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zoom RSS 映画評「アイアムアヒーロー」

<<   作成日時 : 2017/02/04 08:38   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 7 / コメント 5

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・佐藤信介
ネタバレあり

ゾンビ系列は原則として観ないことにしているが、WOWOWの【メガヒット劇場】にかかったのでは観ないわけには行かない。尤も観始めてから気付いたわけだが。

アシスタントに落ち着いてしまったかつての有望漫画家・大泉洋が恋人・片瀬那奈に追い出された家に戻ると、異形の姿になった彼女に襲われる。再びアトリエに行ってみると、同様に異形の姿に変わったスタッフたちが殺しあって全滅。
 その頃、既に町中噛みつかれることで感染し肉体の変化を起こす奇病が蔓延、彼は女子高生・有村架純と一緒にタクシーで逃走するが、運転手も発症して暴走し車が大破、辛うじて生き残った二人は高いところに感染者がいないと聞き富士山を目指す。
 二日前に赤ちゃんに噛まれた女子高生が森の中で発症するが、相手が赤ちゃんであった為に半人間の状態で、襲い掛かってきた森林監視員をやっつけてしまう。
 二人はやがて山地のショッピングモールに到着、ゾンビ正確には本作ではZQN(ゾキューン)と呼ばれるアンデッドの上って来られない屋上の陣地に匿われることになる。しかし、抵抗空しく屋上のメンバーも次々とやられ、最終的に猟銃を持ってきた大泉、架純嬢、看護婦・長澤ますみが残り、特に大泉が八面六臂の大活躍をする。

常々【リトル・リーグとプロ野球の試合】と例えているように、力の差がありすぎてゾンビとの戦いは余りサスペンスを感じないのだが、本作は僕が見たゾンビ映画の中で最も手に汗を握ると言える出来栄え。DQN(レベルの低い人間と言って良いのか?)とエリートとの比較を基調になかなか上手く作劇され、結局最終的に生き残るのが自分を落伍者と思っている三人というのも首尾一貫し、なかなか侮れない。

“既視感あり”という評価が結構あるが、テキトーに作るうちに有りふれた作品になった場合と、過去の作品を学習して利用した場合とを同じ俎上で語るのは不適切なわけで、本作は後者に当たると思う。確信犯的に「ゾンビ」の設定を利用しただけでなく、大泉が腕に時計を大量に巻き付けていたために噛まれても無事に済むのは「荒野の1ドル銀貨」のパロディーみたいなもので誠に可笑しい。といった具合。

それでは、色々褒めているのに、採点が何故伸びないのか。それは、半ZQN半人間の架純嬢が山中での活躍以外殆ど眠っているからである。
 彼女を最後まで守るヒーロー映画の観点では一貫していて悪くないわけだが、反面、彼女の感染者である強みを伏線的に示しておきながら、その能力を発揮しないどころが足手まとい或いは主人公のモチヴェーションにしかなっていないのでは、サスペンス映画的にはがっかりするのが人情。少なくとも最後の地下街の場面では覚醒しなければ肩透かしと言わざるを得ないのである。彼女の扱いが良ければ☆一つ増えたのに。

ライト線の2ベースかと思ったら、ファウルだった、という感じです。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
アイアムアヒーロー
有村架純と長澤まさみがそばにいるだけで男は強くなれる!   ...続きを見る
Akira's VOICE
2017/02/04 10:17
アイアムアヒーロー
ようこそ。絶叫のZQN(ゾキュン)パニックへ。 上映時間 127分映倫 R15+ 原作 花沢健吾『アイアムアヒーロー』(小学館『ビッグコミックスピリッツ』連載) 脚本 野木亜紀子 監督 佐藤信介 出演 大泉洋/有村架純/長澤まさみ/吉沢悠/岡田義徳/片瀬那奈/片桐仁/マキタス... ...続きを見る
to Heart
2017/02/04 18:45
アイアムアヒーロー〜安保法制発動!
公式サイト。花沢健吾原作、佐藤信介監督。大泉洋、有村架純、吉沢悠、岡田義徳、片瀬那奈、片桐仁、マキタスポーツ、塚地武雅、徳井優、長澤まさみ。感染するとゾンビ化するウィ ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2017/02/04 21:25
アイアムアヒーロー ★★★★
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」などの花沢健吾の人気コミックを実写化したパニックホラー。突如として広まった原因不明の感染によって大パニックが引き起こされる状況で、決死のサバイバルに挑む者たちの姿を映す。メガホンを取るのは、『GANTZ』シリーズなどの佐藤信介。... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2017/02/04 22:33
「アイ アム ア ヒーロー」☆大泉洋と思って舐めたら危険!
あー、面白かった! あー、疲れた・・・・・ あー、マジ怖かった(;´д`) うー、グロかった・・・ これってゾンビが出てくるゆる〜いコメディかと思っていたら大間違い!!!これはコメディだけどホラーだわ。 でも相当良くできていて、実に面白い!!! ...続きを見る
ノルウェー暮らし・イン・原宿
2017/02/06 18:27
「アイアムアヒーロー」
おもしろい! ...続きを見る
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2017/02/07 08:24
映画評「マギー」
☆☆☆(6点/10点満点中) 2015年アメリカ映画 監督ヘンリー・ホブスン ネタバレあり ...続きを見る
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
2017/04/21 08:27

