プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「起終点駅 ターミナル」

<<   作成日時 : 2017/03/16 09:03   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・篠原哲雄
ネタバレあり

直木賞作家の桜木紫乃による短編を篠原哲雄が映画化した人情劇。

まずは1988年北海道。裁判官の佐藤浩市は大学時代の恋人・尾野真千子に麻薬所持容疑の被告人として再会、焼けぼっくいに火が付き、妻子を捨てようかと思うが、「誰かに頼って生きるのは・・・寂しいな」と言われた後、別れ際の駅で飛び込み自殺をされてしまう。
 2015年、贖罪の意識からか、家族と別れ、事件以来25年、釧路で国選専門の弁護士を務めていて、麻薬事件の被告たる本田翼を担当する。執行猶予付きの判決を受けた彼女は、後日、自分に麻薬を使用させた知人のチンピラの行方を捜してほしいと佐藤に依頼に彼の家を訪れる。国選以外の仕事をしないと誓う彼は依頼は断るものの、一人暮らしで得意になった手料理を振る舞い、かくして交流を持つようになる。
 やがて兄が妊娠させた少女を家に迎えるのと入れ替わるように家を出た過去を語った彼女は、実家に戻ると告げ、佐藤が連れていくが、10年ぶりに帰る実家はさびれた状態で、残された位牌から8年前の同じ日に両親と3歳の姪が死んだ(交通事故?)ことを知る。兄夫婦はどこかへ行ってしまったようだ。家の納屋で瀕死の状態に倒れている問題の男を発見、病院へ連れて行くと共に警察に連絡する。彼はしっかり自分を見つめることが出来るようになり新天地へ旅立つ彼女を見送る。翌日、結婚するという息子からの案内状と手紙が式の前日に隣家から届けられ、慌てて駆け付ける。

というお話で、原作由来か、色々と符合する記号を配して映画的な面白味を出している。例えば、ヒロインは彼の浮気相手と同じく覚醒剤事件の被告であり、彼女も主人公も長いこと肉親と会っていない。
 一番興味深いのは、突然家に現れた彼女が息子と会いたくも会えない主人公の心の隙間を埋め、彼女が立派になって去ることで生まれた僅かな空虚さを息子から実は届いていた案内状が埋める、という人情たっぷりの構成である。
 二人の関係は「ミリオンダラー・ベイビー」に似た典型的な疑似親子で、海外でリメイクするなら20年位前のクリント・イーストウッドが良い。日本なら勿論30年位前の高倉健がふさわしい。北海道が舞台、訳ありで妻子を捨て或いは捨てられ金銭的な面倒だけは見て来た男が主人公、駅が重要なポイントで出て来るという設定は健さん向きのお話なのだ。監督も降旗康男が良いだろうが、篠原監督は演出過剰で鼻白ませることもあった降旗監督に比べて自然なタッチで展開させていて好ましい。

さて、ヒロインをきっちり成長させて新生活へと送り出した主人公が、そのことによって自身の心構えを一新させ、隣の認知症の老人が手紙を持って行ってしまったのが怪我の功名になったようで、躊躇せずに結婚式への出席を決める幕切れに、主人公と同じ世代である僕は他人事(ひとごと)に思えず、ホッとさせられる。若い頃からこういう傾向の作品は嫌いではなかったが、この年齢ともなると出来栄えに拘わらず、琴線に触れることが多い。


以下どうでも良い僕の考察。

IMDbの平均得点が88人で1.9と悲惨な状態。どうも、これは本作を何故か嫌う日本の女性からの組織票が入っていると踏んでいる。IMDbは一人の複数投票を認めている代わりにデータを精査して加重平均するので一般的なドラマ映画にこういう得点結果はまず出ないのであるが、別人であれば精査の影響は出ない。
 性別が解っている範囲で女性の平均値が1.5で男性は5.2。アメリカのユーザーの平均値は6.3で、米国外(恐らく日本だけ)は2.6。1点を付けた人が72人、2〜3点は2人、5点以上が14人・・・というデータを見ると、1点はほぼ組織票と思われるのである。それを鑑みて僕が平均を出してみると、6.2となった。【Yahoo!映画】での平均点は3.32/5(10点満点に換算すると6.64)だからほぼ妥当であろう。僕はIMDbのトップ1000ユーザーにつき加重の対象となっているので、このデタラメを解消すべくここより1点多い7点を入れたが、焼け石に水、影響を与えられなかった。

組織票と言えば、オールスター・ゲーム。オールスターと言えば野球。連日ヒヤヒヤしながらWBCを観ておりますが、さすがに苦戦しながらも準決勝進出が決定しました。打線は日本の代表史上ベストかもしれない。投手陣も悪くないが、アメリカのボールに慣れている大リーグ組が本当は欲しかったねえ。ダルヴィッシュ、田中、前田、上原がいれば優勝の確率はかなり高いだろうに。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
起終点駅 ターミナル〜本田翼は演技もうまい
公式サイト。桜木紫乃原作、篠原哲雄監督。佐藤浩市、本田翼、尾野真千子、中村獅童、泉谷しげる。原作者の桜木紫乃は釧路出身で、同じく釧路を舞台にした小説で2年前に直木賞を受 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2017/03/16 09:13
『起終点駅 ターミナル』
□作品オフィシャルサイト 「起終点駅 ターミナル」□監督 篠原哲雄□脚本 長谷川康夫□原作 桜木紫乃□キャスト 佐藤浩市、本田 翼、尾野真千子、中村獅童■鑑賞日 11月14日(土)■劇場  TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2017/03/16 12:06
起終点駅 ターミナル ★★★★
「ホテルローヤル」で直木賞を受賞した、桜木紫乃の短編小説を原作にした人間ドラマ。判事だったころに体験した苦い出来事を引きずる55歳の弁護士が、孤独な25歳の女との出会いを経て再生していくさまを追い掛ける。メガホンを取るのは、『小川の辺』などの篠原哲雄。『壬... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2017/03/16 12:54

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「起終点駅 ターミナル」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる