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zoom RSS 映画評「先生と迷い猫」

<<   作成日時 : 2016/12/29 10:15   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・深川栄洋
ネタバレあり

秀作・佳作とは言いにくいけれども凡作とも言えない作品が最近は多い。僕が甘くなったという説もあるが、何と言うことはない日常的な情景を捉えた本作も捨てがたい。

元校長先生のイッセー尾形は、妻もたいまさこを失って、世間から浮いた存在でもあり、孤独をかこつ。家には亡妻が可愛がっていた野良の三毛猫ミイがよく現れるが、妻を思い出して寂しくなるのが嫌な彼は冷たくあしらう。最後にガラス窓をがりがりやったのを追い払った後突然ミイは行方をくらます。いなくなると寂しくなるもので、懸命に探し始めた彼は、ミイが近所の人々(北乃きい、岸本加世子、ピエール瀧)などが夫々の名前で可愛がっていたのを知り、一致協力して探すことで人々の間に溶け込んでいく。

乱暴にまとめれば、猫を狂言回しに、変わり者で孤独な元校長の心境の変化を追うお話である。観客はそこから人々が心を通い合わせる、理想的にして普遍的な人間関係の在り方を見出すにちがいない。この種の作品が観客に感動を呼ぶとしたら、そこに自分を見出す共感が最大要因であり、本作にはちょっとした特殊性から昇華する普遍によりそうした共感を呼びうるだけの要素を持っていると思う。

猫は死ぬ前に姿を消すと言う。その伝で行けば、ミイは死んだのである。映画は少しテクニカルな映画的表現で暗示しているのではないか。終幕の校長のフラッシュバックである。
 主人公がミイを見つけられず疲労困憊の体で帰宅する。夜である。画面の外で「猫がきたよ」という生前の妻の声が聞こえ、やがて明るい画面で妻がその前に飼っていた先代ミイに似ている猫をあやしている過去の場面に移行する。ここは台詞が重要で、亡くなった妻の声による「猫がきたよ」は、天国で一緒になったよ=ミイは死んだ、という意味に解釈したくなるのである。あるいは、“死んだミイ”とは野良のミイであり、これは幻視かもしれない。どちらにしてもミイの死を示すことになる。画面が妙に明るいのも天国を思わせる。

ミイがその前に優しくしてくれた人々に挨拶しにいくのも、後になって思い起こすと泣かされる。
 ところで、群馬にUターンした20年ほど前我が家に落ち着いた牝の迷い猫にミーと名付けた。数年間いて子供を何匹も生み、子供をしつける様子も見せてくれた。子供を呼ぶ時の声はいつもとはまた違うものであった。ある秋の日、彼女は徹底的に僕に甘え、ひっくり返ったりしてじゃれた。数日後家の前で死に、僕らは庭の片隅に埋めた。そんなことを思い出して、個人的にひどくじーんとさせられたのである。今にして思えば、ミーは自分の死を予感していたのであろう。

因みに、ブログに掲載している猫は我が家の飼い猫第一号のルミ別名ポップニャンコーンである。実物は写真以上に端正で、猫のアラン・ドロンと思っていたものである。生きていれば50歳以上です(笑)。

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映画・先生と迷い猫
2015年 日本 木附千晶「迷子のミーちゃん〜地域猫と商店街再生のものがたり〜」をベースにオリジナルキャラクターやストーリーを加えたもの ...続きを見る
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『先生と迷い猫』
□作品オフィシャルサイト 「先生と迷い猫」□監督 深川栄洋□脚本 小林弘利□原案 木附千晶(「迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生の物語」)□キャスト イッセー尾形、染谷将太、北乃きい、岸本加世子、       ピエール瀧、嶋田久作、もたいまさこ■鑑賞日 10月11日(日)■劇場  チネチッタ■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)<感想> 校長職を定年退職し、妻に先立たれて一人暮らしをする森衣恭一(イッセー尾形)。 堅物で偏屈なことから近所でも浮いた存在で、訪ねてくるのは亡き... ...続きを見る
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