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zoom RSS 映画評「ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」

<<   作成日時 : 2016/10/07 09:40   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年カナダ映画 監督ロン・マン
ネタバレあり

日本ではロバート・アルトマンという表記が一般的であるが、僕は現地発音に従ってオルトマンと書く。本作の出演者の発音はオールトマンとオルトマンの間くらい、少なくともアルトマンではない。アルトマンと思って聞けばそう聞こえなくもないが、試験なら×を貰う。これに関しては、10年ほど前に書いた外国人名表記を巡る記事で口論に発展した、少々嫌な記憶が残っている。

閑話休題。
 もしかしたらオルトマンは日本のほうが人気が高いのではないだろうか。彼の群像劇は批評家の多くが絶賛するが、僕は「ナッシュビル」(1975年)以外は中の上から上の下くらいと判断し、特別好きでも嫌いでもない。

本作は、日本では群像劇の大家として見られているオルトマンを映画人生を巡るドキュメンタリー。実際には何でも屋に近い、但しスタジオに媚びない作家性の高い映画作家であることは、映画監督をテーマにしたドキュメンタリーの公式通り編年的に作られた本作で紹介される作品の多様性を見れば解るはず。

ご本人そして彼の作品に出演した俳優たちが証言するように、彼は徹底してアンチ・ハリウッド型の作家で、スタジオが作家に任せることが多かったアメリカン・ニューシネマ時代(1970年代)は出世作「MASH」以下なかなか好調だったが、映画界が完全に復古した1980年代に入るやハリウッド型を押しつけられた「ポパイ」が大いにこけ、結局80年代は不調のまま終わる。但し、「タナー88」という実際の大統領選とドラマを競合させた実験的なTV番組など彼らしい意欲溢れる作品も放っているので、本人の意識の中ではなかなか充実していたらしい。

1992年本来のフィールドというべき群像劇「ザ・プレイヤー」で復調し、日本のオルトマン・ファンは喜んだ。これ以降2006年に亡くなるまで佳作を多くものしたと思う。本作でも延々と紹介される「ザ・プレイヤー」を見ると、長回しで人物を繋いでいく辺り三谷幸喜が影響を受けていると感じる。多分彼はあの作品を何度も観ているのではないだろうか。

本作の進行役と言っても良い、姉さん女房キャスリン・リードは本年91歳で亡くなった。

アメリカではなくカナダ製というのが面白いが、特別意欲的な編集ぶりではなくソツなくまとめた感じ。インタビューイーにくどくど語らせずにワン・フレーズで終わらせた点は好感が持て、オルトマンの作家性がよく解るように編集されている。

オルトマンの当時10歳くらいの三男の作った“映画”「西部劇」がキートン映画のようでなかなか楽しい。

「若草物語」の作者Alcottはオールコット若しくはオルコット、現在誰もアルコットとは言わない。正しくても正しくなくても最初に紹介された表記が定着する例が多いのだ。国名がそもそも「にほん」でも「にっぽん」のどちらも正しいとされているくらいだから、いい加減なところも多い日本人。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
カナダ製ということは、アメリカより海外のほうで人気があるという事でしょうね。
オルトマン・・・アルトマン・・・聞こえ方の問題でしょうが、英語圏の人間でも違ってたりしますからね。
誰だったか、どちらでも好きに呼んでくれといっているハリウッドスターがおりました。
ねこのひげ
2016/10/10 08:11
ねこのひげさん、こんにちは。

欧米は同じ綴りのファースト・ネームでも国により発音が違うので難しい。
ジョゼフ・コットンかジョセフ・コットンか、なんてね。
アメリカに住む人々は、ファースト・ネームは出身地や先祖の出身に関係なくアメリカ式発音、ファミリー・ネームは伝統の発音というのが習わしになっている感じですね。
オカピー
2016/10/10 21:20
「ザ・プレイヤー」
小林信彦がコラムでほめていたので、観てみたけどぴんとこなかったです。そんなにほめるようなものなのか、と。この脚本書いた人はずっと没続きで、自分の経験を基に書いたこの脚本でやっと脚光を浴びた! そうなんですが、没続きだったのはおもしろくなかったからじゃないかと思ったくらいで。ハリウッドの内幕もの、楽屋落ちみたいなのがハリウッドマニアにはおもしろいのでしょうね。
アルトマン、金持ちの子じゃなかったかな。なんかそんなかんじはしますね。自分だけ高みから下界を見下ろしてるような作風。よかったものもありますが、アンチ・ハリウッドはハリウッド依存の一形態ですからねえ。
nessko
URL
2016/10/12 20:55
nesskoさん、こんにちは。

>「ザ・プレイヤー」
僕同様小林氏の師匠的な存在と言っても良い、双葉十三郎氏は、「テーマがふやけて急所をついた興味が湧かない」と、nesskoさんと近い印象を持たれた様子。今一つ明確な記憶がないので当方も余りピンと来なかった口ではないでしょうか。
この頃の映画について一般論として「群像劇にしたり、時系列をいじくると日本の批評家は褒めたがる」と僕は言っていたと思います。

>アンチ・ハリウッドはハリウッド依存の一形態
アンチというのはそういうものですよねえ。

アンチ巨人もアンチ・ビートルズも実は巨人ファンであり、ビートルズ・ファンである、と僕はずっと言ってきました。デビューの頃曲を提供して貰うなどお世話になったことも無視してミック・ジャガーがビートルズを余りよく言わないのもその口ではないかなと勝手に思っています。
オカピー
2016/10/13 11:20

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