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zoom RSS 映画評「アデライン、100年目の恋」

<<   作成日時 : 2016/08/10 08:40   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督リー・トーランド・クリーガー
ネタバレあり

これはなかなか高級な大衆映画である。

1908年に生まれた美人ブレイク・ライブリーが、結婚8年目の夫を失った後、1936年の初冬に娘のいる家へ急ぐさなか交通事故を起こして水の中。低体温症になって仮死状態になったろころへ落雷、そのショックで体のDNAが変化を起こして彼女は29歳のまま年をとらなくなる。
 戦後当局に大いに怪しまれるため10年ごとに名前と住所を変える日々を送っていた彼女は、今では祖母と言える年齢になった娘エレン・バースティンと不定期に連絡を取って会っているが、その度に娘はもう大丈夫だから自由に暮らすよう彼女に説く。
 彼女が漸くその気になり始めるのは、勤める資料館への寄進者ミキール・ハースマンで、紆余曲折を経て彼の実家に行ってみると、現れた彼の父親は50年前に彼女にプロポーズしたハリスン・フォード。その時に負った傷を発見した彼に自身の秘密を知られた彼女は逃走するが、しかし結局ハースマンに真実を打ち明けることを決心する。しかるに好事魔多し、車に追突されて彼女は再び生死の境を彷徨うことになる。

科学的な要素があるので広義のSFに入るが、実際には大胆な設定で時とともに人間が変化することの意味を、変化できない人間の立場から考えようとした哲学映画である。主人公の見た目が年とともにどんどん若返っていく主人公を通して人生の意味を見つめた「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」と似た趣向と言えるだろう。

また、時の問題を絡めたロマンスという意味では「ある日どこかで」と通底するところもあるが、本作の眼目はロマンスの行方ではない。ヒロインがロマンスに対して否定的になる理由が「肉体の変化のなさ」であるように、不老不死に対して否定的な立場が基調にあり、外観の変化のなさは結局不幸なのであるという人生哲学を唱えるのである。
 キリスト関係者に言ったことがある、「50年後あるいは100年後に人は死ななくなる(可能性がある)。死ななくなれば従前の宗教は要らなくなる。しかし、逆に死にたがる人が現れ、そうした人々のために新たな宗教が生まれるであろう」と。この映画はまさに僕のこの思惟を具現化したようなもの、我が意を得たりである。

といった理屈はともかく、テーマの基礎をロマンスに置いて小難しさに走らず、ロマンティックな気分をうまく醸成、大衆的に楽しめる内容となっているのが良い。気分よろしく見られるので、僕は佳作として推したい。

父と息子とに恋するのは、二人があらゆる面でやはり似ているということなのだろう。

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アデライン、100年目の恋 ★★★
奇跡的な出来事によって29歳のまま年を取らなくなったヒロインが辿る数奇な人生と切ない恋の行方を描くファンタジー・ラブロマンス。主演は「旅するジーンズと16歳の夏」、TV「ゴシップガール」のブレイク・ライヴリー、共演にミキール・ハースマン、エレン・バーステ... ...続きを見る
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上映時間 113分 脚本 J・ミルズ・グッドロー/サルヴァドール・パスコヴィッツ 監督 リー・トランド・クリーガー 出演 ブレイク・ライヴリー/ミキール・ハースマン/キャシー・ベイカー/ハリソン・フォード/エレン・バースティン/アマンダ・クルー ...続きを見る
to Heart
2016/08/13 20:54

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
Xメンの『ウルヴァリン』も永遠の肉体を持つ存在ですね。
不死という事に白人はこだわりがあるようです。

妹が久しぶりに遊びに来たとき、姪を妹と間違えて一瞬ビックリしました。
DNAというのは恐ろしい物です。
ねこのひげ
2016/08/14 11:48
ねこのひげさん、こんにちは。

僕は父方の祖父にかなり似ていますし、姉と従姉も結構似ていたり。そもそも母は9人兄弟の4番目ですが、兄弟が互いにそっくりで。
オカピー
2016/08/14 22:26

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