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zoom RSS 映画評「完全なるチェックメイト」

<<   作成日時 : 2017/01/22 08:42   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年アメリカ=カナダ合作映画 監督エドワード・ズウィック
ネタバレあり

チェスどころか将棋も出来ない僕がボビー・フィッシャーの名前を知ったのは、1993年に作られた「ボビー・フィッシャーを探して」という作品による。彼のようにチェスの才能に恵まれた少年のお話だった。

本作も、フィッシャーが大人に果敢に挑む少年時代から始まる。
 すぐに頭角を現した彼(トビー・マグワイア)は15歳(1958年)にしてグランド・マスターの称号を得、弁護士(マイケル・スタールバーグ)をマネージャーに就けて世界チャンピオンになる道を探るが、奇行のせいもあってそのチャンスが訪れる前に公衆の前から姿を消す。
 1970年代に入り復帰した彼は、チェス名人の神父(ピーター・サースガード)を参謀に加えて強敵を撃破、72年遂に当時世界チャンピオンだったソ連のボリス・スパスキー(リーヴ・シュライバー)とアイスランドのレイキャビクで対局することになる。

ハイライトは、この一連の対局模様であり、チェスを知らないと多少面白味が減るにしても、フィッシャー側に多少肩入れをする形で手に汗を握らせるように作劇・編集されてなかなか上手い。男性映画的な作品に強みを発揮するエドワード・ズウィックの線の太いタッチが生きた形である。

時代背景としては冷戦最中の1950年代半ばから1972年くらいまでのお話で、チェスと言えばソ連人に適わないと言われる中アメリカ人のフィッシャーが挑戦するという図式は米ソの代理戦争の様相を呈する。チェスに今一つ興味の湧かない向きにはこの辺りが面白く扱われている。
 冷戦構図のせいかどうか知らないが、元来神経質なフィッシャーは、「CIAやKGBが自分を徹底的に監視し、ユダヤ人(ご本人もユダヤ人)が世界を牛耳っている」などと病的な発言を繰り出し、不満があるとすぐに姿をくらしてしまう。一種の破滅型天才の奇行とそれに彩られた(?)半生を眺めるのも我々凡人にはお楽しみになろうか。

結局彼はこの対戦に勝利して世界チャンピオンになるものの、再び姿を消し、92年にアメリカが制裁中のユーゴでスパスキーと再度対戦した以外は殆ど公式の場に現れなかったらしい。制裁している国で試合をしたとアメリカから国籍を剥奪され、追われる形の彼は、数年日本に暮らすなどした後、レイキャビクに落ち着き2008年そこで死んだ。チェスが解らなくても、【事実は小説より奇なり】を地で行くようなお話として一通り楽しめると思う。

トビー・マグワイアが好演。

チェスの強いことを共産主義のおかげとしたソ連は変。スパスキーがフィッシャー同様、変なことを言い出すのは演技だろうか、それとも?

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完全なるチェックメイト★★★
「ラスト サムライ」の名匠エドワード・ズウィックがトビー・マグワイアを主演に迎え、伝説の天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの半生を映画化した伝記ドラマ。アメリカとソ連が冷戦下にあった1972年。15歳の時にチェスの最年少グランドマスターになった経歴を... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2017/01/22 23:19

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 これは見応えのある作品でした!
ぼくのお気に入りでもあるトビー・マグワイヤーの代表作になる映画だと思います。

子供のころからボードゲームが好きで、将棋、チェス共、一応指せますが、相手の駒を取っても自分の戦力にできないチェスは、将棋と比べて優劣がつきにくく、高レベルの対戦になるほど引き分けが多い、といわれています。

その中で、ボビー・フィッシャーは、将棋の羽生善治に言わせると、判定ではなく一本勝ちを狙いに行ってそのとおりに勝ってみせる、という豪快かつ華麗な棋風だったようです。

七冠当時の羽生について、一時、(羽生マジックと言われた)ありえないような指し手で勝つ、という評判が立ちましたが、チェスでもレーティングで日本1位の彼は、フィッシャーの影響をかなり受けていたようで、制裁中の成田で入国管理法違反で収容されているフィッシャーを救うための嘆願メールを、当時の小泉総理に当てて送っているほどです。
天才は天才を知る、ですかね・・。

浅野佑都
2017/01/23 02:44
浅野佑都さん、こんにちは。

>トビー・マグワイヤーの代表作
間違いないでしょうね。とても良かった。
しかし、観ている人が余りに少ない。
洋画不遇の時代ですね。

>子供のころからボードゲームが好き
父親が遊びの類を一切しない人だったので、全くできません。中学から高校の頃、周囲がやっていない囲碁に天邪鬼にも興味を持ったものの、周囲にできる人がいなかったので、結局憶えずに終わりました^^;

>入国管理法違反で収容されているフィッシャー
ほんの少しニュースで聞いた記憶がありますね。「あの映画で名前を聞いたボビー・フィッシャーが日本にいたのか」てなもんです。
天才は天才を知りますね。
オカピー
2017/01/23 20:49

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