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zoom RSS 映画評「パットン大戦車軍団」

<<   作成日時 : 2016/11/29 08:32   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1970年アメリカ映画 監督フランクリン・J・シャフナー
ネタバレあり

40年位前邦題から「バルジ大作戦」(1965年)のような戦闘スペクタクルを期待してTVの前後編で観たものの、高校生くらいだった僕にはさほど面白くなかった。その後観るチャンスは何度もあったが、上映時間が長いこともあってなかなか手が伸びず、今回やっと字幕スーパー完全版にて鑑賞するに至る。

第2次大戦後半、アメリカのパットン将軍(ジョージ・C・スコット)は、同じ戦車部隊の指揮官としてドイツ軍のロンメル将軍と比べられていたが、彼自身において好敵手は味方である英国軍モントゴメリー将軍だ。後輩ブラッドリー将軍(カール・マルデン)を副司令官に北アフリカで目覚ましい戦績でドイツ軍を排除するが、砲弾神経症で入院していた兵士を殴打したことが問題にされて指揮権を剝奪され、結果的にブラッドリーと立場が逆になった後、戦争末期のバルジの戦いでドイツを敗北に追い込む。

記憶通り、戦闘場面は少なめでスペクタクル性が薄く、パットン将軍のそそっかしいとも言える古代人のような人物像をフィーチャーした伝記的性格の強い作品である。ハンニバルやナポレオンに憧れる時代錯誤的なロマンティックな性格であり、神経症を理解しないため左遷され、ブラッドリーから「(パットンが殴打した)兵士は勝利をもたらす英雄になった」と言われる。ブラッドリーの言わんとしたことは、恐らく「その兵士が彼をして殴打せしめた。結果パットンが左遷され、バルジ作戦(ドイツでの呼び名)で勝利をおさめドイツを敗戦に追い込んだ」という意味で、ちょっとした愛情のこもった皮肉なのだろう。

また、ロンメルは「戦争が終わったらパットンも我々と同じように死ぬ」と言う。つまり戦争なくして彼は生きられない、生れついての戦争屋ということだ。また、彼自身は「最後の銃撃で死ぬのが軍人として一番の死に方だ」と言う。
 映画は全く彼のその後を語っていないが、ロンメルの皮肉は違う意味で当たり、また、彼自身の言う最高の死に方が出来なかった。終戦直後の1945年11月に交通事故が原因で死ぬのである。昨今の映画であればこの辺りを字幕で語って、その皮肉な死に方を説明するだろうが、いずれにしても、映画そのものではなく彼の奇妙な古代人のような人間ぶりが現在を生きる我々に示すのは、寧ろそのアンチテーゼ即ち反戦に近いものと考えられる。アメリカがベトナム戦争に行き詰っていた1970年に作られたことを考えれば間違いないところであろう。

ジョージ・C・スコットはアカデミー賞主演男優賞(本人は辞退)に値する熱演・好演。それ以外に作品賞・監督賞・脚本賞など主要7部門でオスカーを獲得している。
 台詞の多い内容につき脚本賞受賞に疑問を覚えている人がいたが、アメリカでは脚本は作劇より台詞の巧みさが評価されることが多い模様。「カサブランカ」(1942年)がアメリカ映画史上No.1の脚本と言われている事実から推して、脚本に対する観念が日本とは大分違うと考える次第である。

世界が内向きになってきた。戦争が起きやすい状況だ。嫌ですなあ。

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