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zoom RSS 映画評「赤い玉、」

<<   作成日時 : 2016/10/13 08:28   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・高橋伴明
ネタバレあり

高橋伴明監督作品。お話として面白いかどうかは別にして、なかなか興味深い作り方をしている。
 一つは高橋監督の私小説的作品なのではないか、ということ。一つは、ちょっと大げさに言えば、【胡蝶の夢】のヴァリエーションであること。

60歳の映画監督・奥田瑛二は、私立大学映像学科の講師を務め、同大学の事務員・不二子と同棲している。作品内の台詞にもあるように講師をしているようでは監督として落ち目ということであるが、最後の作品を作ろうともがいている。

ある日女子高生・村上由規乃を書店で見て追いかけまわし、遂に援助交際に至る。
 ところが、このシークエンスは、基本的に彼の書いている脚本の中と考えられる。書店で見かけたのは実際であるとしても、その後の展開は想像上の産物である可能性が高い。彼は彼自身と少女を好きなように動かしているのだろう。しかし、不二子にサヨナラされた奥田監督は学校を辞める際に「女子高生と援助交際をした俺は人間失格だ」と言っているので、少なくとも援助交際は現実と理解される。

脚本内の出来事と実際の出来事とを全く区別しないのは、彼のリタイア後に入学して来る由規乃嬢の言う「現実のような夢、嘘のような現実」を地で行く作り方であり、どちらの見ている夢なのか解らない【胡蝶の夢】のように夢と現(うつつ)の狭間に我々を漂わせるわけである。実際にはそう難しく考えず見た目通りうらぶれた老映画監督のあがきを描いたものと理解すれば良いと思うが、映画論的映画として興味深く観るシネフィルもいるにちがいない。
 嘘を本当らしく見せるのが映画監督の仕事であるが、余りに本当らしいと嘘らしく見えるので、嘘を嘘っぽく作るという必要性も時には出てくる。これは僕が以前言ったことであるが、高橋監督は奥田と不二子の会話の中で全く同じことを言わせていて、僕は大いに我が意を得た。これが「現実のような夢、嘘のような現実」のもう一つの意味であろう。

但し、一般観客は高橋監督の映画作家としての思惟や映画の作り方などには関心がないであろうし、面白く感じるのは日夜映画のことを考えている方に限られると思うため、☆★は余り多くは進呈しかねる。

エロ映画という側面もあるけれど、これもまた「映画の為の映画」と言うべし。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
最近は映画論を熱く語る一般人は少なくなりましたね。
情報量が多いという事でしょうがね。
ねこのひげ
2016/10/16 20:33
ねこのひげさん、こんにちは。

そもそも今の日本人は面倒くさくなるのが嫌なのか、論議を咲けますよね。
フランス人なんか何でも議論にしてしまう、というのが映画を見ているとよく解ります。
オカピー
2016/10/16 22:29

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