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zoom RSS 映画評「寄生獣 完結編」

<<   作成日時 : 2016/08/23 09:40   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・山崎貴
ネタバレあり

岩明均によるコミックの映画化の完結編。「進撃の巨人」よりは分けて公開される意義が感じられるものの、こういう公開方法はなるべく勘弁してほしいねえ。

寄生獣ミギー(声:阿部サダヲ)という頼りになる友を右手に持った男子高校生・染谷将太は、教師・深津絵里の罠に嵌められた記者・大森南朋につけまわされた為、彼女の正体を彼に告げる。大森は、人間との共存を考える彼女の命令を無視して暴走する寄生獣たちに娘を殺されたため、彼女の生んだ子供を奪って動物園で復讐を遂げようとするが、母性を持たないはずの彼女が人間のような行動を取り周囲をびっくりさせる。

ここに主題の一つがよく示される。即ち、寄生獣が人間化していって遂に母性を表し、“他人のことを時には自分以上に考える”人間という存在の特徴を浮かび上がらせるのである。前作中盤で潰えた少年とその母親の関係と共鳴するわけで、彼女の母性に染谷少年は再び人間的感情を取り戻す、という流れに収斂していく辺りなかなか上手い。彼が精神までも寄生獣化していくのかと一旦思わせておいて、それを突然うっちゃるところに作劇上の面白味がある。

一方、寄生獣の存在に気付いた官憲が繰り出す特殊工作は、人間化していく深津教師とは全く対照的に人間を全滅させようと考える浅野忠信により挫折する。その後浅野は人類全滅に避けられない染谷少年抹殺に邁進、少年はミギーと手を取り合って(取り合えないが、笑)抗戦するも追い詰められたためミギーは少年本体を分断することを決意する。しかし、実はミギーの細胞が体に残っていた少年は再び浅野と対峙することになる。

というお話を通して示されるのは人間論。かなり本格的な哲学映画として興味深い内容と言うべきながら、それで思い出させるスティーヴン・スピルバーグの「A・I」(2001年)が哲学映画であることをおくびにも示さず人間とはこういうものだなどと一言も語らない故に深遠さがあったのに対し、余りに女教師を筆頭とする人々(?)に滔々と語らせてしまって身も蓋もない感じなのがいかにも残念だ。もう少し婉曲的に進めたほうが哲学、人間論として観客の胸に深く刻まれることになったはずである。本作が宇宙生物ではなく地球の深海生物なのは、環境汚染を起こす人間の罪深さを表現する為なのは自明であるが、人間論というよりは余りにメッセージ的になり勿体ない。

ただ、人情を強く打ち出しながらもモタモタした印象を伴わないのは、ドラマ部分がおしなべて我々の実感に近い生活感情に立脚していてアクション・サスペンス部分を邪魔しないからである。山崎貴はVFX処理がお得意であると同時に巧みな話術を持つ、21世紀型の作家と言うべし。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
寄生獣ミギーのガチャポンを売っていたので思わず買ってしまいました(^^ゞ
ねこのひげ
2016/08/28 12:57
ねこのひげさん、こんにちは。

やはり売っているんですね。
僕は、この映画を見た後、デーヴィッド・ボウイーの名作LPをもじって「ミギー・スターダスト」なんて洒落を飛ばしていました。
オカピー
2016/08/28 22:46

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