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zoom RSS 映画評「杉原千畝 スギハラチウネ」

<<   作成日時 : 2016/12/17 09:23   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年日本映画 監督チェリン・グラック
ネタバレあり

不勉強につき、杉原千畝の名前を知ったのは、やっと20年位前TV番組「知ってるつもり」でである。「シンドラーのリスト」で逃亡するユダヤ人に手を貸したドイツ人のシンドラーが有名になり、似たことをした日本の人物として注目されていたということだと思う。
 外務省が2000年まで長らく彼の名誉を回復しなかったように、今でも「非国民」のように扱う右派の人もいるようだが、国なんてのは一握りの権力者を指す幻想に過ぎないと思う僕にとっては誠にくだらない非難である。日本人は彼を誇りに思っていい。2011年の震災の後ユダヤ人の団体から杉原千畝を生んだ国として日本に援助があったように、長い目で見れば全く国益に反していない。

ハルビンでの白系ロシア人との関係が沙汰され憧れのモスクワではなく、リトアニアのしがない領事となった杉原(唐沢寿明)は、日本がアメリカとの戦争の歯止めとして期待しているドイツが実はソ連に侵攻する機運を掴んだ頃、ソ連(ウラジオストク)→日本経由で各国へ亡命したがっているユダヤ人たちの姿に動かされて遂には2000枚以上の査証を発行し、6000名以上とも言われる人々の命を救うことになる。
 これに協力するのが運転手として雇われる反ソのポーランド人ペシュ(ボリス・シッツ)と、最初はユダヤ人を馬鹿にしきっていた館員のドイツ系リトアニア人グッジェ(ツェザリ・ウカシュヴィッチ)である。

グッジェが体現するように、人間の脳は他人に好意・厚意を施すと幸福に感じられるような仕組みがあり、結果として身体共に健康になる傾向があるらしい。いざその現場に接すれば、国がどうのこうの組織がどうのこうと言う前に行動する人も多いだろうと思う。それを極力できなくする不自然な体制が全体主義である。
 また、この映画が示すのは、ユダヤ人は杉原がいなければ救われなかったが、杉原一人だけではこれほど多くは救われなかったという事実である。僕はこの点をそこはかとなく示したところが気に入った。

作品の性格としては、先日観たスティーヴン・スピルバーグの「ブリッジ・オブ・スパイ」に極めて近いが、やはりかの作品ほどの風格がない。正体不明の監督チェリン・グラックの腕前の問題というより、外国を舞台に外国人に交じって日本人が主役をやったりするとどうもそういう感覚を覚えてしまう。何が足りないのかよく解らない。

命じられたソ連よりドイツの動向を注視していた杉原は、ドイツのソ連侵攻により、恐らくアメリカに注がれるべき戦力等の分散で抑止力が失われる為、日本がアメリカと戦うことになり敗戦することを予言した。いざ戦争が始まるや、ドイツではなく、ドイツと日本両方を相手にしたアメリカが戦力・資力が限界近くになり、結果としてどちらの戦争も長引いたのではないかと思う。彼や山本五十六の人生を見ていると、本当に日本を思う優秀な頭脳が国のトップにいたなら避けられた戦争だったのかもしれないという気がしてくる。

「憎まれっ子世にはばかる」と言うが、実際はどうなのかいな。近所の嫌われ者は殆ど短命だった。

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杉原千畝 スギハラチウネ
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