画ではヒロインですよね。
この映画には、へんな牧師(詐欺師みたいなの)が出ていたのも覚えています。根はいい人という役だったような。四国だとニセ遍路がいまでも出ますけれどもね。
nessko
URL
2017/04/27 17:09
nesskoさん、こんにちは。

>ジェースン・ロバーズ
僕はもう少し後年「ジュリア」で大のご贔屓になったのですが、この作品の彼も良いですねえ。

>ステラ・スティーヴンズ
「ポセイドン・アドベンチャー」の彼女もやはり娼婦上がりという役でしたが、たった2年しか違わないのに本作は大分若そうに見えました。
 おっしゃるように、余り主演映画はなく、脇でささえる女優さんです。「ポセイドン」は典型だったでしょう。

>へんな牧師
憎めない助平な生臭坊主のようなものですが、一通り知識はあって、最後はケーブル・ホーグを天国へ送るのでした。
オカピー
2017/04/27 20:47
僕はこの映画が昔から大好きです

>ユーモラスに撮っているのがペキンパーらしくなく楽しい。

その通りです

>ご贔屓ロバーズもお話が進行するに連れ滋味が出てきて好調

いい役者さんです。「大統領の陰謀」では全く違う役柄。ベン・ブラッドリー役でアカデミー助演男優賞を受賞

>駅馬車の立て場(今のサービスエリアみたいなもの)

ピッタリの表現です当時の旅行者達は癒されたでしょうね

>「アイル・ゲット・ユー」

渋い・・・。そしてビートルズのシングル盤B面の中では1位・2位を争う名曲です
蟷螂の斧
2017/05/04 08:10
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>僕はこの映画が昔から大好きです
ペキンパーも、案外、こうしたのんびり志向があったのかもしれませんね。
「ジュニア・ボナー」もそういう作品でした。スティーヴ・マックィーン主演の作品にもかかわらず、ハイビジョン化以降出て来ないんですよ。

>いい役者
僕はロバーズを「ジュリア」で俄然注目したのですが、遡って本作などを観ても実に素晴らしいです。

>>「アイル・ゲット・ユー」
>シングル盤B面の中では1位・2位を争う名曲
そう思います^^v
「シー・ラブズ・ユー」「抱きしめたい」などよりよく歌います。

オカピー
2017/05/04 22:30
>ペキンパーも、案外、こうしたのんびり志向があったのかもしれませんね。

同感です

>街を追い出されたお気に入りの娼婦ステラ・スティーヴンズ

軽薄だけどなぜか憎めない彼女可愛らしいです

>「ジュリア」

そのうちに・・・

>「シー・ラブズ・ユー」「抱きしめたい」などよりよく歌います。

さすがオカピー教授
「サンキュー・ガール」も捨て難いです
蟷螂の斧
2017/05/05 20:15
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>ステラ・スティーヴンズ
こういう気取らない女性が僕が好きです^^

>「ジュリア」
一種の女性映画で、ジェースン・ロバーズの出番は多くないですが、少ない出番で光っていましたよ。
好きな映画です。

>「サンキュー・ガール」
これはサビをよく歌います^^
この頃は実に直球でしたねえ。良い曲だと思います。
オカピー
2017/05/06 21:09
>こういう気取らない女性が僕が好きです^^

駅馬車の立て場から都会に出て行く前の夜。夕食
涙を流しながら「二人とも出て行って・・・」いい場面です。
「ポセイドン・アドベンチャー」でも、いい味を出していました

>この頃は実に直球でしたねえ。良い曲だと思います。

サビの部分のメロデイは良いですよねちょっとずつ音が降りていく

>この水脈で一儲けしようと土地の登記をすます

「登記」が出始めたのは、この時代?「シェーン」の時代でしょうか?
蟷螂の斧
2017/05/07 16:32
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>涙を流しながら「二人とも出て行って・・・」
結構純情でした。

>「ポセイドン・アドベンチャー」
2年しか違わないのに貫禄がついた感じがします。
 こちらも娼婦上がりの役で、ちょっと粗野な女性というイメージがあった女優さんなのでしょうね。

>>サンキュー・ガール
>サビの部分・・・ちょっとずつ音が降りていく
サビにおいては結構珍しい着想だと思いますが、ビートルズはさらりとやってしまう。この辺りのセンスが凄かった。僕は音楽のプロではないのでテキトーな意見ですが(笑)

