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zoom RSS 映画評「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」

<<   作成日時 : 2016/08/16 10:09   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1956年アメリカ映画 監督ドン・シーゲル
ネタバレあり

ジャック・フィニーの有名なSF「盗まれた街」の最初の映画化。僕が最初に観たバージョンは1978年の「SF/ボディ・スナッチャー」で、衛星放送もレンタルビデオもなく、日本未公開の本作の見られる可能性が低かった当時、相当怖い思いをした。秀作と言って良いと思う。
 本作は後年の作品に比べ、ぐっと地味なモノクロ作品で、いかにもコストのかかっていない作りであるが、その分サスペンスと恐怖がじわじわと我々観客に迫ってくる。一応お話をば。

医師ケヴィン・マッカーシーが英国から戻ってきた恋人ダナ・ウィンターを迎えに行き、友人が「叔父が叔父でない」という変な言葉を発していると聞いたり、医院にやって来た少年が「ママは怪物だ」と言って家に帰りたがらないのを見て首をかしげる。知人の家でその知人と似た奇妙な死体を見せられ、後日大きな鞘の中で本人そっくりの人間が生まれ出そうとする瞬間に出くわし、いよいよ住民が植物にコピーされる事態が起きている現実を確信する。この時点ではかなりの住民が感情のない植物によるクローン人間に置き換えられてい、そうはさせじとダナを連れて逃避行に入っていく。

植物は本人が眠っている間に情報を取り込み入れ替わるので眠らないことが肝要、住民に溶け込むために無表情を装うというアイデアがあり、この部分を拡大して映画化したのが4度目の映画化「インベージョン」(2008年)で、若い人が見るにはやはりこの最新版が一番と思うが、本当に映画が好きというのであれば、窓からクローン人間が集まってくる様子を眺める俯瞰撮影が抜群に怖い本作を観てほしい。本作で一番優れた場面、ショットであると思う。

近年は大型宇宙船でやって来る戦闘型侵略SFがタケノコのように作られ有難味が全く薄いという問題を別にしても、そうした戦闘型より潜行型と言うべき本作が醸成する怖さのほうがインパクトがあるのではないか。特に、まだ疑いの段階では、話をしている相手がそもそも本人なのかという疑惑が観客に生まれ、自ずとサスペンスが強くなっていく。着想そのものを根源とする、潜行型ならではの恐怖なのである。

本作は、狂気を疑われたマッカーシーが逃げ込んだ他の街の医師に告白する回想形式で進行するが、昨今の脚本家なら告白されていた医師が既にクローン人間であったと判明する幕切れにする可能性が高い。この作品では告白が事実と最終確認して防衛を訴える。昔の映画はかように直球である。無名時代のドン・シーゲルもきちんと展開している。

深読みすれば、アメリカ人の共産主義への恐れの出た映画なのだろう。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
トランプ人気も、恐怖に根差しておるんでしょうね。
バカでかい宇宙船がまた作られるとは思いませんでしたよ(≧◇≦)
ねこのひげ
2016/08/21 07:24
ねこのひげさん、こんにちは。

保守層は、他者への恐怖に立脚して物を言いますね。移民を嫌がるのはそういうことでしょう。
しかし、革新派も権力をつかんだ瞬間に自己保身に走り、そこから恐怖が始り、断案となっていく。その代表がスターリンだったりするわけでしょうね。
オカピー
2016/08/21 17:16

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