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zoom RSS 映画評「ギヴァー 記憶を注ぐ者」

<<   作成日時 : 2016/09/07 10:10   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督フィリップ・ノイス
ネタバレあり

ロイス・ローリーというアメリカの女流児童文学者による子供向けSF小説をフィリップ・ノイスが映画化したSF映画だが、ヤング・アダルト小説を映画化した作品群より余程大人っぽいのだから苦笑させられる。

薬により感情を徹底的に抑制され、生む女性と育てる女性と一緒に過ごす母親が違うインチキ家族が家庭をなしている未来のあるコミュニティー。実はそうでない社会が外にあるようで、首席長老メリル・ストリープが組織員が外に出ないように管理している。
 そんな環境下で、若者ブレントン・スウェイツが、人間の喜怒哀楽の記憶を受け継ぐレシーヴァーの能力があることが認められて十年ぶりに選任され、記憶を授けるギヴァーのジェフ・ブリッジスの許へ出かける。触れ合うことで彼の持つ記憶を受信してその世界に驚愕し、やがて感情を排したコミュニティーは人間にふさわしくないと思うようになって、自分と同じ印を持つを赤ん坊を連れて境界線を越える冒険に出る。
 しかし、協力した養育係の友人オデイヤ・ラッシュがコミュニティーを崩壊させかねいとして“解放”すなわち処刑の危機に直面する。

管理社会をテーマにしたSFは数多くあるが、本作は児童文学らしいと言おうか、人々が感情まで完全にコントロールされているというところが面白い。感情なくして人間は人間でない、と作者は主張するのである。否定的な意見の中にあった「主旨がない(正確には、解らない、と言うべきであろう)映画」というのは嘘である。

反面、設定には首を傾げたくなる。人民から一切の人類の記憶と感情を排して作り上げられたコミュニティーが「何故に記憶を大事にするのか」ということである。これは矛盾である。少なくとも観客を納得させるだけの説明が為されていない。
 ただ、モノクロとカラーの画面を有効に使ってなかなかセンシティヴに作られているので、そこに余り拘りたくない気持ちがある。モノクロが現実、カラーが想像(夢もしくは記憶)というのは間違いではないが、正確な理解とは言えない。正確には、モノクロは感情のない無機的な世界、カラーは感情のある人間的な世界を描いていると言ったほうが良い。

作者によれば、喧嘩や戦争をする愚かさも含めて、喜怒哀楽や欲望を持つ人間が人間的ということである。なかなか深遠な考えではないかと思う。

僕は人間的という言葉を二つの意味で使っている。一つは「人情的」ということ。一つは「愚かで弱い人間ならではの」ということ。作者は僕と同じ考えを持っているらしい。

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ギヴァー 記憶を注ぐ者 ★★★
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