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zoom RSS 映画評「マイ・ファニー・レディ」

<<   作成日時 : 2017/02/27 09:19   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ピーター・ボグダノヴィッチ
ネタバレあり

昭和半ば世代の映画ファンなら、ピーター・ボグダノヴィッチの監督作品と聞いただけで、観たくなるだろう。45年ほど前「ラスト・ショー」「ペーパー・ムーン」と立て続けに秀作を発表し、その才能を脳裏に刻み付けたはずだから。その後の「ニッケルオデオン」、未公開に終わった「デイジー・ミラー」もなかなか良い作品であったが、80年代以降完全に干され、TV映画の仕事しか回ってこなかった。
 本作は小品喜劇とは言え、劇場用映画だから、僕らオールド・ファンにはちょっと嬉しい贈り物である。「ラスト・ショー」「デイジー・ミラー」に主演したシビル・シェパードが端役で出ているのも楽屋落ち的なお楽しみ。

新進映画女優イモジェン・プーツがインタビューに答えてコールガールであった前身から打ち明け、その場面が一々映像になって現れる形式で進行する。

彼女は舞台監督をしているオーウェン・ウィルスンに“マッサージ”に呼ばれ、すっかり気に入られる。「リスをクルミに」という殺し文句と3万ドルをプレゼントされると、コールガールを止めて念願の女優業に乗り出す。応募したオーディションが彼の演出する舞台と判明して彼女はビックリ。

つまり、彼は偽名を使ていたわけで、ここに嘘若しくは誤解が必要条件であるシチュエーション・コメディーの要素が現れ、やがて「クルミをリスに」が彼の手練手管の常套手段であることが、彼女や細君の女優キャスリン・ハーンにばれてしまい、大騒動に発展する。

さらに、コールガール時代のご贔屓客たる判事オースティン・ペンドルトンが探偵を雇ってまで彼女を追跡し、イモジェンに夢中になった脚本家ウィル・フォートの恋人にして判事やイモジェンを顧客に持つセラピストのジェニファー・アニストンが加わり、嫉妬渦巻く大変な事態になる。

こうした関係者が一堂に会するイタリアン・レストランでの模様はシチュエーション・コメディーを超えてドタバタの様相を呈し、ゲラゲラし通し。フォートが探偵氏の息子と判るなど徹底的にやったのがよろしく、1960年代のビリー・ワイルダーの、(ヘイズ・コード時代だから当然)下ネタ絡みだが品の良い艶笑喜劇に通ずる可笑し味があって楽しい。アメリカでは「笑えるところが殆どない」というのが世評である一方、日本での評価はなかなか良い。お笑いのセンスが日米で違うのだろう。
 修羅場に近い状況にウィルスンが大弱りする場面のテイストはウッディ-・アレンに近く、イモジェン・プーツと一緒にいるとスカーレット・ヨハンソンを相手にしているアレンと重なってしまう。これは弱点と言えるかもしれない。

ホテルの一室で再びイタリアン・レストランでの騒動に通ずる場面が繰り広げられるが、見方によってはくどい感じも生じ、是非の判断に悩むところ。

といった次第で☆★は抑えめにしたが、個人的には採点以上に楽しめた。邦題は勿論「マイ・フェア・レディ」のパロディーでござる。

「クルミとリス」はエルンスト・ルビッチ監督「小間使」(1946年)でシャルル・ボワイエがジェニファー・ジョーンズに言う台詞。実際の場面が最後に流される。ボグダノヴィッチ、映画マニアなり。この辺りもアレンに通じますな。

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「マイ・ファニー・レディ」
ただ楽しい。ただ笑える。大人のコメディ。得るもの失うもの何もなく、でもたまにはこんな作品もいい。っていうか、こんな作品がいい。巷で噂の通り、ウディ・アレンの作風に似てなくもない。でも、洒脱過ぎなかったり、斜に構えた部分がなかったり、という点では、アレンのそれとは全然違う。ストレートに。ドタバタはあくまでドタバタに。ニヤリやクスリではなくて爆笑できるのが気持ちいい。今や映画界での若手スターのイジー(=イザベラ)(イモージェン・プーツ)が、雑誌の取材に答える形でそのデビュー当時の過去を物語る。いかに... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
2017/02/27 20:49

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