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zoom RSS 映画評「眺めのいい部屋」

<<   作成日時 : 2017/02/08 08:13   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1985年イギリス映画 監督ジェームズ・アイヴォリー
ネタバレあり

デーヴィッド・リーンの秀作「インドへの道」(1984年)で英国の作家E・M・フォースターに俄かに人気が高まって本作が作られ、「モーリス」や「ハワーズ・エンド」といった作品が続いた。本作により実は中堅だった監督ジェームズ・アイヴォリーの名声が高まり、旧作も公開されるようになった。そんな30年前を思い出す。

英国の名家の令嬢ヘレナ・ボナム・カーターが、年の離れた従姉マギー・スミスとフィレンツェを観光に訪れるが、通された宿の部屋は生憎景色の見えないサイド。それを知って同じ英国紳士のデンホルム・エリオットとジュリアン・サンズの父子が部屋の交換を申し出、それにより互いに親しくなる。ヘレナとサンズはぎこちない恋模様を展開するが、彼女は老婆心を発揮したマギーに言われるまま帰国して、読書しか楽しみがない青年ダニエル・デイ=リュイスと婚約する。
 やがて、そのデイ=リュイスが美術館で出会った父子に貸家を紹介すると、その父子が何とフィレンツェの父子だった為、彼女がわざわざフィレンツェから逃げ帰った意味がなくなってしまう。

というお話で、恋愛心理劇としては、実はサンズを恋しているのに自分に嘘をついて別の男に逃避したヘレナが、再会した父子の父親に図星を付かれることで自分の気持ちに正直になるという内容。彼女の彼への思いに気づいている観客は紆余曲折が楽しめる。

「インドへの道」同様に異国の文化がヒロインの心理に影響を与えるというモチーフに文学的な興趣があり、アイヴォリーの少し前の秀作「熱砂の日」(1982年)でもこのモチーフが用いられていた。無為の日々を送る上流階級の人々を描いている点でチェーホフ的な印象があり、デイ=リュイス扮する青年の滑稽な人物像など極めてロシア的ではないだろうか。

自前の映画用語【英国貴族調】は多分この映画を見て使い始めた。簡単に言えば、上品な人々(殆ど英国人に限る)を典雅にきちんと捉えた作風を言うのだが、リーンほど楷書的ではないにしても典雅にして端正なアイヴォリーの演出も好調で、映画館で観た時大いに気に入ったものである。

新星ヘレナ・ボナム・カーターのファニー・フェースも印象的だったが、最近は変てこな役ばかり貰うようになったのはお気の毒。当時既にベテランだったマギー・スミスは貫禄の演技。今回見直して、無名時代のジュディ・デンチが出ていることに気づいた。

最近のヘレナ・ボナム・カーターと大竹しのぶを共演させたら面白かろう。

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眺めのいい部屋
(1986/ジェームズ・アイヴォリー監督/ヘレナ・ボナム=カーター、ジュリアン・サンズ、デンホルム・エリオット、マギー・スミス、ジュディ・デンチ、ダニエル・デイ=ルイス、サイモン・キャロウ、ローズマリー・リーチ) ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
多分、今見ても嬉しい気持ちにさせてくれるラブロマンスだと思いますが、ボナム=カーターを見ると、かつて朝ドラで人気者になった隣のミヨちゃん的な女優のその後を見てるみたいで時の流れを感じます。
好きな映画です♪
十瑠
2017/02/08 10:22
十瑠さん、こんにちは。

映像やタッチは英国貴族調ですが、19世紀後半のロシア文学例えばツルゲーネフの「初恋」のようなムードがあって、僕にはたまらなかったですね。英国文学好きよりロシア文学好きに受けそうです。

>ボナム=カーター
1966年生まれらしいですから撮影時19歳ですか。若い。
最近変な役が多いのは、ティム・バートンと結婚したからですね。彼の監督以外でも変な役が多く、ちと気の毒な気がします。顎が短いファニー・フェースが災いしましたか。
オカピー
2017/02/08 18:19

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