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zoom RSS 映画評「アクトレス〜女たちの舞台〜」

<<   作成日時 : 2016/09/03 09:18   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2014年フランス=ドイツ=スイス合作映画 監督オリヴィエ・アサイヤス
ネタバレあり

夏時間の庭」では文学趣味に多少惹かれつつ、それが同時に足を引っ張った感があり不満を覚えたオリヴィエ・アサイヤス監督の新作。今回は文学趣味が良い方向に作用し、気に入った。

18歳で出演した芝居「マローヤのヘビ」でスター女優の座を手に入れたジュリエット・ビノシュは、現在40歳になり、隠遁したその作者の代わりにその授賞式に参加する途中、ご本人死亡の報を受ける。授賞式で若手演出家ラース・アイディンガーに「マローヤのヘビ」ニュー・バージョンに違う役で出ないかとオファーされる。前回彼女が演じた若い秘書に翻弄される中年女性経営者の役で。若い秘書の内面でこれまでの人生を生きてきた彼女にとっては躊躇せざるを得ないオファーであるが、作家死亡のショックの中引き受けてしまう。
 スイスの風光明媚な観光地シルス・マリアで若い秘書クリステン・スチュワートを相手に練習を始めた彼女は役に違和感を覚えて降板を訴えるが、エージェントに脅されて続行せざるを得ず、奔放な言動で知られる若手女優クロエ・グレース=モレッツと事前に会い、いよいよ練習本番に入っていく。

本作の一番文学的なところは、秘書に翻弄されて捨てられた挙句に出奔してしまう会社経営者と、ヒロインの立場をオーヴァーラップさせたところ。松浦美奈女史が日本語字幕に工夫を凝らして、本来であればイタリックにするか括弧付きで示されるはずの劇中劇の台詞をそのまま他の台詞と同じ扱いしている。つまり劇中劇の台詞はヒロインたちの実際の会話と思っても良いということで、現に自分の意見が女優に良い影響を与えないと思ったクリステンは消えてしまう(従って、最終章に出てくる秘書は、蓮舫女史に似ている東洋系の別人)。

このオーヴァーラップの仕方の文学的感覚と、シルス・マリアの美しい景色と、それに合ったバロック音楽により気持ちが高揚して☆★を多くしたというのが実際ながら、様々な関係者との交流により、やがて周囲の態度が変わってしまっている自分の現状を、劇中の言葉を借りれば“時を超えた存在”としてヒロインが受け入れる幕切れの味もヨロシ。

ジュリエット・ビノシュが実に安定した芝居ぶり。途中で消えてしまうクリステン・スチュワートも「トワイライト」サーガだけの女優に終わらないことを感じさせて誠に好調。

自分より年下の人間が社会の中心になっている年齢の人には、ヒロインの心境が解るだろう。若い人にはさして面白くなかろうよ。

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アクトレス〜女たちの舞台〜★★★.5
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ハリウッド映画で最近東洋系ぽっい女優が増えた気がしますね。
無名である日本人俳優もチラホラ活躍するようになっておりますしね。
東洋の市場開拓が目的ですかね。
ねこのひげ
2016/09/04 19:01
ねこのひげさん、こんにちは。

日本より市場が大きい中国が目当てのような気もします。
お互いにギヴ・アンド・テイクの関係と言いますか・・・
町山氏は、だから、ハリウッド映画がつまらなくなったと仰っていますよね。
彼が脚本に加わった映画もなってなかったですけど(苦笑)。
オカピー
2016/09/04 20:43

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