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zoom RSS 映画評「『僕の戦争』を探して」

<<   作成日時 : 2016/10/04 09:27   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2013年スペイン映画 監督ダビド・トルエバ
ネタバレあり

「僕の戦争」若しくは「わたしの戦争」(1967年)はジョン・レノンがビートルズ映画以外に初めて出演した劇映画としてファンの間では非常に有名だが、惜しくも日本劇場未公開。僕はTVで観たことがある。衛星放送だったか、衛星放送開始前のTVだったかよく憶えていない。本作は、かの作品を素材に作り上げられたドラマである。

1966年、ビートルズを素材に英語を教える英語教師アントニオ(ハビエル・カマラ)が、ジョン・レノンがスペインのアルメリアに映画(僕の戦争」)出演の為に滞在中と聞き、駆けつける計画を立てる。聞き取れない歌詞を確認するのが主たる目的だ。
 緑色の車でいざ出陣した彼は、ガソリンスタンドで具合の悪そうな美人ベレン(ナタリア・デ・モリーナ)を拾い、さらにいかにも家出少年のフアンホ(フランセスク・コロメールをマッシュルーム・カット故に乗せる。
 目的地に着いた彼らであるが、ロケに近づくことすらできない。情報を集めた彼は一日ごとの試写をする映画館で関係者に接近、つてを構築して遂に彼だけレノンと会うことになる。

というだけのお話であるが、ビートルズ時代のレノンの名曲「ヘルプ!」と「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を実に巧く使ってなかなかのんびりと楽しめるロード・ムービーとなっている。
 もっと具体に言えば、主人公が、恐らく彼自身も何かしら問題を抱えているのであろうが、「助けて!」という信号を出している二人の若い男女を拾い、レノンが撮影中に書いたと確認されている「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」(この時点で正式タイトルはなし)の一フレーズ"Liiving is easy with eyes closed"(原題はこのスペイン語版)を引用して「目をつぶっていれば人生は気楽なもの」という気持ちで気軽に行けば良いと新しい人生に送り出す、という構成が素敵なのだ。

中年独身の主人公としてはそれなりの色気もあって妊娠三か月と知りながら彼女に求婚する。彼女は返答をせずに少年のいる町へ一緒に行ってしまうが、その後どうなるか分からないサスペンデッドな状態で終わっている。レノンの二曲に導かれるお話と考えれば完結しているのでその後は全くどうでも良いのであるが、ユーモアも男気も真面目さもある彼には幸福になってもらいたいという気持ちにさせられるものがある。

1966年のスペインはまだフランコ独裁体制であり、見た目ののんきさ以上に閉塞感があったに違いない。印象的なのは「ヒッチハイクをすると逮捕される」という台詞で、単なる「のんびり行こうよ、俺たちは」(昔のモービルガソリンCMの歌詞)ではない当時の気分を反映しているのかもしれない。

といった次第で、本作もまた本邦劇場未公開なのが残念なヒューマン・コメディーと言うべし。

劇中使われる「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」は「ビートルズ・アンソロジー2」に収められたデモ・バージョン? 違うような気もするが。

鈴木ひろみつが登場した(歌は確かマイク真木)CMは現在Youtubeで観られますので、のんびり行きたい人は是非どうぞ。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
先日、地上波の深夜映画で『A Hard Day,s Night』をやっておりましたね。
凄い騒ぎだったのがよくわかります。
ねこのひげ
2016/10/10 08:23
ねこのひげさん、こんにちは。

ドキュメンタリーの公開に合わせたのでしょうねえ。

>凄い騒ぎ
あれだけ大きな音量を立てるのに、声援で演奏する音が全く聞こえず、他のメンバーの格好に合わせて演奏したようですね。
オカピー
2016/10/10 21:00

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