>登記
この作品では「自由地」という扱いで、自分の土地と宣言すればそれに相応する費用の支払いで自分の土地とできたようですね。
 エドナ・ファーバーの小説「シマロン」(映画化も二度あり)は1880年代が舞台で、こちらは競争で勝った者が土地の所有権を得るという様子が紹介されていました。
 「シェーン」の背景は南北戦争後で、入植者が長く住むと土地の所有者になるという決まりがあり、その為に争いが生じるというお話でした。どうもこの時代に西部での登記が始まったようです。

上の三例は少しずつ土地の手に入れ方が違っていますが、いずれにしても、本来の所有者は登記などという観念のないインディアンのもので、かなり失礼な話。強い者が正義だった時代ですから、仕方がないですが。
オカピー
2017/05/07 22:44
>「シェーン」
>どうもこの時代に西部での登記が始まったようです。

なるほど。勉強になります

>入植者が長く住むと土地の所有者になる

僕は知らない土地(田舎)に家を建てて10年目。未だによそ者扱いです
子ども会やPTAの活動を見ても、地元出身の人には勝てません

>こちらも娼婦上がりの役で、ちょっと粗野な女性

ステラさん。さすが役者ですなあ
女囚もの「チェーンヒート」では看守長。怖いおばさんでした

>サビにおいては結構珍しい着想

そうなんですよ。
そして「Thank you girl」も「From me to you」もハーモニカ入りバージョンがある。後から入れたのかな?

まだまだ語り合いたい事があるのですが、連休明けの仕事(残業)でグッタリです・・・。
それではまた。
蟷螂の斧
2017/05/08 20:05
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>僕は知らない土地(田舎)に家を建てて10年目。
いや、立派なものです。
僕は何の運命か、生まれた家に戻ってきてしまいました。
都会で社会人をばりばりにやっていた頃、両親特に御幣担ぎと母親に言われていた父親が信用していた占い師が「次男が家を継ぐ」と言ったそうで、僕は「こればっかりは外れたねえ」と思っていたら、何とその通りになりました。凄い占い師です(@_@)

>「チェーンヒート」
そうでしたっけ。
女囚ものは結構みたので、ごちゃごちゃ(笑)

>ハーモニカ入りバージョンがある
そうなんですよ。
僕がエアチェックしたThank you girlと「パスト・マスターズ」に入っているとが少し違うので、驚いた記憶があります。
1960年代から70年代日本の歌謡曲は、シングルを集めたのがLPだったりするので、バージョン違いの面白味はなかったでしょうが、洋楽ファンはこの点幸せでしたね。

>連休明けの仕事(残業)でグッタリ
今日は如何でしたか?
今週まだ残りが三日もありますね。昔を思い出しても寒気がする・・・
オカピー
2017/05/09 18:39
>中年の主人公ともう若くなくなってきた娼婦の恋模様

ヒルディが入浴。ケーブル・ホーグが背中を流す。歌を歌う二人
そこに早めに到着する駅馬車ユーモラスな場面でした

>何とその通りになりました。凄い占い師です

ジョン・レノンが「God」で歌いました。僕は易を信じない
でも当たる時は当たります
ビック・モローもそうでした

>昔を思い出しても寒気がする・・・

オカピー教授の生き方が羨ましいです。

>洋楽ファンはこの点幸せでしたね。

「Can't buy me love」の別バージョンを聴いた時は感激しました
蟷螂の斧
2017/05/13 20:39
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>ユーモラス
ミュージカル風に歌っていたのも面白く、その後コマ落としで撮って、ペキンパーの一面が見られて楽しい箇所でしたよね。

>ジョン・レノンが「God」で歌いました。僕は易を信じない
煎じ詰めればヨーコに夢中という内容ですが、やはり泣けますね。
天才たるジョンをこんなに追い詰めたのはなんだったのだろう?

>「Can't buy me love」の別バージョン
僕は「レアリティーズ」における I am the Walrus の"I'm crying"と"Yellow matter custard"の間が一小節分余分にあるバージョンが印象深かったですね。それしか違わないのですが。
 「アンソロジー」に入っている Hello Goodbye のアウトテイクもお気に入り。こちらで発表しても良かったのではないかと思うほど。やはり最終バージョンのほうが完成度が高いのですがね。
オカピー
2017/05/13 22:15
>I am the Walrus の"I'm crying"と"Yellow matter custard"の間が一小節分余分にあるバージョン

僕も、それだけでも衝撃を受けました
「And I love her」のエンディングのギターがちょっと長いのも

>やはり最終バージョンのほうが完成度が高いのですがね。

ジョージ・マーティン先生の判断に間違いはないでしょう。
マーティン先生ならば「Dig it」は、どうしたかな?

