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zoom RSS 映画評「ドラゴン・ブレイド」

<<   作成日時 : 2017/01/09 09:40   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2015年中国=香港合作映画 監督ダニエル・リー
ネタバレあり

中国を舞台に西洋人が活躍する「ザ・レジェンド」に続いてこちらもウエスト・ミーツ・イーストものである。あちらが白人が主役であったのに対し中国=香港製のこちらは勿論、中国側からの視点ではあるし、一応史劇としては格好になっていて、それなりに面白い。しかし、世界史を高校で一生懸命学んだ身としては、中国史を知らない人向けにこしらえた感が否めない。

舞台は紀元前50年頃(前漢)で、黄金を横領しようとしたかどで西域警備隊の隊長ジャッキー・チェン以下部下が辺境の雁門関に送られ、砦の建設に勤しむことになる。まず「待ってくださいよ」は、雁門関は北狄(ほくてき=北の蛮族、即ち匈奴など)から守るための中国北東部の砦であり、本作の舞台となる西域・甘粛省とは方向がまるで逆である。今の中国人はそんなことも知らないのかしら? 日本で言えば、五稜郭で九州のお話を描くようなものである。
 但し、前漢が服従させていた現中国北西部の民族が色々と出て来るのは歴史書通りという感じで気分が出ている。実際には彼らは甘粛省よりさらに西の新疆ウイグル地区あたりにいたわけだし、パルティアの女王を出すなら現甘粛省を舞台にするのは厳しいのだが。

カエサルと三頭政治を成したクラッススの兄息子ティベリウス(エイドリアン・ブロディ、実在せず)は邪悪な支配者で、父親を殺した(史実ではパルティアとの戦いで死ぬ)後、漢北西部まで追い込んだ弟プブリアス(実在、映画と違って父親と同じ年に死んだ時は立派な大人)を破滅させる。彼を守ってきたのが将軍ルシウス(ジョン・キューザック)で、フン族(匈奴)の孤児チェンと友情を育んだ後ティベリウス軍に捕らえられ死ぬ。彼にローマの百人隊長の位を付与されたチェンはその部下らと立ち上がってティベリウス軍と戦い、最後はティベリウス自らと一対一で戦う。

歴史(時代)考証はともかく、脚本も書いたダニエル・リーのアクションのカット割りが中途半端。現在の欧米映画はアクションを誤魔化す意図もあってカットを細かく刻む。香港や中国はアクションを見せる為にじっくりカットを構成する。僕は断然後者が好きであるが、本作は刻むでもなしじっくりでもなし、どちらの良いところも出ていず生ぬるいのである。

お話も、チェンたちがティベリウス軍と戦うシークエンスから一気にだれる。殊に直接対決の長々しく締まりのないこと。何度早く終われと思ったことか。その後に続くエピローグにもその気分は引き継がれて、結局最後の20分くらいで★一つ分は価値を下げた。

最後に撮影中の映像を出すのもいけない。これを観ると強制的に現実に戻されてしまう。同じように戻されるのなら早めに映画館を後にし、自然に解凍されるほうがマシだ。こんなサーヴィスはお得でも何でもない。

後のローマ皇帝にティベリウスというのがいる。その辺りから持ってきたのじゃろう。

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