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zoom RSS 映画評「シェル・コレクター」

<<   作成日時 : 2017/03/10 08:17   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2016年日本=アメリカ合作映画 監督・坪田義史
ネタバレあり

アンソニー・ドーアという作家の短編小説を坪田義史監督が映画化した日米合作映画。この監督の作品を観るのは初めてである。

舞台は琉球地方。孤島にシェルターのような小屋を作って独り暮らしている盲目の貝類学者リリー・フランキーが、漂流してきた女流画家・寺島しのぶを助ける。彼女は奇病で商売道具である手が不自由になっているが、猛毒を持つイモガイに刺され昏睡から目覚めると病は治癒し前以上の活力が湧いているのに気づく。
 彼女からイモガイの奇跡の情報が伝わり、近くの島の実力者の娘で巫女のような存在の橋本愛の治療にいやいやながら一役買うことになる。結果的に彼女も救われる。
 そんなところへ自然保護活動家になった息子・池松壮亮が現れるが、キリストのように学者に縋って訪れていた人々と交流を持った後イモガイに刺されて死ぬ。
 これらの事件を経て学者は超俗的な境地に達する。

難解なところが多いが、大よそこんなお話であると思う。アウトラインの理解はできても、それでは何を訴えたいのかと問われて難儀するのは、僕だけではあるまい。

が、【Yahoo!映画】である投稿者が「作品とは、人によって感想は違うかもしれないけれど、作者側には明確な答えがある」と仰るように、解らないことのみを以って貶すのは正しい映画批評の在り方ではない。その解らなさの原因がどこにあるのか探った上で、それでも良い映画なのか、そうではない(単なる独り合点な)のか、その中間なのかを突き止めるべきである。僕はどの映画でもそういうスタンスを以って映画と対峙し、下手な映画評を捻り出しているつもりだ。

閑話休題。
 本作の目指したものは人間と社会と自然の関係性を探ったかなり哲学的な内容だと思う。沖縄の人々の抱いている異物(外国や本土)や戦争への恐怖を背後にかすかに揺曳させているとも思う。空を飛ぶ米軍飛行機を捉え、息子は奇病の原因を自然破壊に結び付け、弥が上にも基地建設問題に思いを馳せたくなる。

しかし、本作は色々な寓意を散りばめたものと理解できるファンタジーであるから、そういう現実問題に絡めた散文的な解釈をするのはつまらない。
 盲目の主人公は孤高な生き方をし、貝の種類と生体に精通している。しかし、同じ毒が病人を治し、健康な人を殺す神秘に、その独善に思い至る。常識を超える自然の神秘に触れ、彼は生死を超えた超俗の人、貝のような自然そのものとなる。
 シェル・コレクターを縮めるとシェルターになる。彼は言わば貝殻のようなシェルターになったのではないか。そんな風に理解したくなる。

何かを考えるのがお好きな人にはお薦め。

1960年代末あたりのATG映画を思い出させる。

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シェル・コレクター〜海底には屍体が沈んでる
公式サイト。英題:The Shell Collector。アンソニー・ドーア原作、坪田義史監督。リリー・フランキー、寺島しのぶ、橋本愛、池松壮亮、普久原明、新垣正弘、ジム・スターク、瀬名波孝子 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2017/03/10 10:23

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