プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「グランドフィナーレ」

<<   作成日時 : 2017/04/17 09:44   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年イタリア=フランス=イギリス=スイス合作映画 監督パオロ・ソレンティーノ
ネタバレあり

グレート・ビューティー/追憶のローマ」でローマ以上に母国の大監督フェデリコ・フェリーニを追憶して見せたパオロ・ソレンティーノが、老人の過去と現在と未来に対する思いを描いてみせた、意欲作である。

引退したと称している英国の大作曲家マイケル・ケインがスイスの高級リゾートホテルで骨休みをしている。ホテルには半世紀に及ぶ友人でベテランの大監督ハーヴィー・カイテルが、脚本家たちと新作を練っていて、共通の思い人について語るなどして日々を過ごす。
 女王の遣いがホテルを訪れ、ケインに代表作「シンプル・ソング」を女王の前で指揮してほしいと依頼するが、作曲家は無碍にも断ってしまう。
 秘書をしている娘のレイチェル・ワイズは彼が音楽にかまけて声楽家だった母親や自分に冷たかったと不満に思っていると、再度訪れた女王の遣いに「指揮をできないのは、妻が歌うために作った曲だから。妻以外の歌手では指揮できない」と父親が告げるのを聞き、感涙にむせぶ。
 カイテルはディーヴァの大女優ジェーン・フォンダが「あんたの最近の作品はひどすぎる。惨めな姿を見せないように出演しない」と言いにやって来る。彼女なしに資金は出してもらえないのだ。
 ケインは、呆けてしまった老妻を(多分英国の老人ホームに)訪れた後、過去と訣別しないが過去に拘らない心境に達し(僕の勝手な推察)、女王の前で指揮をする。

過去を何らかの形で整理しなければ、現在を受け入れ、未来に進むことはできない。そんなことを言っているような作品ではないだろうか。普通の作品であれば、人は新しいステップを踏む為に過去と訣別するが、本作の主人公は必ずしも訣別はしない。過去を引きずりながらもやがて「過去は過去」と割り切って過去とは少し違う自分を作り出す。
 WOWOWのナビゲーター小山薫堂氏の意見を「そうかもしれないな」と参考にした以外は、殆ど僕の勝手な解釈だが、そうであればなかなか新鮮な切り口である。

ソレンティーノは「きっと ここが帰る場所」でも指摘したように、人物関係や状況の説明を省略しすぎて解りにくいところがあり、半分くらいしか理解できていないのではないかと危惧するが、ウェス・アンダースンにも似た空間把握は相変わらず面白いし、特に情景の捉え方の美しさは特筆に値する。アンダースンと違って唯美的な捉え方が圧巻で、内容的に解り切らないとしても、必見と言うべし。

帰れソレンティーノへ(例によって意味不明)。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
グランドフィナーレ
公式サイト。イタリア=フランス=スイス=イギリス。原題:La giovinezza、英題:Youth。パオロ・ソレンティーノ監督。マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポ ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2017/04/17 19:49
グランドフィナーレ ★★★★
「グレート・ビューティー/追憶のローマ」のパオロ・ソレンティーノ監督がマイケル・ケインを主演に迎え、セレブが集うアルプスの高級ホテルで友人の映画監督と優雅なバカンスを送る老作曲家の憂鬱と葛藤を美しくゴージャスな映像で描き出した人生ドラマ。共演はハーヴェ... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2017/04/17 20:17
若さ〜『グランドフィナーレ』
 YOUTH ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2017/04/19 10:19

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
映画評「グランドフィナーレ」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる