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zoom RSS 映画評「ルック・オブ・サイレンス」

<<   作成日時 : 2016/09/13 09:21   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年デンマーク=インドネシア=フィンランド=ノルウェー=イギリス合作映画 監督ジョシュア・オッペンハイマー
ネタバレあり

アクト・オブ・キリング」はインドネシアのイメージを覆す衝撃のドキュメンタリーであった。劇映画「キリング・フィールド」(1984年)にも匹敵する新しい知識を僕に与えてくれた。方や共産主義を名乗るインチキ連中が国民の4分の1を意味なく殺したと知り、方や共産主義者及び共産主義者と決めつけられた人々が最低でも100万人、人民軍に殺されたと知り、驚愕した。共産主義は信条や目標がはっきりしているためプロパガンダに利用されやすく、多くの悲劇を生む。戦前の日本もそうであるし、赤軍派の悲劇もまあ共産主義の名の下に起きた。だから僕はドグマが嫌いである。

本作では、「アクト・オブ・キリング」で紹介された本業をヤクザとする人民軍リーダーたちに殺された一人の若者の弟アディ・ルクン氏が、恐怖による沈黙を破って、およそ半世紀前(1965年)の加害者たちから真相を聞き出そうとするが、そこに彼が期待した【後悔】の様子が見られない。穏健で加害者を糾弾しようとはしないルクン氏も失望したことであろう。前作のヤクザは被害者を演ずるうちに最後に被害者に感情移入して嘔吐さえしたのに。

加害者が事件再現をする映画を作るという入れ子の形でお話を進行させていく異色ぶりから生み出された前作の迫力に比べると、本作の作りは至極まっとうなので映画的興趣という意味では些か劣るが、自分の理想を実現する目的としての政治とは何なのか、その際に何故かくまでの残虐性を発揮する人間とは何なのか考える時その差は全く意味がない。両方とも観てほしい。

今でも加害者側が実権を握っているので、この二作の製作にかかわった人は匿名である。命の危険があるのでルクン氏も国外に脱出したらしい。

ルクン氏は眼鏡屋だけど、加害者側を色眼鏡では見ない。立派だね。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
災害や戦争などですぐに暴徒化する連中というのも理解できませんけどね。
本来、生命というのは残酷なものかもしれませんです。
ねこのひげ
2016/09/19 06:33
ねこのひげさん、こんにちは。

最近は、関東大震災の際の暴動や虐殺がなかったことにしたいらしい輩が増えている。
自分の国や国民が良いと思うのは悪いことではないけれども、旧悪を反省したからこそ現在の進歩した自分たちがいることを忘れては困りますよね。
オカピー
2016/09/19 21:06

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