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zoom RSS 映画評「私の男」

<<   作成日時 : 2016/07/05 09:18   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・熊切和嘉
ネタバレあり

桜庭一樹の直木賞受賞作を文芸映画お得意の熊切和嘉が映画化した力作。映画版で判断する限り、直木賞と芥川賞の区別も微妙だなあという印象。尤も、芥川賞は中短編という基準もあるので、本作は長編なのかもしれない。

奥尻島の地震で被災して家族を失った十歳の少女・花(山田望叶)が、海上保安官をする叔父の腐野淳悟(浅野忠信)に引き取られ、紋別で暮らし始める。
 数年後、この養父娘は近親相姦の関係に陥り、それを知った町の実力者・大塩(藤竜也)は彼女に話をして別の親戚に引き取らせようと試みるが、父親と離れたくない高校生の花(二階堂ふみ)は断固断り、結果的にこの恩人を流氷に残して死なせてしまう。

ここではっきりするのが、養父と思われた淳悟が花の実父であるということ。養父娘であってもかなり問題であるが、まして実の親子では大問題である近親相姦であるが、地震の悲惨さを生き抜いたこの少女は実の父と知っているからこそ余計に彼との関係に拘る。そんな感じが強い。

やがて、刑事(モロ師岡)が現場に落ちていた花の眼鏡を持って来たため、淳悟は刑事を殺す。かくして二人は東京へ逃れて暮らすことになり、就職した花はやがて結婚を決める。それでも二人の関係は変わらない。

というお話は、人間の原初的な性愛を描いた内容と言うべきなのだろうか。一時の大映映画とか、今村昌平の作品とか、1970年代のロマン・ポルノなどを併せて現代的に仕立て直したような、ネチネチ具合である。

近親相姦はいけないというルールは、奇形が生まれることの多さに気づいた大昔の人間が種の保存のために道徳化したものではないかと、かなり以前から勝手に思っている。だからヒロインが言うように本質的にはいけないことではないのかもしれない。数万年の間にDNAに刷り込まれた叡智が大半の人間をしてこうしたことに嫌悪感を覚えさせるのであろうが。

思春期の頃から娘は既に父親を身動きが取れないように自らに縛り付け、コントロールする。こういう若い女性が性愛的に男性を支配するという着想は、男性が女性に溺れるという形を別にすると、邦画ではなかなかなかったものだから、現代的であるという印象が強く、刺激的。
 時代に応じて16mm、35mm、デジタル撮影という機材の変更を行っているらしい。僕には機材の違いによるざらつき感の多少が、ヒロインの心の晴れ具合を映しているように思える。

敢えて行っているのであろう解りにくさがミステリー的に生かされる個所もあるが、こちらの頭の問題か、よく解らないまま終わるところもある。画面では、流氷の場面が、まるで厳しい北欧映画でも見るようで圧巻。

ヒロインを演じた二階堂ふみのエキセントリックぶりが生かされて大いに見応えあり。

今年は、日本の若手女優が強い印象を残す作品が目立つ。

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私の男〜この世の終り
公式サイト。桜庭一樹原作、熊切和嘉監督。二階堂ふみ、浅野忠信、モロ師岡、河井青葉、山田望叶、太賀、三浦誠己、三浦貴大、広岡由里子、安藤玉恵、吉村実子、高良健吾、藤竜也 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2016/07/05 09:33
私の男
【概略】 10歳で孤児となった少女・花は遠縁の男・淳悟に引き取られ、北海道の田舎町で寄り添うように暮らしていた。6年後、流氷の上で殺人事件が発生し…。 ドラマ ...続きを見る
いやいやえん
2016/07/05 14:46
私の男 ★★★
直木賞作家・桜庭一樹によるベストセラー小説を、『海炭市叙景』などの熊切和嘉監督が映画化。流氷に閉ざされた北海道と東京を舞台に、孤児となった少女と彼女を引き取ることになった男の禁断の関係を描き出す。互いに秘密を抱え寄り添うように生きる父と娘には、浅野忠信と... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/07/05 17:16
『私の男』
□作品オフィシャルサイト 「私の男」□監督 熊切和嘉□脚本 宇治田隆史□原作 桜庭一樹□キャスト 浅野忠信、二階堂ふみ、高良健吾、藤竜也、モロ師岡、        河井青葉、太賀、相楽樹、三浦誠己、安藤玉恵、三浦貴大■鑑賞日 6月15日(日)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★(5★満点、☆は0.5)<感想>  原作は未読だったが、正直楽しめない映画だった・・・ 10歳で孤児となった少女・花(二階堂ふみ)は、遠縁の男・淳悟(浅野忠信)に 引き取られる。 ともに孤独な2人は... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2016/07/05 23:01
14-366「私の男」(日本)
全て私のものだ  奥尻島を襲った津波で家族を失い、10歳で孤児となった少女、花。そんな彼女を、遠縁だという男、淳悟が引き取ることに。ふたりは雪と流氷に閉ざされた北海道紋別の田舎町でひっそりと暮らしていた。  6年後、町の有力者で好々爺の大塩がふたりを別れさせようと花を説得する。ところがその時、思いも寄らぬ事件が起こり、淳悟と花は逃げるように紋別を後にする。  東京に出てきても、小さなアパートで身を寄せ合うようにふたりだけの生活を続ける花と淳悟だったが。(「allcinema」より) ... ...続きを見る
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海鳴り〜『私の男』
 天災により家族を喪った少女・花(二階堂ふみ)は、遠縁の男・淳悟(浅野忠信) に引き取られる。オホーツクに面した北の街で、父と娘として生きる二人だった が・・・。 ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2016/07/07 13:09
私の男
原作は、直木賞を受賞した桜庭一樹の同名小説 ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
二階堂ふみさんとか門脇麦さんとかギョッとさせる若手女優さんが出てきましたね。
ねこのひげ
2016/07/10 16:55
ねこのひげさん、こんにちは。

「トイレのピエタ」の杉咲花や、「海街diary」の広瀬すずも実に魅力的。
演技力を別にすれば、すずちゃんがご贔屓。実に可愛い^^
オカピー
2016/07/10 17:27

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