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zoom RSS 一年遅れのベスト10〜2016年私的ベスト10発表〜

<<   作成日時 : 2017/01/16 09:32   >>

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 群馬の山奥に住み、体調も万全とは行かず、WOWOWを中心にした映画鑑賞生活ですので、僕の2016年私的ベスト10は皆様の2015年にほぼ相当する計算でございます。
 スタンスとして初鑑賞なら新旧問わず何でも入れることにしていており、その年の状況によってはとんでもない旧作を入れることがあります。昨年はYouTubeでサイレント映画の秀作を幾つか観ましたが、果たして?

 2016年鑑賞本数は364本、再鑑賞は55本でした。従って、本稿対象となる初鑑賞作品に関しては309本。かつてより大分少なくなりましたが、年初の予想に反し、再鑑賞作品はそれほど増えず、新作鑑賞数300本を維持したのは自分でもびっくり。つまらんつまらんと終始言いつつ、WOWOWが繰り出す邦画につい付き合ってしまうからかもしれません。

 2017年も、昨年に引き続き事件・事故・病気もなしに愉快に映画を楽しめる年となりますように。

 それでは、参りましょう。


1位・・・海街diary
昨年観た少なからぬ邦画の中でベスト10選考に残ったのは僅かに3本。殆どがかすりもしなかったお粗末ぶり。しかし、わがベスト10の常連になりつつある是枝裕和監督の本作は、悠揚迫らぬ境地さえ感じさせて見事でした。美人四姉妹も存在も後押しして栄冠に至る。

2位・・・セッション
最後の10分間、登場人物の熱気を捉えたカメラ・ワークに陶酔させられました。それに尽きる感じです。本作を1位にする考えもありましたが、1位を譲る代わりにこのカメラ・ワークを生み出した若手のデイミアン・チャゼル監督に監督賞を進呈することにした次第。

3位・・・バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
昨年鑑賞した作品の中で一番の力作でしょう。技術的にはカットや場面の継ぎ目がないように見える“ワン・ムービー・ワン・カット”的手法が目を引きますが、酩酊感を味わわせる効果があるとは言え、コンピューターを利用できる現在ではそれほど難しくないので、それだけではこの位置には置きがたい。何と言っても、映画界の現状について監督のアレハンドロ・G・イニャリトゥが思うところを色々な角度から綴ったような内容が辛辣で面白かったというのが一番。

4位・・・キングスマン
残虐な映画は好きではないものの、繰り出されるユーモアの数々に終始ニヤニヤ、ニタニタ、ゲラゲラし、かつアクションの馬力に圧倒さる。レーナード・スキナードの名曲「フリー・バード」のギター・ソロに乗って繰り広げられる大殺戮場面の凄み! この曲がこういう風に使われるとは。

5位・・・君が生きた証
大学でのテロ被害者と思われた若者が終盤に実は加害者と判るお話で、その父親の苦悩を描く内容ですが、ミス・リードによる作劇の妙に尽きる感じ。正攻法に作っていたらこの半分の感銘も生み出すことはできなかったでしょう。俳優ウィリアム・H・メイシーの初演出とは思えない巧さ!

6位・・・サヨナラの代わりに
こういうストレートな死病・難病映画がわがベスト10を飾るとは想像だにできず。病気を患う女性と彼女の世話をすることになる今どきの女子大生の交流にじーんとさせられましたね。扱いが素直でうまいのが良い。

7位・・・雪の轍
昨年見た新作の中で最も高踏派ぶりを示したトルコ映画で、善と悪の問題をドストエフスキー的なアングルで扱っています。と言っても「罪と罰」のように殺人などは絡まず、非常に些細なお金の問題から切り込んでいくわけです。かくして漂い出す哀しく虚しいチェーホフ的な後味。難解ではなくてもピンと来にくい作品ですが、ロシア文学が好きな人間にはこのアプローチと味わいが捨てがたいのであります。

8位・・・ブリッジ・オブ・スパイ
一昨年からわがベスト10においてアメリカ映画が復調気味とは言え、メジャー作品が殆ど絡んで来ない。そんなこともあり、このスティーヴン・スピルバーグ作を入れておきたくなりました。映画本来の魅力を強く感じさせる平明な楷書的演出、カット割りができるアメリカの監督はスピルバーグくらいしかいなくなりましたよ。映画として実にがっちり出来ている。

9位・・・おみおくりの作法
通常の映画で僕が客観ショットと言っているものは、映画論的には全て神の視線ということなりますが、本作の幕切れは本当の“神の主観ショット”ではないかと思いました。つまり、神の視線だけれども客観ショットにあらず。孤独死の問題を扱った本作の幕切れに甚だ胸が熱くなるのは、その結果なのかもしれません。

10位・・・毛皮のヴィーナス
多重の入れ子構造の面白味。但し、それを味わうにはギリシャ神話以降から現在に至る西洋文化に関する最低限の知識が必要と思われます。西洋文化に通暁しているとは言えない僕が言うのも何ですが。ロマン・ポランスキー意気軒昂たり。

