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zoom RSS 映画評「虹蛇と眠る女」

<<   作成日時 : 2017/01/29 09:43   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2015年オーストラリア=アイルランド合作映画 監督キム・ファラント
ネタバレあり

オーストラリア。ジョゼフ・ファインズとニコール・キッドマンの夫婦が、15歳の娘マディスン・ブラウンと12歳くらいの息子ニコラス・ハミルトンを連れて、砂漠地帯にある町に越して来る。
 ところが、夜子供二人が外に出た後、行方が解らなくなる。ニコールは警官ヒューゴー・ウィーヴィングに捜索を依頼するが、外での生存の可能性が二日しかない砂漠地帯故のタイム・リミットが迫る中、前の町で娘が教師と性的交渉を持ったことが明らかになるなどするうち、夫は暴力がちになり、妻は性的な奇行を始める。
 二日目に息子が発見され、姉が見知らぬ男の車に乗ったことを告白する。

アメリカ映画を中心に誘拐ものが大量に作られているが、本作もその流行に乗って作られた節があるにしても、サスペンス映画ではなく子供の失踪から浮かび上がる家族の問題とその状態の変化を描いたドラマになっている。従って、流行しているサスペンス型を期待すると肩透かしを食らう。尤も、この邦題からそんな映画を想像する方もいらっしゃるまい。

難解な作りではないものの、ピンと来にくい内容については、娘の出奔が彼女の強い性的志向、残された彼女の文集(絵日記?)により両親が既に夫婦の体を成していなかった事実を明らかにし、そしてそこから始まる母親(妻)の奇行を見ることで父親(夫)が目覚めて夫婦が再生する(ように見える)、という解釈で良いのだろう。終わってみれば、子供たちの失踪は、ドラマツルギー上、先日も使った(劇を動かし始める)“池への投石”と考えられる。どうも娘の失踪は、家庭に閉塞感しか覚えられない一少女の家出に過ぎない模様で、「大山鳴動して鼠一匹」な内容に比して作り方が気取りすぎである感が否めない。

殆ど内容に関わって来ないのが不満ながら、邦題にも使われ彼女が文集に残した言葉はアボリジニの伝説に由来するものらしい。彼女自身は"Ride the snake."と書いている。
 何、"Ride the snake."ですと。ドアーズのファンたる僕は、「地獄の黙示録」で一躍有名になった"The End"の歌詞を思い出してニヤリ。ジム・モリスンがこの措辞を使っているのだ。同時に彼女の詩のような文章には、モリスンの詩に通ずるラリッた人が生み出すようなムードがある。
 彼がアボリジニの伝説を知っていたか、或いは、脚本を書いたフィオナ・セレスとマイケル・キニロンズがロック史に残る変てこな詩象徴詩"The End"に影響されたか、どちらかではないか。"The End"をよく読むと、後者っぽい。

♪夏の雨を待ちかねて 子供たちの頭は皆おかしくなる (訳:オカピー)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私が知っている映画だと、だいたいオカピーさんなら…と、予想に近い点数がつきます!
本作などのマイナー作品の場合、地方都市だと上映されるかどうか? ですよね。映画館数、観客数、いろいろ問題がありそうで。
見る本数が無限でないなか、できれば、いい映画をピックアップして、見たいものです。
ボー
2017/02/01 09:23
ボーさん、こんにちは。

>予想に近い点数
おおっ、そうですか。
それはうれしいですね。僕のスタンスがきっちりしている証左ですから。

>マイナーな
洋画全盛期なら、ニコール・キッドマン級のスターが出ていれば、いかに地味でもアート系でもマイナーな扱いはされなかったでしょうにねえ。
僕が中学の時、俳優のジャン=クロード・ブリアリが監督した「小さな約束」なんて地味な作品が地元にやってきましたが、当時はこの手の作品に大手配給会社が食指を動かされたこともあったんですよねえ。今なら絶対に起こりえない。この映画、多分日本のTVに一度も出ていないと思います。

>観る本数が無限でない
そうなんですよね。
反面、そのいい映画がWOWOWに少なくなっているのも事実。わがライブラリーを使わないと、毎日一本のスケジュールを埋めるのがきつくなっております。
昔の良い映画をもっとやってくれないかと思っているのですが、WOWOWもNHKも古い映画に関してやる気がない。と言うか、かつてのように映画ファンに気持ちが向いていないのでしょうね。
オカピー
2017/02/01 15:43

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