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zoom RSS 映画評「ドレッサー」

<<   作成日時 : 2017/02/02 08:42   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1983年イギリス映画 監督ピーター・イェーツ
ネタバレあり

三十余年前に観て以来の再鑑賞。
 「ブリット」(1968年)や「ジョンとメリー」(1969年)などハマるととてつもなく良い映画を作るピーター・イェーツの秀作で、ロナルド・ハーウッド(脚色もご本人)の戯曲の映画化。

第2次大戦中のお話。
 サーの称号を受けた大物舞台俳優アルバート・フィニーは、ちょいと認知症の気配が現れ、街中でわめき出す。付人(ドレッサー)トム・コートニーがなだめたりすかしたりして彼を舞台に引っ張り出そうとするが、違う作品の台詞を口にしたり、出番が来ても座ったままだったり、難儀を極めるが、いざ舞台に立つとそれまでの恍惚ぶりが嘘のような名演を披露するフィニー。

彼が長い付き合いの女性監督アイリーン・アトキンズに言うには、自分の魂が飛び出して上から演技する自分を見ていた(それ故の名演だ)、と。
 映画は実際、舞台を再三俯瞰する。その理由が彼のこの台詞で解る感じがするのだが、映画ならではの工夫と言うべし。

同時にそれは彼の余命が少ないことの暗示でもあり、実際呆気なく死ぬ。彼が書き始めた自伝の献辞には、20年近く彼の世話をしてきた付人の名前がなくてコートニーは憤然とする。

出番はほぼ同じくらいながら本当の主演は付き人コートニーのほうで、傲岸な俳優に酷使されながらも、合間に酒を飲んで時にはこの老俳優を上手く操ってしまう手管を交えた抜け目のなさが実に面白い。
 勿論二人の台詞の応酬も抜群で、クラシックな舞台劇の舞台裏をふんだんに紹介する趣向もよろしく、大いに楽しめた。序盤の列車での移動までの騒動やフィニーが爆撃された街を彷徨する屋外シーンを加えて映画らしい気分を醸成したのも殊勲。

フィニー扮する老俳優は19世紀初めの名俳優エドマンド・キーン由来の指輪を持っている。僕が観たいサイレント映画に彼の人生を扱った「キイン」(1924年)という作品があるのだが、どうしても観ることが出来ない。かの映画を観ずに俳優に関する映画は語れないと思うものの、本作はこのジャンルのトップ・グループに位置するだろう。

イェーツでは「マーフィの戦い」も割合好きでした。

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