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zoom RSS 映画評「ブランカニエベス」

<<   作成日時 : 2016/10/10 09:41   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2012年スペイン=フランス=ベルギー合作映画 監督パブロ・ベルヘル
ネタバレあり

ここ数年アスペクト比4:3の映画が幾つか作られている。本作の場合はそれに加えてモノクロ・サイレント映画で、これはフランス映画「アーティスト」に続く復古趣味である。

お話は「白雪姫」のスペイン20世紀版で、名闘牛士アントニオ(ダニエル・ヒメネス・カチョ)が牛に突っかけられて瀕死の重傷を負い、臨月の細君カルメンがそのショックで娘カルメンシータを産んだ直後に死ぬ。
 数年後カルメンシータ(ソフィア・オリア)は祖母が亡くなると、引き取った継母(マリベル・ベルドゥ)に下女扱いされて酷使される。
 さらに時が過ぎて、四肢不随となっていた父親が亡くなると、継母は刺客を遣わすが、カルメンシータ(マカレナ・ガルシア)は七人の小人たちに助けられ、記憶を失ったまま特殊な闘牛を興行する彼らと一緒に旅をすることになる。
 彼女の興行が報じられたことから、継母は暗殺の失敗を知り、刺客として遣わした愛人を殺すと、闘牛場へ向かう。ブランカニエベス(白雪姫)ことカルメンシータは見事にデビューを飾るが、継母から貰った毒リンゴを食べて全身不随となる。一行と独占的興行を契約していた興行師はこれを「キスで目覚める奇跡」の催し物に利用する。小人の一人が彼女の世話を甲斐甲斐しく行うと、動けぬ彼女は涙を流す。

この幕切れは両義的である。「白雪姫」のハッピーエンドに倣って彼女の復活の一歩と見ておきたいが、全体的にブラック度が強い。

しかし、何と言っても本作で注目すべきは、サイレント映画のカメラとカットの繋ぎを再現したような表現にある。特に、人物のアップでの切り返しがサイレント映画的で、クラシック気分満点。継母が小人に追い詰められて牛にやられる場面における影の使い方などはドイツ表現主義映画を思わせる。
 子供のカルメンシータが洗濯物にさえぎられ、再度現れるとハイティーンになっているという時間の飛ばし方は必ずしもサイレント映画的というわけではないが、映画的に断然優秀。

「アーティスト」のほうがサイレント手法を生かし僕が膝を打った箇所が多いものの、こちらはカメラが卓越し感心させられるところが多い。スペインの作家だから次の作品が日本に来る保証はないが、次を期待させる若手パブロ・ベルヘルのなかなか結構な日本デビューでした。

20世紀とぼかして書いたが、舞台は1920年代。サイレント映画最盛期で、「血と砂」という闘牛士映画も作られた1920年代という設定なのは、本作をサイレントにした監督にとって必然なのだ。

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或る日の出来事
2016/11/22 09:27

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
『血と砂』という映画も面白かったですね。
最近はスペインとか北欧の映画や小説が流行っているようなので来るかもしれませんね。
ねこのひげ
2016/10/16 20:45
ねこのひげさん、こんにちは。

>『血と砂』
亡父がタイロン・パワー主演の「血の砂」をよく話していました。おかげで中学になった時原作を読んでしまいましたよ。
サイレントはルドルフ・ヴァレンティノが主演。これも観ました。

>スペインとか北欧の映画
しかし、WOWOWの放映傾向のせいで、邦画がやたらに増え、欧州映画が激減しているのです。邦画など水準作のオンパレードで結果から言えば無視しても良い作品ばかりなんですがね。
オカピー
2016/10/16 22:17

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