>天才たるジョンをこんなに追い詰めたのはなんだったのだろう?

思春期に母親を亡くした悲しみでしょうか?

>その後コマ落とし

生まれたままの姿で逃げるヒルディ可愛い女です

>インチキ牧師のジョシュア

彼の存在も大きいです
蟷螂の斧
2017/05/14 20:51
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>「And I love her」のエンディング
事実上同じテイクなのに、こういったわずかな違いのあるバージョンが、マニア心をくすぐるわけですよね。

>「Dig it」
少なくともLPに収録しなかったのではないでしょうか?
そうしたのが「ネイキッド」でしたけど(笑)

>思春期に母親を
それは大きいですよね。
母親の名前をタイトルにした「ジュリア」で、洋子(ocean child)の名前を出す彼ですから。
後はポールとの確執か。
解散後の活動を見ると対照的ですものね。
オカピー
2017/05/15 21:32
>解散後の活動を見ると対照的

ヒットチャートや売上げ枚数はポールの圧勝。
だけど、人々の心に残るのはジョン。まさにカリスマ性

>洋子(ocean child)

あるいは「誰もが隠し事を持ってるぜ俺と俺の猿を除いてはな

>そうしたのが「ネイキッド」でしたけど(笑)

そうなんですよね。
出来れば「Dig a pony」の最初「All I want is you」を削らないで欲しかった。「Naked」なんですから

>わずかな違いのあるバージョンが、マニア心をくすぐるわけですよね。

「All my loving」が始まる前のハイハットとか
蟷螂の斧
2017/05/17 21:03
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>人々の心に残るのはジョン
「ヘルプ!」くらいからジョンは、言わば私小説の作家になり、その叫びがロック・ファンの心を打つようになった。アイドルではなくなってきた。
ポールはビートルズ時代はロックもやっていたけれど、次第にポップへの傾倒を見せ始める。それがポールには合っていて、解散後ポップの名曲を書いた。ロック・ファンはポールから離れた(多分)。
ジョンがくさした「アナデー・デイ」は名曲で、個人的にはシングルになっていない曲に天才的なメロディーを感じるものが多いですね。
「パイプス・オブ・ピース」以降はどうもひらめきがなくなってきたようで、印象に残るメロディーが殆どありません。

>All I want is you」を削らないで欲しかった。
どうもすみません・・・代わりに謝る癖があります(笑)
相当マニアックです!

>「All my loving」が始まる前のハイハットとか
我が家にはこれを収めたソフトは現在ありません。もしかしたらカセット・テープに入っているかもしれませんが、行方不明です(泣)
Youtubeで聴けるかな?

「アンソロジー2」に入っている「ノーウェジアン・ウッド」の歌詞が、
LP収録版では
I sat on a rug biding my time
drinking her wine
となっているところを
I sat on a rug drinking her wine
biding my time
と歌っているのが面白い。
どちらでも意味が変わらず、かつ、押韻も崩れないのでOKだったのでしょう。何故最終テイクで変わったのか? それが問題です(笑)
オカピー
2017/05/18 19:53
>I sat on a rug drinking her wine biding my time

さすがオカピー教授
僕はそこまで知りませんでした。
どちらでも韻を踏んだまま。いいですね〜

>「All my loving」

https://www.youtube.com/watch?v=lEfUHQ4LGsI

>代わりに謝る癖があります(笑)

謙虚ですな

>「ヘルプ!」くらいからジョンは、言わば私小説の作家

そうなんですよ

>解散後ポップの名曲を書いた。ロック・ファンはポールから離れた(多分)。

同感です
蟷螂の斧
2017/05/20 06:07
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>>I sat on a rug drinking her wine biding my time
やはり文学畑の人間なので、気になるわけであります。

>>「All my loving」
情報有難うございましたm(__)m

>>私小説の作家
Nowhere Man, Girl, Nowegian Woodにも自己投影をしている感じがありますね。
ホワイト・アルバムの頃になると、心情吐露の曲でかなり占められます。
I'm so tired とか Sexy Sadie などには当時の心境がよく反映されていますよね。

>ポール
それでも僕は愛聴しましたよ。
LPベースでは「ラム」「バンド・オン・ザ・ラン」「タッグ・オブ・ウォー」がお気に入り。口ずさみたくなる曲が多い!

この間クイズ番組で「Qさま」で、葉加瀬太郎が世界を変えた音楽家3位にビートルズを選んでいてニコリ。1位はベートーヴェンでした。
オカピー
2017/05/20 17:31

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