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zoom RSS 映画評「ハッピーエンドの選び方」

<<   作成日時 : 2016/12/30 09:23   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2014年イスラエル映画 監督タル・グラニット、シャロン・マイモン
ネタバレあり

尊厳死(積極的安楽死)を扱った近作に我が邦の秀作「終の信託」、フランス映画「母の身終い」がある。同じくこの問題を取り上げた本作はイスラエルの作品である。

老人ホームで妻レヴァーナ・フィンケルシュタインと仲良く暮らす発明好きの老人ゼーヴ・リヴァシュが、末期がんで苦しむ友人とその妻アリナ・ローゼンから頼まれ、スイッチ一つ押せば薬が注入され楽に死に至る装置を発明、同じホームに住む獣医や元刑事を味方につけて犯行がばれないようにする。友人はその装置のスイッチを自ら押す。 これを察したある老人がこのグループを脅し、末期がんの妻を安楽死させるよう仕向ける。
 その頃レヴァーナが認知症を発症し、廃棄された食品を食べたり、全裸でホールに現れたりする。妻の認知症を認めたくない彼は一度は装置を破壊するが、妻の「自分らしさ」を保ったまま死にたいという意向を無視できず、遂にその日を迎える。

少しずつユーモアを放出してコメディーらしい仕立てであるが、見かけ上(日本人が一般的に考える)コメディーとは言いにくい。しかし、彼らが大真面目に徒党を組んで尊厳死、イスラエルの法律では殺人を行うところに、一種のブラック・コメディーの要素がある。ブラック・コメディーは笑わせることよりブラックさが眼目であり、その為には登場人物が真面目であるのが重要。本作はその要件を満たしているものの、死を扱うことにおいておとぼけ感が不足しているので、ブラックさが希薄になっている。

総合的に考えると、認知症を出してきたのは現実の社会に照らしテーマの間口を広げることには貢献しているが、同時に、それと組み合わされることにより尊厳死というテーマが拡散し曖昧になってしまった印象がなくもない。
 それに関連して言えば、肉体的苦痛ならともかく精神的苦痛を理由に尊厳死を希望するのは早計という考えもあるが、微妙なところ。文学的な意味においてなら、尊厳死が最も必要なのは認知症患者であろう。

認知症は初期の段階で辛いのは本人だが、病状が進むと家族が辛くなる。妻が別人になる辛さを綴った日本の作家がいますね。

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