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zoom RSS 映画評「アフリカの女王」

<<   作成日時 : 2017/01/05 09:03   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1951年イギリス映画 監督ジョン・ヒューストン
ネタバレあり

ハンフリー・ボガート主演の、或いはジョン・ヒューストン監督の重要作品は大体TVに出ていたが、この作品だけは出て来なかった為レーザー・ディスクを買った。今では画質も大したことはなくレコードより重いので無用の長物となってしまったが、それでも7800円を出した価値はあったと思うくらい面白かった。
 その後間もなく衛星放送が始まって放映された時にはがっかりしたもの。しかし、数年先に観られたのだから良しとしようと自らを慰藉した。

第一次大戦最中のアフリカ奥地(多分タンザニア)、英国出身の宣教師ロバート・モーリーは、築いた村がドイツ軍に焼かれ失意のうちに死ぬ。一緒に活動していた妹キャサリン・ヘプバーンは、直後に訪れた水運運搬業のボガートの船に乗って安全なところへ移動することにするが、「アフリカの女王」という名のおんぼろ小型船の装備を見て、湖を周回しているというドイツ軍の大型船に船ごと体当たりして爆破する計画を思い立つ。言わば特攻作戦である。
 最初は馬鹿げた思い付きと一蹴した彼も不可能でないと気づいて実現する気になり、急流あり川とも言えないような湿地帯ありの難コースの移動を協力し合ううちに互いに愛情を抱くようになる。
 自然の協力に恵まれやっと湖に出たのも束の間難破して泳いでいるところをドイツ軍に捕まってしまう。絞首刑に処される前に結婚式をしてもらっているうちに、難破した「アフリカの女王」号が流れに乗って船に当たって見事爆破、二人は難を逃れることになる。

最後は殆どナンセンスと言っても展開であるが、終盤「黄金」(1948年)に始まる(?)ヒューストンのライフ・テーマたる“挫折”が出てきた、と思わせておいて逆転打が繰り出される辺り実に楽しい展開と言うべし。
 尤も、それは後年ヒューストンが“挫折”を好んで描いていることが解ってからの新しいファンの意見であって、当時の映画ファンはそんなことは思いもしなかったわけだが、それを知らなくても楽しめる逆転劇であることは言うまでもない。

本作の映画的ハイライトは、極限状況における男女二人の奇妙なやり取りとその関係性の変化で、ボギーとキャサリンの味わい深い好演により大いに楽しめる所以となった。
 後年撮影中ヒューストンとキャサリン(例によってオールドミス。オールドミスを演じさせたら映画史上一番巧い女優ではないか)の関係が上手く行っていなかったと共に自伝で認めている(ヒューストンはアフリカでの撮影期間中に起きた大事件に際し彼女の取った態度が非常に立派だったと感嘆していたと記憶する)のが嘘のように、そんなことは少しも感じさせない充実した内容である。

アフリカの蛮地を舞台にした冒険ロマンとしても楽しめるが、僕にはやはり二人の関係の機微とその変化が一番楽しく、ヘイズ・コードがない英国映画といえども当時事実上禁止されていたベッドシーンを全く別の行為で象徴させたところがなかなか巧い。こういう不自由さがあって映画は奥行きが生まれたと思う。何でも扱え、何でもCGで描ける(煎じ詰めれば漫画だけどね)ようになって映画ファンは本当は損をしているのではないだろうか。

「アフリカの女王」と言っても、腰みのの女王は出て来ない。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
アフリカの女王
(1951/ジョン・ヒューストン監督・脚本/ハンフリー・ボガート、キャサリン・ヘプバーン、ロバート・モーレイ) ...続きを見る
テアトル十瑠
2017/01/05 14:03

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
小学生か中学生の頃にTV吹き替えで面白く観た記憶があったんですが、多分その頃は男女の機微なんか分かるはずもなく、ということは、ただ冒険談としても面白かったという事なんでしょうね。
12年前に観た時の記事は、やはりこの男女のやり取りの変遷が面白いかったと書いております。
十瑠
2017/01/05 14:14
十瑠さん、こんにちは。

>TV吹き替え
僕の記憶にないですから、きっと小学生でしょう(笑)

>男女のやり取りの変遷が面白い
大人になれば、そうなりますね。
十瑠さんの記事を拝読しましたが、ほぼ同じ感想でした。そういう時は非常に安心します(笑)
オカピー
2017/01/05 21:18

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