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ゾンビ映画にほとんど傑作といえる作品が見当たらず、吸血鬼映画には「ぼくのエリ 200歳の少女」のような秀作が多いのは面白い現象ではないでしょうか・・・。

 ヒロインがわざわざ(出てこなくてもいい場面に)登場することによって、主人公を窮地に陥らせるのが作劇上の常套手段としても、その弱い者が強い者をフォローする、もしくは、守護者と守られるべき者が逆転する)シーンがあってこそ、物語として深みが出るわけですからね・・。
浅野佑都
2017/02/04 19:42
ヒッチコック映画好きな手塚治虫(初期の「ミクロイドS」という作品など、まさにヒチコックの「鳥」だったりします)は、漫画ストーリーの最後のクライマックスはひとつだけでなく、常に複数のクライマックスを盛り込むことを座右の銘としていましたが、そのことが手塚漫画の格調の高さにつながっていると思います・・。
翻って、昨今の、どんでん返しありきの作品は、作品自体がオーバーワークになり、物語の格調に欠ける・・。
 
 ところで、アニメ「君の名は。」の全米公開が決定しましたが、日本や中国を始め、アジアを席巻したこの作品が北米で成功すれば、日本のアニメは本格的に、ディズニー、ピクサーに匹敵する巨大エンタメの仲間入りしてしまうかもしれませんね・・。

「千と千尋の神隠し」のアカデミー賞受賞など知名度はあっても、日本のアニメは、そのメッセージ性とストーリー性の高さや精密描写、3Dを使わない独特の方式(使っても背景など一部)を含め、作品の出来栄えは認められながらも敷居が高いところがありました・・。

ちなみに、去年のぼくのベスト10作品に邦画は珍しくも4本も入りましたが、内訳は、3本までがなんとアニメ作品でした・・(「君の名は。」は健闘するも入らず・・それくらい高レベルなアニメ作品の当たり年でした)

評論家の中には、アニメというだけで適切な評価をしない(あるいはまったく観ようとさえしない)人もいますが、プロフェッサーは、偏見もなく公平に的確な評論をされるので、今年以降のアニメ作品の評論にも期待しております!
浅野佑都
2017/02/04 19:48
浅野佑都さん、こんにちは。

>ゾンビ映画、吸血鬼映画
吸血鬼には、多分に人間の恐怖心を具現化したところがあり、その裏返しとして人間を描け、為に深く奥行きのある内容に持っていく余裕があるのではないでしょうか。
 翻って、ゾンビは吸血鬼の言わば末裔として登場し、人間の恐怖の具現化である先祖とは違って文明批評的なアングルから作ることを目的とされてきた為に、どうも皮相的になる傾向がある。僕は、その皮相性故に、一部で評価されているゾンビ映画の“傑作”を一向に評価していないわけです。

パソコンが不調でうまく書き込めません。
続きは明日にします。
オカピー
2017/02/04 23:21
浅野佑都さん、続きです。

>ヒロイン
足手まといなら最初からそういう設定に徹底すればまだ良いのに、中途半端に強いところを見せているから余計に欲求不満が生じます。この点に触れていない人が大半だったのに僕は驚いております。

>「ミクロイドS」
勉強不足で知りませなんだ。
馬鹿にして読まないなんてことはないわけですが、手塚治虫のコミックにしても僕はまともに読んだことがないんですよね。
僕の弱みであります。
「鳥」に似ているとあれば、いつかは読んでみたい。

>オーバーワーク
そこに詰め込みすぎて単調になってしまうということですね?
いつか使わせて貰いましょう(笑)

長くなったので、ここで一旦切ります。
オカピー
2017/02/05 09:27
続きの続き。

>巨大エンタメ
大した根拠もないのに日本の自動車会社を目の敵にするような大統領が踏ん張っている国ですから、日本もそれに対してある程度妥協しなければならない以上、アニメくらい頑張って貰いたいです。

>「君の名は。」
ちょっと聞いたところでは、「転校生」のヴァリエーションみたいなお話ですね。

>敷居が高い
宮崎駿の作品は言わば高踏派ですよ。彼のオリジナル作品は、戦前の象徴詩のように、すんなりとは解らないですね。
 どのくらいの鑑賞者が、特に欧米で、「千と千尋の神隠し」が「不思議の国のアリス」から拝借したと気づいたでしょう? 僕がごく初期の段階から勝手に言い始めたことですが、日本では一部に僕と同意見の人もいるらしい。
 一見平明に見える「となりのトトロ」でさえ、「ピーター・パン」の高踏的な焼き直しですし。

>偏見もなく公平に的確な評論をされる
一応そのつもりです^^;
 ジャンルや手法には拘りがありません。ゾンビ映画を観ないのは偏見でなく、経験則です。世評はともかく、それほど巧く作られたものに当たったことがありません。これに関しては浅野さんもご同意いただけると思います。
 邦画に関して言えば、アニメ映画の方が余程大人向け。少なくとメジャー映画はYAを対象にしてしまったので実に子供っぽいですよね。
 ちと家計が苦しいので積極的にはなれませんが、WOWOW等に登場したら勿論書かせて戴きますので、お待ちください。
オカピー
2017/02/05 09:28

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