次点・・・霊魂の不滅
100年近く前のサイレント映画ですが、本当は昨年一番感銘した作品。内容も演出も誠にしっかりしてい、却って映画界の現状にがっかりさせられる結果に。さすがにこれを1位にするわけにも行かないわけで、そういう時に次点という扱いはなかなか便利(笑)。ほぼ同時期に見たサイレント映画「アッシャー家の末裔」も秀逸でしたよ。

画像


ワースト・・・レフト・ビハインド
サスペンスに見せかけたキリスト教原理主義プロパガンダ映画。こんなインチキな映画はちょっと見たことがない。つまらない映画を見ても腹を立てることはないが、映画を見て数年ぶりに怒りました。

****適当に選んだ各部門賞****

監督賞・・・デイミアン・チャゼル〜「セッション」
男優賞・・・マイケル・キートン〜「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
女優賞・・・杉咲花〜「トイレのピエタ
脚本賞・・・アレハンドロ・G・イニャリトゥ〜「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
撮影賞・・・町田博〜「FOUJITA
音楽賞・・・グレッグ・アレクサンダー〜「はじまりのうた
特別賞・・・「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」のワンちゃん(名演技にワンだふる演技賞を進呈致します)

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2015年マイベスト38(おまけで第11回シネマ停留所映画賞)
「ベスト10」だけでは、つまらないから、全部に順位をつけましょうかね?という、毎年恒例のお遊び。 ...続きを見る
或る日の出来事
2017/01/18 09:38

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
 年初恒例の1年遅れのベスト10、プロ、アマ含め数多の映画評論サイトの中でも特に信頼に値する、「プロフェッサー・オカピーの部屋別館」を訪れるのは、ぼくの至高の楽しみであります。

プロフェッサーの挙げたベスト10はもちろん観ていて、どれも納得の映画ばかりですね。
個人的にマイケル・キートンのファンであり、やはり、というか、入ってほしかった「バードマン」が僕のベストワンでした。

「キングズマン」が入っていたのは意外でしたが、007世代でモンティパイソンの影響を子供のころに受けたわれわれには、ニヤッとさせられるシーンが随所にありましたね!

ぼくの選んだ映画はおおむね、プロフェッサーと一致すると思いますが、1位と4位、7位、8位のところに、以下の作品が入りました。

☆「つぐない」や「ラブリー・ボーン」の可憐な子役から、美しい蝶に見事に完全変態したシアーシャ・ローナンの「ブルックリン」

☆「アウト・オブ・キリング」のB面とも呼ぶべき「ルック・オブ・サイレンス」
☆シャーロット・ランプリングの年齢を超越した魅力に敬意を表した「さざなみ」
☆アジア系では「サウルの息子」と
次点に「光の墓」などが一昨年のベスト10でした。
浅野佑都
2017/01/16 12:39
浅野佑都さん、こんにちは。

過分な誉め言葉に恐縮してしまいます。
これを励みにもっと精進しなければ。
できれば映画館で観て公開のリアルタイムで書ければ一番良いのですが、諸事情でそれもなりませんので、悪しからず。

>「バードマン」が僕のベストワン
酩酊感をもたらす映像とシニカルなお話が絡み合って、凄みのある作品でしたね。きちんと理解している自信があれば1位で良かった作品です。ちと遠慮しました^^

>「キングスマン」
インディ、アート系ばかりになるのも嫌だったということもあり、昨年ジャンル映画で一番楽しめた本作をかなり上位にもって来ました。
 残虐なのを別にすれば、ユーモアとアクション描写の馬力とで、オールド・ファンに(も)楽しめる作品でしたね。
 この作品同様、「ブリッジ・オブ・スパイ」は、上記の観点から実際の手応えより上にしてあります。

>「ルック・オブ・サイレンス」
昨年「アクト・オブ・キリング」を入れたということもあり、本年は除外しました。

浅野さんが挙げた他の作品は、いずれもWOWOWに登場しなかったので、観ていれば入っていたかもですね。
 シアーシャ・ローナンやシャーロット・ランプリングという名前を聞くだけで良さそうです。

オカピー
2017/01/16 18:42
2、3、4位はリアルタイムで観ました! 1位もあとで見て、いいと思いました。
「セッション」は、単に大嫌いなのでワーストにしましたが、もうすぐ公開の期待のミュージカル「ラ・ラ・ランド」が、その監督のチャゼル氏で…。別物映画ですから大丈夫だとは思うのですが。
ぴったりは合いませんが15年度のベストテン記事をTBいたしました。
ボー
URL
2017/01/18 09:44
ボーさん
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

一年遅れのベスト10にTBを送ってくれる人は、ボーさんだけになりました。
確かにぴったり合わないので遠慮される方もいらっしゃるのでしょうが、そもそもベスト10を選出するブログが減っているのだとか?

4位の「キングスマン」は、見事一致しましたね^^
「スター・ウォーズ」も「マッド・マックス」も観ましたが、TVで観たせいもあるかもしれませんが、さほど乗れず。

「セッション」は教師が憎い野郎なので嫌う人は嫌うかなあと思いますが、最後の10分間のカット割りは音楽を絵で聴くかのような印象。圧倒されましたよ。
嫌いな作品の監督=嫌いな監督ではないでしょうから、新作はきっと大丈夫でしょう。
オカピー
2017/01/18 14:25

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